合格体験記(big_one)

目次
1.受験歴

H18 一次試験 不合格(経済・法務・中小を残す)
H19 一次試験 合格   二次試験 不合格(BBBA→B)
H20 一次試験 不合格  二次試験 合格

2.診断士を目指したキッカケ

 私が診断士を目指し始めた時期はかなり前で、確か平成14年くらいだったと思います。
この頃は、前職の会社を辞めて実家の家業を継ぐことを決意した時期でした。しかし、ただで辞めるのも勿体無いので、前の会社の教育訓練給付金制度を使ってやろうと思い、色々な資格を物色していた時に中小企業診断士の存在を知りました。
 この資格を取れば、①経営について体系的に学ぶことが出来、家業を継いで経営者となった時に役立つかも、②もし継いだ家業がつぶれても(つぶしても)再就職の助けになるかな、という考えでこの資格の勉強を始めることを決め、予備校の通信講座に申し込みました。
 しかし、届いた教材のあまりのボリュームの多さに唖然とし、内容の難しさに途方にくれました。資格を目指し始めた理由が、会社の給付金を使ってやろうという少し不純な動機だったこともあり、まったく勉強する気が起きず、ろくにテキストも開かずに勉強することをやめてしまいました・・・
 それから4~5年後、既に家業を手伝い始めていた私は、会社の経営に携わっていました。その業務の中で、会社の状態が非効率でることはわかるけれども、どうやって良くしたらいいのか?どうしたら従業員のやる気を引き出せるのか?今までのような経験と運と勘の経営で良いのか?といったようなことを考えるようになっていました。
 そこで、教材が揃っていることもあり、以前目指しかけた中小企業診断士の勉強を再び始めることとしました。しかし、当初は合格が目標では無く、経営の知識の習得ができればいいや、程度の考えでした。

3.一次試験

前述の通り、「絶対に受かってやろう」という心意気が無いものだから、勉強も全く計画性が無く、興味のある教科から手を付け、過去問を解いては60点を越えた越えないで一喜一憂し、間違えた問題をテキストで確認するという繰り返しでした。
しかし、そんな勉強でも診断士試験の勉強内容の面白さに気付き、診断士試験にだんだん熱中するようになっていました。ただ暗記教科だけは忍耐力の無い私には苦痛以外の何者でもなく、暗記教科の勉強のウェイトは他の教科に比べ、かなり手薄となっていました。
そんな勉強を約10ヶ月続け、1次試験受験当日となりました。模試は受けていなかったのですが、過去問ではだいたい7割~8割取れるようになり、自分としてもそれなりに勉強したつもりだったので、全く歯が立たないということは無いだろうと感じていました。結果は、経済・法務・中小が60点未満の総得点は確か413点ぐらいで不合格となりました。あと3~4問正しければ合格したかと思うと非常に悔しい気持もありましたが、ここまで結果が出るとも思っていませんでした。
しかも苦手な暗記科目の1つである情報が合格し、結構好きな科目である経済が残っていることで、
「来年はあと少しだけ勉強すれば一次は楽勝だな。二次は一次が合格してから考えればいいや。」
と愚かにも考えてしまいました。
この時、私がもう少し賢く
「一次を早々に合格ラインまで引き上げ、二次試験の勉強を始めて来年合格するぞ!」
と考えていれば、診断士試験にこんなに月日をかけずに済んだのかもしれません。
そして翌年、同じ勉強方法で一次試験の残り科目を合格し、二次試験の勉強を始めました。この時まで二次試験をほとんど勉強したことが無かったため、二次試験の解法を知るために、P予備校の8週間くらいの短期コースに入学しました。

4.平成19年 二次試験(ねくすと入会前)

