sakadai


1.2次試験合格発表日

 合格発表の時間、私はPCの前にいた。合格者数は1220人。例年より200人程多い。2次試験の手応えは過去2回よりも良かった。期待を胸に番号を目で追う。無機質に番号が並んでいる。載っている番号、載ってない番号、それぞれにこの資格にかけた人の想いがつまっている。ただの番号の羅列ではない。自分の番号を見つけた。その時は嬉しさよりホッとしたという感情のほうが大きかった。今まで支えてくれた妻に連絡をした。「おめでとう!よかったね。」嬉しかった。ねくすと勉強会(以下、ねくすと)のMLに合格を報告した。多くのOBから「おめでとう!」「待ってました!」と返信をもらった。嬉しかった。 応援してくれる家族・仲間の存在に心から感謝した。

2.受験歴

 私の受験歴は以下のとおりである。合格まで5年程かかった。
         一次試験   二次試験    学習環境
  2008年   ×      ―      受験校
  2009年   ○      ×(BCAA) ねくすと
  2010年   ×      ×(CDAA) ねくすと
  2011年   ×      ―      ねくすと+コンサル塾
  2012年   ○      ○      ねくすと

3.受験のきっかけ

 中小企業診断士の存在を知ったのは会社の同期がこの資格を取りたいと言っていた時だった。そこから数年後、会社で設備投資を検討する業務に携わった。業務を覚えていくうち、設備投資以外にも幅広く会社経営のことを知りたいと考えるようになった。そんな時、中小企業診断士のことを思い出した。1~2年勉強すれば合格するだろう、そんな軽い気持ちから2007年の夏から2008年度中小企業診断士合格を目指して勉強を開始した。

4.2008年度:1年目

 受験校に通学した。通学している時は新しい知識のインプットが楽しかった。合格が目標にも関わらずそれだけで満足していた。1次試験の1週間前から暗記科目を中心に詰め込んだ。結果は2科目の科目合格に終わった。

5.2009年度:2年目(ねくすと1年目)

 インターネットで見つけたねくすとのオリエンテーションに参加した。熱気に圧倒された。合格者は皆、ねくすとへの感謝の言葉を述べていた。私は心を打たれた。ねくすとに参加して合格を目指したいと思った。私の熱意が伝わったのか入会することができた。
入会後、OBや周りの受験生と話をするうち、1年目の敗因がすぐに分かった。敗因は勉強方法が未確立なこと、勉強量が不足していること、何よりその年に絶対に合格するという意思が弱いことだった。
まずは8月の1次試験の合格を目指した。勉強方法はインプットを自習で、アウトプットをねくすとで行うことを基本にした。毎週水曜、ねくすとに出席することでインプットとアウトプットを効果的に行えた。勉強量はOBから教えてもらった7-5-3を目安にした。7-5-3とは本試験までにTACスピード問題集(以下、スピ問)を7回転、過去問を5回転、模試を3回転することである。科目ごとに異なるが、スピ問を9回転、過去問を5回転、模試を2回転程した。財務会計に関してはスピ問では不足と感じたので、TAC集中特訓財務・会計問題集3回転程した。OBから教わった7-5-3はあくまで目安である。理解するまでに私はそれ以上の回転数が必要だった。スピ問、過去問を中心に学習した結果、各科目の基本を押さえることができたと思う。1次試験は5科目で360点を取り無事合格できた。
1次試験終了後から2次試験の準備期間は11週間程。受験校への通学時、過去問解説講義を受けていたこともあり2次試験に対するイメージはあった。通常の水曜日に加えて、土曜日、日曜日にもねくすとの仲間と勉強し、過去4年分程の過去問に取り組んだ。1日かけて1事例を議論していたこともあった。それなりの自信を持って挑んだ初の2次試験だが結果は不合格だった。評価はBCAAだった。悔しかった。

6.2010年度:3年目(ねくすと2年目)

 この年は2次試験の過去問をH13~H21(過去9年分)まで振り返った。通常の水曜日に加えて月曜日、土曜日にもねくすとの仲間と勉強した。それ以外の曜日はねくすとに向けての予習が中心だった。10ヶ月程で過去問を中心に120事例以上こなした。2次試験の対策を十分にやったと考えていた私は事例企業の方向性(あるべき姿)が描ければ、合格できると思っていた。
でも結果は不合格だった。評価は前年よりも下がり、CDAAだった。1年間、私は何をしていたのだろうか?ただ事例をこなしただけではなかったか?どうすれば合格できるのか?そんなことを思いながらこの年のチャレンジは終わった。

