合格体験記(ふぃーるど)

0.はじめに

 私は、中小企業診断士試験に4年間取り組みました。途中何度も諦めようと考えましたが、ねくすと勉強会のお陰で、何とか踏みとどまって学習を続けることができ、さらには合格することができました。
 本合格体験記は、私自身の合格までの経緯と考えたことをまとめており、この内容が他の受験生の方々、特にねくすと受験生の方の参考になれば幸いです。

1.受験状況
 1次2次ねくすと参加状況受験期間
1年目(H16)合格不合格参加なし大原
2年目(H17)未受験不合格すいねく・どねくLEC
3年目(H18)合格不合格すいねく・どねくLEC
4年目(H19)合格合格ねくすとにはほぼ参加せずLEC

※すいねく:水曜日(19時~22時)に実施している、ねくすと勉強会
 どねく:土曜日(9時~22時)に実施している、ねくすと勉強会のオプション勉強会

2.受験の動機

 H15年の秋、かつての職場の同僚であり、転職した先輩から転職の誘いを受ける。その会社で成功すれば、より大きな仕事に関わることができるチャンスを獲得しキャリアアップを図ることができると考えた。ただし仕事は厳しくなると聞かされており、自分の実力が通用しなければドロップアウトしてしまう不安があった。その際、自分の自慢できる能力にどのようなものがあるのか振り返ったところ、競争力のあるスキルやノウハウを持っていないと判断し、その時点で転職することは時期尚早だと考えた。結局、その会社への転職はあきらめた。
 転職(独立)志向が無い訳ではなく、いつかは転職して自分の実力を発揮してみたいとぼんやりと考えていた自分としては、転職する際の拠り所となる強みを持てていないことは、問題だと考えた。そうかといって、具体的に関わりたい仕事があるわけでも、転職したい会社があるわけでもないため、何をやっていいのか分からない(本当はここが一番の問題!)。学生時代からぼんやりと、マーケティングや会社の経営に興味を持っていることから、その分野でのスキルアップするための方法を考えたが、日ごろの会社業務の中では外部でも通用するスキルを磨くことができないように感じ(最近はそんなことも無いと思う)、資格取得の学習を通してのスキルアップを考えた。そこで白羽の矢が立ったのが、中小企業診断士。難関資格だと聞いており取得するためには大変な努力が必要だと認識していたので、これまで二の足を踏んでいた。難関だからといっていつまでも挑戦しなければ、いつまでも変わることが出来ないと考え、その年の年末から受験機関の講座を調べ始め、H16.2ごろから本格的に受験機関に通い始めた。

3.経年での受験勉強の様子

■1年目

(1次試験)~重点ポイント:1次知識の徹底習得~
 受験機関の授業を中心とした学習。1月から始まったストレート合格コースでは、水曜日の夜+土曜日に講義があった。基本的には復習中心で、分からない箇所を後で確認するスタイル。中盤からは、講義内容をテープで録音できることを知り、概ね全ての講座をダビングし、隙間時間(通勤時間・昼休み等)や勉強の気分が乗らない時に聞いていた。
 また、日曜日は講義がなかったため、自宅や近所の図書館や近所の海岸公園で学習することが多かった。
 問題集にはほとんど手を付けず、ひたすらテキストの読み込みと講義テープの聞き込みを続けた。
 結果的に、問題をこなすことを経験していなかったため、「筋力」が必要になる財務・会計では自己採点で40点を下回る結果となったが、幸運にも合格できた。しかし、この状態は後々大きな課題を残すことになった。

(2次試験)~重点ポイント:特に無し(漫然と受験)~
 1次試験には落ちたと思っていたため、1次合格発表までは2次試験の過去問さえもほとんど目を通さなかった。
 まさかの1次合格後、初めて2次試験向け講座を受講した。今思えば、なんとなく分かったような気で聞いていたが、結局は上滑りの理解でしかなかったように思う。
 1次試験では、テキストを読み込み、講義テープを聞き込むというスタイルがうまくいったために、2次試験の学習でも同じようなスタイルで取組んでしまい、事例問題をまともに解くことが無いまま、本番に臨んだ。
 結果は、言わずもがなの不合格。特に財務についてはCFの作り方も分からずに撃沈。更に1次試験の財務のトレーニング不足が露呈した。それ以外(事例Ⅰ~Ⅲ)でも自分の課題を明確にできないまま2年目の受験勉強に入る。