二次試験を勉強してみると、一次以上に面白く、かなり熱心に勉強するようになりました。朝に1事例、夜に1事例、あと計算問題を1問解く、というスケジュールを日課にしていました。これは自分の人生史上初の「真剣に勉強した時」でした。
その時の勉強方法は、P予備校の提唱する事例解答のためのフレームワークで事例を解き、自分の作った解答とP予備校の模範解答の違いを確認し、間違えた部分を模範解答の解説文を読んで反省する、といった勉強方法でした。
ちなみに80分で事例を解くことを最初の頃から目指し、そしていつも80分で解けず、80分で事例を解く難しさに悩んでいました。
それから毎日毎日愚直に上記の勉強を続けていましたが、試験2週間前になっても80分で模範解答のような解答が書けず、行き詰まっていた時、「80分の真実」という本に出会いました。
この本は、過去の合格者の再現答案とその思考プロセスが書かれた参考書で、これを読んで模範解答とは程遠い出来の解答と思考プロセスで合格している人がたくさんいることを知り、ずいぶん気が楽になったと同時に、なんでP予備校は模範解答とは合格答案の一つの可能性であり、合格に至るには多様なアプローチがあることを教えてくれなかったんだ!と怒りを感じたのを覚えています。まぁ、今にして思えば、そんなこと自分で気付けよと当時の自分に言ってやりたいですが・・・
そして結局、80分で解答を書きあげる手法を確立できないまま本試験に挑むことになりました。とにかく解答欄すべてを埋めなければ合格は無いだろうから、何が何でも解答欄は必ず全て埋めることを目標にしました。
結果は奇跡的に全ての解答欄を埋めることが出来ましたが、不合格でした。目標が「合格」ではなく、「書き込む」ことが目標となった時点で敗北は必然だったのかもしれません。
不合格通知が届いた時、すぐに来年に向けて動き出し、来年こそは必ず合格することを決意しました。理由は、来年まで受験資格があることと、そして何より初めて人生の中で真剣に勉強した「診断士試験」を、何も結果を残さずに終わらせることが許せなかったのです。
この時、「何が何でも診断士試験に合格する」という強い気持を持ったように思います。

5.平成20年 二次試験(ねくすと入会)

しかし、絶対合格を決意したものの、自分に忍耐力が乏しいことは良く理解していたので、独学では無理だと考えました。また、受験校でもおそらく通わなくなる恐れがあると思いました。
そして、自分が一年間高いモチベーションで勉強するためにはお互いを刺激し合える「勉強仲間」が必要なのではないかと考えるようになりました。そこで、ネットで検索し、H19二次試験で多数の合格者を輩出したらしい「ねくすと勉強会」を知り、入会を決めました。

*(1月~4月期)
ねくすとに入会すると期待通り、合格への意欲の強い受験生がゴロゴロおり、刺激をビシビシ受けることができました。その中の何人かをライバルと勝手に設定し、「こいつより良い解答を書いてやる!」という思いで、考え抜いて練りに練った解答をすいねくにぶつけていきました。そして議論の中で、一人で考えても気付けなかった点をいくつも気付かされ、ねくすとに来て議論することが楽しくて仕方がない時期でした。ただ考え抜いた解答を作ることは苦しかったですが・・・
また、てんねく(勉強会後の飲み会の通称)が私の中ではすいねく以上に貴重な時間でした。OBの方々からマンツーマンで解答に突っ込みをもらえたり、考え方や勉強方法を聞くことで、合格者のコンピテンシーがぼんやりと見えた気がします。また、この時いつも同席していた受験生に強い連帯感・仲間意識を感じるようになり、それがより一層強い合格への意欲、モチベーションに繋がった気がします。
あとこの頃は、どういった答案が合格答案であるかを知るために、ねくすと合格者と80分の真実の再現答案を写経し、合格答案のレベル感を知ることにも努めていました。

*(5月~7月期)
入会当初は、とにかくOBの方々の言うことを信じ、制限時間に囚われずに事例を解いていました。しかしGW(ゴールデンウィーク)頃になると80分で事例を解く技術にいっさい手を付けずにいることを不安に感じていました。特に私は前年度の試験で、80分で解くことに本当に苦しんだため、そろそろ何か取り組みたい衝動に駆られていました。
しかし、その相談を全幅の信頼を寄せるOBにしたところ、二人とも
「80分対応はラスト1ヶ月で十分間に合う。とにかく今は事例を考え抜くべきだ。考え抜いても合格答案書けないのに、80分で解答書いても意味が無い。」
と言われ、若干不安な思いを抱えながらも、この頃も考え抜いて事例を解いていました。
また、この頃効果があったと感じるのが、GWのスペシャル企画の数々でした。特に「経営分析SP」が個人的には大きな衝撃でした。正直、経営分析に対して大きな悩みを感じてはいなかったので、「何か気付きが得られればいいな」、程度の軽い気持ちで参加しました。しかし、合格者が与件文から選ぶ納得性の高い指標と、自分の選ぶ指標の差に愕然とし、与件文の一語一語に反応できるアンテナがまだまだ不足していることに気付けた貴重な機会でした。