7.2011年度:4年目(ねくすと3年目)

 年明けすぐに敗因分析をするため、2次試験再現答案を何名かのOBに添削してもらった。OBといっても昨年までは一緒に勉強していた仲間である。気兼ねなく話せる。多くの指摘をもらったが、要約するとこうである。『2次試験はコミュニケーションの試験。設問に対して与件を根拠に1次知識を用いて答えるだけ。sakadaiさんの解答は自分が書けることを書いている。でも聞かれていることに答えていない。』分かっているつもりだった。でもできなかった。合格するには何かを変える必要があると考えた。
どうしようか悩んでいる時、あるOBから独立診断士の方が開校するコンサル塾があるから行ってみては?と紹介を受けた。環境を変えることも時には必要だと思い、すがるようにコンサル塾に参加した。コンサル塾では毎月課題が出る。課題の中で特に効果があったのは過去問の与件文1文1文から、想起できることを書きだす練習だった。課題の結果を見ると、診断士の方が受験生より想起できる量が多かった。想起できる量が多ければ、作問者の意図に気付きやすい。結果として作問者が求めている解答を導きやすい。なるほどと思った。ねくすとでも『自分の知識の引き出しを精一杯開けた後、設問文の制約に合わせて、引き出しを閉じて設問で問われていることだけに答える』という教えがあった。
この年は自分の知識の引き出しを開ける訓練、設問文の制約に合わせて開けた引き出しを閉じる訓練を中心に行った。2次試験の対策は進んだ。ただ2次試験受験資格を失っていたため、この年は1次試験に合格する必要があった。私は一度1次試験に合格しているので自習で対策を進めた。でも1次試験は不合格だった。情けなかった。

8.2012年度:5年目(ねくすと4年目)

 1次試験合格が必須だったため、1次試験が合格するまでは2次試験の対策はしなかった。例のごとく、スピ問、過去問、模試を繰り返し回した。前年は自習中心で不合格だったので、この年はねくすとの仲間と一緒に勉強した。議論をすれば記憶に残りやすい。周辺知識も増える。1次試験は3科目197点で合格した。
2次試験の対策は決めていた。これまでの復習を中心に行うことだった。過去2回の2次試験敗退の理由は『設問に答えていない。』『与件を整理できていない。』の2点に絞れた。水曜日と土曜日のねくすとに参加して、自分の解答にOBや仲間からツッコミ(指摘)をもらい、その復習をする。OBにマンツーマンで過去問3年分の解答をチェックしてもらい自分の悪い癖を洗い出す。その復習をする。過去3年程のねくすとでOBや仲間からもらったツッコミを見直す。不合格だった年の自分の再現答案を見直し、どこでミスをしているか確認する。ミスしないためには本試験でどういう手順を踏めばいいかを考える。その手順を訓練する。
1次試験終了後から2次試験直前まで私は2次試験で合格答案を書くためにはどうすればいいか?そればかり考え、訓練した。過去4年分の過去問しか取り組まなかったが、取り組んだ事例に関しては『設問に素直に答える』『与件を整理する』がある程度できていた。これまでで一番いい準備ができた。

9.2次筆記試験当日

 朝は気持ちよく起きれた。いつも通りの朝食を食べ、いつも通りに家を出た。最終確認として過去の2次試験での失敗をまとめたリストを確認した。ねくすとでは本試験の朝、試験会場近くの喫茶店にOBが応援に駆けつけてくれる。有難い。ほぼ毎週のように顔を合わすOBと試験前に会う。緊張をほぐしてくれる。『いつも通りにやれば合格できますよ。』自信を植え付けてくれた。
この日は事例1~4まで落ち着いて解けた。2次試験で見たこともない問題や一見傾向が変わったように見える問題が出るのは毎年のことである。焦ることもなかった。設問の制約を押さえて、与件を読み込み、整理できれば、答えは導けるはず。そう訓練してきた。試験終了後、やるだけのことはやった、結果はどうあれ後は待つだけ。とスッキリした気持ちになれた。