※後で分かったことだが、1年目の前半にモチベーションを維持できたのは、ねくすとのお陰だった。何とも無しにインターネットで中小企業診断士受験の情報を探していたところ、あるホームページにものすごい勢いで勉強している人たちの様子が書かれていた(飲み屋の女の子からの誘惑電話に負けてお店に行ったのに、酒を一滴も飲まずにずっと問題集を解いていたYさん、とか)。中小企業診断士試験はそのくらい勉強しなければ合格出来ない試験だと認識し、自分もそのくらい勉強しようと思い奮起した。そのホームページがねくすと勉強会のホームページだと知ったのは、入会した後のことだった。

■2年目

(1次試験) ~重点ポイント:なし~
学習せず、受験せず。

(2次試験) ~重点ポイント①:ねくすととの出会い ②:事例に慣れる事(数をこなす)~
 受験機関の講義を聴いてもさっぱりと糸口が掴めていなかったことから、何か別の切り口の学習法が無いものかと、インターネットで情報を探していたところ、勉強会で学習するスタイルがあることに気付いた。
 ネットで情報収集できる勉強会はいくつかあったが、調べていた時期と同じ時期にオリエンテーションを行っていたことから、ねくすと勉強会の門を叩いた。入会当初から2次組みの議論に参加させてもらったが、今思えば当時思っていた以上に、周りの足を引っ張っていたと思う。与件文から「想像」「推測」できることを自由に解答に落とし込み、議論の中でもそのような発言を行っていたからである。
 すいねくでは2次組みに参加し、過去問に取り組んだ。どねくでは、午前中にロジック財務の読み合わせ、午後は事例問題のその場解き・事前解き等を行った。この年の2次受験直前期までは、事例の解答に何を書いていいのか分からない状態が続き、すいねくやどねくの事前解きでは、深夜2時・3時になってもマス目が埋まらないという状況に陥っていた。それでも、すいねく・どねくを通じて議論を重ねていくうちに、事例問題を解く際の基本的な考え方、方向性の捉え方、記述方法のパターン、1日4事例を解く体力、などを身に付けはじめ、合格に向けてピントは合ってきたように思う。かなりのバラつきはあったが、何回かに1回は切れのある解答を書くことができ、少なからずの手ごたえもあった。しかし、この年は「試験当日に」、「合格レベルの答案を」、「書けなかった」ために不合格となった。

■3年目

(1次試験)~重点ポイント:1次に合格すること~
 2年目に1次を受験せず、1次の学習も一切しなかったことから、独学で合格する自信が全く無かった。そのため、受験機関のストレート速習講座を受講することにした。当初、1次の学習は受験機関中心(+すいねく)で行うことを考えていたが、ねくすとメンバーから熱いラブコールを頂き、受験機関の受講日を土曜から日曜日に移し、すいねくだけでなくどねくの1次組みにも参加することにした。
 受験機関では各科目の内容を網羅的に把握すると同時に、ねくすとでは主にTACのスピード問題集、ロジック財務、ロジック運営管理、その他ピンポイントで各予備校の問題集を活用し、弱点の補強を行った。また、財務・運営管理等の2次に直結する科目の深堀を行った。
 直前期には、記憶問題が多い運営・法務・中小をTAC、LECのWeb講座等で受講し、通勤電車の中で講義テープを繰り返し聞き込み、体に染み込ませた(この頃、講義内容をipodに入れるテクを習得し、複数の講義を聴きたい時に聴けるようになり、非常に重宝した)。
 また、所謂サブノートは作成しなかったが、各科目で新たに理解した点や分からなかった点は、エクセルの表に打ち込み、一覧化した。テスト当日等に読み返すことで、知識を一瞬でフラッシュバックできたので、非常に有効だった。さらに4年目の1次受験の際にもほとんど手を加えずに活用することができた。
 以上より、合格点を大きく上回る点数を獲得することができた。

(2次試験) ~重点ポイント:前年度の勘を取り戻すこと~
 この年、2次の学習は1次終了までほとんど行わず、1次終了後の8月から初めた。こなした事例の数は約60程度で前年と比較すると少なかった。
 重点的な課題は、「沢山解いて事例に慣れる⇒去年の自分の良い時を思い出す」であったため、自身の弱点に対する認識とその克服方法についての意識が弱かった。結果としては、BBBAのBという成績で、「あともう少し感」たっぷりの状態で、悔いの残る年となった。