*8月
今年不合格となり、来年も受験する場合の保険として、一次試験を受けることにしました。しかし、二次試験に比べ、勉強に面白味が少ないため、全く勉強する気が起きず、一切勉強しないまま挑戦することになりました。この体験記の最初の方で書いた通り、私は一次試験をかなり適当に勉強したため、一次知識がかなりあやしい状態になっていたにも関わらず・・・
結果は恥ずかしながら経済学の1教科のみの科目合格。この結果は、もし来年一次試験から受験した場合、相当の苦労をするであろうことがわかり、まさに背水の陣で今年の二次試験に挑まなければならないことを痛感させられました・・・
一次試験の結果を受け、その危機感から月ねく(月曜に行うねくすと勉強会)を立ち上げることにしました。多少、○やど○OBにはめられた感がありましたが、この月ねくが私の合格に大きく寄与したことは疑う余地がなく、今となってははめられた事にも感謝しています。
月ねくの良かった点は、
・月曜にあるため、前日の日曜も休むことが許されず、きっちり追い込んで勉強しなければならない
・有志のみが集まって行うため、それぞれの課題に合わせて、結構自由に課題克服の試みができる(例えば80分で解いた解答で議論したり、一つの設問に複数の解答を書いて意見を求める等)
といったところでしょうか。
スピンオフ勉強会は非常に高い効用を得られたので、是非お薦めします。

*9~10月
この時期はとにかく80分で安定したレベルの解答を書ける練習をしました。
OBの方からは一ヵ月あれば80分で解く能力は身に付くと言われていましたが、やはり少し不安だったので、2ヶ月前から対策を講じ始めました。
この時期になると、過去の事例のほとんどで考え抜いた自分のベスト解答が出来ているので、80分で解こうとした解答と、自分のベストの解答を比べ、書かれている内容や、読みやすさを確認していきました。
ちなみに、私は合格するために必要なのは
・書くべきことが書かれた
・読みやすい答案を
・80分で書く
ことだと考えていました。
そのような答案を書けるようになるために、以下のことが有効だったように思います。
書くべきことを選択する手法に関しては、方向性の考え方が有効だったように思います。事例企業がどのように改善するかを方向性で考え、その方向性の中で必要だったことを書けば、書くべきことが書けるようになったと感じています。
読みやすさに関しては、設問を読んだ時に、何を主語として、何の言葉で締めくくるかをフォーマット化する手法で対応しました。(例.SWSは、~の効果を生み出す可能性がある。機能させる上で、~する必要がある)ちなみに「~」の部分は箇条書きにすることが多いです。
この手法は、設問で問われていることを確認できる効果もあったように思います。
80分で書く手法は、何分までに方向性をまとめ、何分に書き始め、何分に第○問を終わらせるといった細かいタイムスケジュールを最初に決め、それをオーバーしないようにすることでした。私は納得するまで次のステップに移れず、方向性を考え過ぎたり、文章の推敲に時間をかけ過ぎてしまってタイムオーバーとなることが多かったため、強制的に次のステップに移るような手法としました。

以下は実際の試験の時の具体的な解答手順です。
【手順0】解答用紙・与件文を透かし読みし、文字数・業種などをチェックする。
【手順1】 解答用紙の各設問の右側余白に、開始何分までにこの設問を解かなければならないかの目安の時間を逆算して書き込む。それをベンチマークにして、試験中のペースメーカーとした。これにより書き始めのリミット時間も自然と決まる。(例・100字=7分 50字=4分 30字=3分)
【手順2】 設問文を順番に読む。その際、設問ごとに何を主語として、どのように解答を締めくくるか等の、書き方のフォーマットもある程度決める。また事例の方向性を匂わせる設問文をチェックする。
【手順3】 与件文を読む。SWOTと経営方針等にマーカーでチェックしていく。
【手順4】 事例企業の問題に対して、どのようなアドバイスをして、どのように企業を改善させるかを、あまり設問に振り回されずに考え、事例企業改善の方向感・全体感を掴む。設問は改善策の手段・ヒントぐらいの扱い。
【手順5】 掴んだ方向感・全体感の枠から外れないよう、各設問で何を書くかを考え、設問の余白にメモ書きする。
【手順6】 何を書くか決まったら、あらかじめ決めたベンチマークをオーバーしないよう順番に解答を書き上げていく。書き始めに設定した時間までに手順5が終わらない場合は、考察途中で書き始め、解答を書きながら考える。
【手順7】 最後の5分で誤字・脱字などをチェックする。
そして、以上の手順を試験当日に実際どのように使ったかが以下です。
事例Ⅰのみサンプルで書きました。ドキュメンタリータッチで書いてますのでお楽しみください。

【手順0】試験開始前の準備

いよいよ本試験。緊張と興奮を抑えるために精神統一し平静を保つように努める。問題用紙・解答用紙が配られ、それらを透かし読む。600字、結構少ないな・・・。二者択一問題とは新しいな・・・。機内食が関連する企業なのか・・・。さぁ、今年の事例Ⅰはどんな揺さぶりをかけてくるか?どんな揺さぶりが来てもパニックにならないよう自分に言い聞かせ、試験開始を待った。