10.1次試験対策

・7-5-3を目安に量をこなす
1次試験は科目ごとに毎年難易度が変わる。しかし、問われている基本的な知識に大きな変化はないと思う。難易度が変わろうと基本を押さえていれば、足きりの40点以下になる可能性は低くなる。ねくすとでは「7-5-3を目安に」と教えられる。スピ問7回転、過去問5回転、模試3回転のことであるが、回転数は理解度に合わせて自分で変えればいい。1次試験に合格するにはある程度の量をこなして基本を押さえることが大事だと思う。

・理解度は人に説明できるかどうかでチェックする
ねくすとでは予習してきた内容を人に説明して、説明は十分だったか?説明は分かりやすかったか?を確認する。人に説明して詰まったところがあれば、そこが理解不足の点だと分かる。理解不足の点を重点的に復習すれば、実力はおのずと伸びる。インプットは自分でやり、アウトプットはねくすとで行う。そのサイクルを多く回すことで1次試験に合格できる力がつくと思う。

11.2次筆記試験対策

・知識よりコミュニケーションの試験
2次筆記試験では、設問で聞かれたことに分かりやすい日本語で答えているかどうか?が一番大切だと思う。合格答案と不合格答案を読み比べると、不合格答案は読みにくい日本語、聞かれていないことを答えている解答が目立つ。与件を整理できずになんとか知識で解答用紙を埋める。与件を解答に多く盛り込もうと無理につなげて読みにくい文章になっている。これでは合格は遠い。2次試験の中でコミュニケーションができるかどうかを試されていると認識し、聞かれていることに素直に答えることに集中すると合格に近づけると思う。

・根拠を明確にして因果で書く
中小企業診断士の主張は根拠が明確である必要がある。この試験における根拠は与件文である。解答作成は、与件文を「因」に、環境分析結果や経営課題に対する改善策などの「果」を導くことが基本である。「果」だけを解答すると根拠が不明確なため、事例企業の状況にマッチしない一般論の解答となる可能性が高い。私は採点者が一度読んだだけで、与件文のどの部分を根拠に解答を導いたかが分かる解答を目指していた。与件文の根拠を明確にして因果で書く訓練をするといい答案が書けると思う。

・2次試験で迷わないように準備する
80分は短い。できることも限られている。試験中に迷わないように準備することが大切である。文章の書き方(受験校で教えられる文章の金型化)、曖昧な表現への対応、計算問題ができない時の対応、全く答えが浮かばない時の対応など、試験中に起きたら困ることを想定して準備を進めたい。合否は準備で決まる。2次試験の本番でどうするか?を日頃から自問自答し、本番で迷わないように準備することが大切だと思う。

12.ねくすと勉強会

 ねくすとに受験生として4年間お世話になった。受験校やコンサル塾にもお世話になったが、合格に必要なことの多くはねくすとから教えてもらった。ねくすとは1次対策も2次対策も徹底した議論を行う勉強会である。私の認識ではねくすとの議論は正しい結論を導くための議論というより、自分の頭の中を仲間に披露して、それが中小企業診断士として妥当性が高いかどうかを検証するための議論である。
議論の中ではOBや仲間からは「因果が飛んでますね」「根拠は何ですか」「この日本語で中小企業の社長に伝わりますか」「他に妥当性の高い解答はありませんか」「本当にこれで事例企業が良くなりますか」「説明不足じゃないですか」と多くのツッコミをいただいた。自習では気付けないところにツッコミをいただける。ねくすとでの議論を通じて、多面的な視点、論理的な思考が、この資格の受験前よりも身についたと感じる。
ねくすとは中小企業診断士の目指すためだけに集まったメンバーで構成される。そこには年齢も性別も会社など所属する組織での役職は関係ない。(当然、社会人として配慮は必要です。)時に厳しく時に優しく熱心に指導しれくれるOBがいる。何がなんでも今年合格したいと願うモチベーションの高い仲間もいる。中小企業診断士を目指す上でこの上ない環境ではないかと思う。

13.最後に

 合格までの道のりは決して短くありませんでしたが、諦めずに勉強を続けて本当に良かったと思っています。1人では勉強の継続も困難だった意思の弱い私を奮い立たせてくれ、最後まで応援してくれた、ねくすと勉強会歴代OBの皆さま、一緒に受験生として戦った勉強会仲間、そして5年以上に渡り、好き勝手に勉強させてくれた妻に心より感謝しています。ありがとうございました。

まとまりのない文章になってしまいましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。中小企業診断士を目指す方にとって少しでも参考になれば幸いです。

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