リオグランデ


目次
  1. 受験のきっかけ
  2. 4年間の流れ
  3. 1次試験の対応
  4. 2次試験の対応
  5. 考察

新幹線通勤を長く続けているが、この受験期間の4年間は睡眠防止のためリクライニングを倒したことがない。財務の計算で電卓をたたき、事例の回答をせっせと書き、自己採点をしていた。1月6日に診断士に最終合格した後はシートを思い切り倒して通勤しようとずっと思っていたが、貧乏性ゆえか相変わらずあれこれ読み書きしながら通勤し続けている。

1.受験のきっかけ

私がこの試験に取り組んだきっかけはちょうど4年前の1月に行われた大学の同窓会で、同級生から診断士試験に合格したという話を聞いたことだった。実はその数年前にも受験を思い立って調べてみたものの、試験範囲が広いこと、財務会計、生産管理、販売管理など中核になる部分の知識も経験も無かったことから見送っていた。そんな背景もあり、同級生が受かったと聞いて一気にスイッチが入り、その場で合格宣言までした。しかし当初は1年で受かるつもりで始めたのが、結果として4年もかかってしまった。以下はそのてんまつ記です。

2.4年間の流れ

次のような流れでした。
2008年 1次 ○  2次 ×  (独学)
2009年 1次 ○  2次 ×  (3月よりねくすと参加)
2010年 1次 ×  2次 ×  (ねくすと)
2011年 1次 ○  2次 ○  (ねくすと、某予備校の直前パック)

これで分かるように、私にとって診断士試験とは実質的に2次試験との戦いだった。

3.1次試験の対応

1次試験には1年目からスムーズに対応できた。その理由は次の点があったと思う。

①何年も経つが英検1級や通訳ガイドなどの語学系やシステム監査などの情報処理技術者系はクリアしていて、「試験慣れ」していたこと。
②ここ数年は某公的試験の試験委員として診断士の1次試験相当部分の作問を担当しているため、作問者の意図や心理は容易に理解できたこと。

実際の対応としてはまず各社の1次過去問集の解説を読み比べて、大原の過去問集をベストと考えて揃えた。ただ解説の比較といっても、各社で毎年同じ人間が解説文を書いているわけではないので比較は難しい。自分のフィールドであれば過去問を丁寧にやれば終わりなのだが、7科目のうちで自分のフィールドといえるのは情報しかないので、テキストもしっかり読まないと効率が悪いと判断して結局、TBCのテキストを選択した。こうして2月頃に本格的に勉強がスタートした。

スタートしてしばらくは、過去問の解説が詳しかったことや内容自体が面白いと思えたこと(これは大事)もあり、独学による勉強はスムーズに進んでいった。だが財務会計に差し掛かると一変して進まなくなった。何しろテキストがよく理解できない。原因はテキストが前提にしている基礎知識すら無かったことだった。

そこから財務会計との長い格闘が始まった。まずTAC出版の日商簿記3級と2級のテキストを購入して取り組んだ。これは主に商業高校生向けの内容のため、とても分かり易く書かれていて役立った。その後に財務諸表の分析や経営に関する本を数冊読んだが、これらは直接の試験対策というよりも自分の常識不足を補う為だった。その中でも高田直芳氏の著作と最新の財務諸表分析のブログは面白かった。これで常識の欠如のいくらかはカバーできたかと思う。

さらに財務会計は計算問題が重要なこと、2次試験の事例4と完全に重なっていることが分かり、集中特訓、ロジ財、イケカコノート、などの定番系の教材に取り組み、結局これは最終合格まで続くことになった。このようなわけで1次試験対策は最初の見立て通りにはとても進まず、財務会計に半分位の時間を投入するはめになった。直前期には模試を受ける予定だったが、財務が弱いことは明らかだったので模試はすべて取りやめて直前期も財務会計中心で押し通した。このようにとてもスマートな1次試験対応ではなかったが、1年目からなんとか合格することはできた。

4.2次試験の対応

 <1年目>田町の貸し会議室(筆記)
1次試験直後の自己採点で合格が分かり、2次試験の準備に取りかかった。とはいえ独学で当時手持ち情報も限られていたので限られた市販テキストを調達して取り組んだ。9月に入って過去問が重要だと認識して、これを解き始めた。ただ模範解答がなぜそうなるのか、がなかなか理解できずに難渋した。
2次試験当日は十分な自信が無いまま臨み、事例4の難問でのパニックもあり撃沈した。
*試験開始時間までに席に戻れない受験生が多数出るという伝説のトイレ地獄はこの会場で発生した。これが基で2年目以降は模試会場で、水分摂取量の調整、休み時間でのトイレ省略、などの実験を行う習性になった。またH23年度に2次試験時間が変更された遠因にもなったと思われる。