【手順1】試験開始、タイムマネジメント設定

試験開始。普段の手法通りに何分にどの設問を解けば良いかの目安を書き込む。開始34分で書き始めと決める。

【手順2】設問文読み

設問文の確認とともに解答のフォーマットをある程度考え、メモ書きしていく。
第1問:内部環境の強みを分析する問題か。一つの設問内で歴史的背景・強み・形成要因を聞かれており、フォーマット化が難しい。とりあえず「強みは、~である。要因は、~である。」でフォーマットを組む。歴史的背景の組み込み方については与件文を読んでから考えることにした。
第2問:今度は外部環境の脅威を分析する問題か。この設問も解答の主語が悩ましい。今年の試験は形式化した解答手法を許さないという方針だろうか?とりあえず「商品特性は~であるため、~となっている。」とする。
第3問:「収益改善に取り組む現社長」という社長の思いを表わした一文にマークする。聞かれていることは権限移管によるコスト削減効果か・・・。フォーマットは「効果は~である。」とする。
第4問:ん?SWSって何だ?まぁ、与件文を読んでみるか。フォーマットは「SWSは、~の効果を生み出す可能性がある。機能させる上で、~する必要がある。」とする。
第5問:ふ~ん。○×は新規事業の成否の判断か。フォーマットは「理由は、~である。」とする。

【手順3】与件文読み

SWOT・社長の思い・モットー等、気になる所にマークしていく。また、第1問で歴史的展開が聞かれているため、時系列でのA社の変化にも留意する。

【手順4】事例の全体感掴み

設問文と与件文から事例の全体感・企業改善の方向感を考える。この企業は、第3問の「収益改善に取り組む現社長」第9段落の「営業利益の大幅減少が大きな経営課題」第12段落の「新しい事業の柱の構築が目的」といった文脈から、「収益を改善させるために、既存事業のコスト削減と、新規事業による売り上げ拡大」を企業改善の方向性と決めた。

【手順5】各設問に書くことを考え、メモ書きする

第1問:強みらしき記述が多く、どれを選ぶか迷うが、新規事業に活かしやすい強みを選び、メモ書きした。歴史的展開は「取引先の要求に応え事業拡大」とメモ書き。要因についてはよくわからず。
第2問:特にメモ書きはしなかったが「付随サービス」のキーワードは頭に浮かんでいた。ただ100文字の解答欄を埋めるにはもう一つの観点が欲しいと考えていた。
第3問:「生産性向上」「適切な仕入れ」とメモ書きする。しかし具体的に何を書くか全然わからなかった。
第4問:「モチベ↑」とメモ書きする。これも第3問同様、何を書くかイメージ出来なかった。セル生産の学習をあまりしなかったことを後悔した。
第5問:特にメモ書きはせず。第1問に対応させることだけを考えていた。

【手順6】解答書き

結局、書き始め予定時間までに解答の骨子が作れず、見切りで書き始める。
第1問:あらかじめ決めていた強みを選んで記述。しかし予想外に文字数を取られてしまい、歴史的要因の記述が不十分となる。しかし解答再構成には時間が掛かりそうであり、予定時間も近かったため、見直し時間に再構成することにした。
第2問:付随サービスで一文書く。やはり解答欄を埋めきれない。商品特性の観点から外れそうなため、売上構成比率には触れないつもりだったが、やむなく書くことにした。少しでも点数が入ればラッキーという考え。
第5問:第3問、第4問がわからなかったので、書きやすい第5問に取り掛かる。具体的内容の部分が第1問とのカブリ感があったが、残り時間に対して残している設問が多かったため見切りをつけた。
第3問:与件文内で具体的に触れている文章が無いので、妥当性のある内容を推測で書く問題ということはわかっていたが、何を書いて良いかわからない。残り時間が約10分となったので、とにかく人事権と購買権の観点から思いつくままに書いた。
第4問:取り掛かる時点で残り5分。しかも何を書くか見当がつかない。今年も駄目かと諦めの気持ちが出かけたが、踏ん張ってとにかく書いた。自分の持っているセル生産の知識を盛り込み、人事・組織の枠から外れない事だけは意識して効果と機能上必要な点を書きなぐった。
ドキュメンタリーは以上です(笑)
わたしは以上のような1年を過ごすことにより、合格答案を試験当日に何とか書くことが出来ました。
時系列で書き記しただけで参考になるかわかりませんが、この合格体験記が反面教師としてでも皆さんのお役に立てれば幸いです。
では、駄文に最後までお付き合いいただきありがとうございました。皆さんの合格を心からお祈りしております。