<2年目>明大リバティータワー(筆記)
3月よりねくすとに入会して、気後れしながらも9割がた出席できた。8月からはどねくにも参加した。ねくすとで初めて多くの診断士受験生と議論し、本格的な2次試験の対応方法や対策を学ぶことができたが、十分に身に付けることができずに本番では敗退した。事例4は難問があり、その対応がうまくできず前年の轍を踏んでしまった。

<3年目>明大リバティータワー(筆記)
今年こそ決めようと思い、ねくすとにも9割がた出席した。Tさんらと再現答案の分析も徹底的に行って、それなりに納得のいく教訓も得た。必勝を期して本試験でもかなり粘れたという感触はあったが、力及ばなかった。事例4は難問が姿を消し難問対応は不要だった。この年の不合格は自分にはかなりショックであり、再スタートにはかなりエネルギーが必要になった。

<4年目>日大経済(筆記)、明大リバティータワー(口述)
もうこれで最後だというつもりで再スタートした。震災までは順調だったが、震災でペースが狂ってしまった。仕事上でかなりの要員を他部署に持っていかれたが、仕事量は実質的にそのままというパターンにはまり、ねくすとはほとんど出られなくなった。もう来年まではモチベーションが続かないと思っていたので、思い切って睡眠時間をカットするなどして勉強時間を無理やり確保した。出張時にも勉強時間の確保を最優先してスケジュールや交通機関を決めた。
試験当日は縁起を担ぎ、筆記会場が変わったのを機に飲み物の購入場所も過去3年とはすべて変更した。過去3年ご利益が全く無かったキットカットは止めて、ホワイトチョコに変更した。口述試験時にはそれをすべて忠実になぞったことは言うまでもない。口述試験をリバティタワーで受けられたおかげで、リバティコンプレックスのまま診断士になることも回避できた。
筆記試験の発表で自分の番号を見つけた時は全身の力が抜けるおもいで、何度も見直した。

5.考察

2次試験については未だに良く分からない点が多いので、自信を持って述べたり書いたりすることは難しいが、その前提であえて書き出してみる。受験期間中にずっと考え続けてきたことだからである。

・2次試験は結局のところ、設問要求は何か、採点基準は何か、の2点を見抜く「精度」でほとんど決まるのではないかと思う。精度が低い、すなわちミスマッチを起こしていると、どれだけ流麗な答案を書いても点が入らず、逆に精度が高ければ不細工な答案でもしっかり点が入るのではないかと思う。

・この2つの精度を上げることがいかに困難かの例証の1つは、ねくすとの2次フィードバックにも見られる。多くの受験生が、自己評価とフィードバック結果が大きく乖離していると報告している。これはねくすと固有の話ではなく、502教室からのリンクなどでも同様だし、そもそも自分も4年間ずれたままだった。

・もう1つの例証は、いくつかの予備校で行っている再現答案の採点結果と実際の結果の相関である。ここでも相関が著しく低いことは、受験業界のプロでも設問要求と採点基準を高い精度では把握できていないことを如実に示している。また模試の一桁順位でも不合格となり、4桁順位でも受かる事実も、同じことの結果であると思う。

以上のようなことを4年目は特に強く意識して、2点の精度を上げることに重点的に取り組んだ。具体的にはまず過去問に加えて初見問題への対応トレーニングを重視した。初見材料はそうそうあるわけではないので、必然的に量より質になる。これには過去に受けた模試問題、ねくすとで使った資料、市販事例問題、OBから頂いた資料などが中心とした。これらをもとに最終的に答案作成時には要求を正しく把握して、根拠を対応付ける、ことに最もフォーカスした。根拠を間違えるとその設問は部分点の余地は無く0点だし、さらに他の設問も一蓮托生の可能性が高い。逆に根拠を間違えなければともかく点は入る、と考えた。そしてこの割り当てを正しく行うガイドこそが、ねくすとの方向性の考え方なのだと思った。ストーリの辻褄が合えば十分なのではなく、規範的であること(normative)が必要で、それを担保してくれるのが方向性ではないか。理解に自信は無いがそう考えていた。規範的に構成することはハイリスクだとして明確に否定する考え方を述べるプロ指導者も多いので、大きな分かれ道になるポイントだろう。

もう1つの対応として、コンサルタントとしての基礎能力として要求され、前提とされているであろうロジカルシンキング、ロジカルライティングのトレーニングも積極的に行った。これは職場で元マッキンゼー講師の研修を受ける幸運にも恵まれ、目から鱗の部分が多かった。また日本語コンポジションについての文章作法など昔からある多くの著作にも取り組んだ。これらの取り組みは最終的にどれだけ点数を押し上げてくれたかというと定かではないが、2次試験のための基礎的能力を底上げできたのは間違いないと思う。

以上の他にも様々な2次試験への取り組みをしたが、上記に比べると成果のほどは定かでないのでここには記述しない。
言うは易く行うは難し、で自分がどれだけ実践できて身に付けられたかは甚だ心もたないことも多いが、何がしかご参考になれば幸いです。
OB、受験生の皆様ありがとうございました。

以上

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