■4年目

(1次試験) ~重点ポイント:特になし~
 試験直前の1週間前くらいに、前年度受講したTAC・LECの運営・法務・中小の講座を聞き込みと、「経済学入門」を通読した。
 結果は、何とか合格。僅かな知識でも、試験当日の現場対応力があれば、何とかなることを実感した。

(2次試験)~重点ポイント①:学習を継続すること ②:弱点を明確化し補強すること~
 会社では、勤務時間が長時間になったこと、強いストレスを常に感じるようになったこと、などにより、今までのように学習時間を確保し学習に集中することが難しくなった。そのため、ねくすとへの参加(ねくすとに参加するための事前準備含む)は断片的にならざるを得ず、中途半端な参加により他のメンバーへの迷惑がかかる可能性を考えると、結果的には土曜日の受験機関に通うことが、診断士受験を継続するぎりぎりのところだった。
 学習時間は明らかに減少したが、その分目的意識を強くして学習することができたように思う。前年度の反省から、「弱点に対する認識とその克服」を課題として設定した。そこで、まず自分の弱点を常に認識できるように、事例を解いて悪いと思った点は対策と共に必ずメモを残し、後で見直せるように留意した。とは言え、その内容は毎回似たようなものであり、正直目新しい発見や対策は無かった。弱点は、SWOTを把握する際の漏れ、方向性を検討する際の与件情報(主にSWOT)の漏れが主だったものだったので、対策は、与件チェック時の線の引き方と、分析する際の目線?を補正する程度だったように思う。雰囲気で解答する傾向の強い自分としては、事例を解く際の道標を確保したという意味で、非常に有効な取組みだった。
 並行して、過去問への対応を強化した。具体的には、①前年度に受講したLECの過去問分析講座の聞き込み、②過去問を解く、③過去問の模範解答の写経、である。また、LECの講座が過去問をかなり意識した内容であったため、過去問に馴染むという点で非常に役にたった。
 この年は、ねくすとにはほとんど顔を出せなかったが、「続ければ誰でも受かる試験」、「合格は順番」、「ここまで試験勉強をして諦めるのはもったいない」、「あともう少し勉強すれば合格できる」といったねくすとの皆さんの言葉が非常に励みになった。
 また、前年度までにねくすと流の「方向性」を掴む訓練をしていたからこそ、解法プロセスの大手術をすることもなく、少ない学習時間でも「試験当日に」「合格レベルの答案を」「書くことができた」のではないかと思う(この表現はねくすとこの年に合格された某S氏の受け売りです)。

■合格直後

 合格が決定してから数日しか経過していないが、当初の目的の一つでもある「外部でも通用するスキル」を身に付けることが出来たかを振り返ると、正直自身が無い。今後は、この試験を通して身に付けた、経営に関係する基本的な考え方、継続して取り組むことや目標を達成するためのノウハウ、などを活用してどのように専門性を深めていくかが重要な点だと感じている。

4.診断士受験のポイント

 以下は、4年間の勉強を通して感じた診断士受験のポイントです。参考にしていただければ幸いです。

(1次試験)
 1次のポイントは、基本知識の確実な習得とその応用だと考えます。
 範囲が広いため、問題の中に出てくる知識をすべて覚えて試験に臨むことは不可能です。ただし、テキストに出てくる基本知識を活用することで、合格基準を満たす点数を取ることは可能だと考えます。
 私の感覚として問題の4割程度が「基本知識を知っている」ことで対応でき、2~3割は「基本知識を応用」することで対応可能だと感じています。「基本知識を知っている」とは、テキストの主要な内容を体系的に把握していることです。「基本知識を応用する」とは、自分が覚えている基本知識と、問題文と選択肢から得られる情報を元に正解肢を自由に推測するのではなく、与えられている情報から論理飛躍の無いロジックを元に正解肢を求めることです(この方法論は2次の方向性の検討や記述方法にも通じます)。これにより、合格に必要な6~7割の正解を導くことが可能となりました。
 H19に1次試験を受験した際は、ほとんど勉強をしていませんでしたが、全体で6割を超える点数を獲得できました。試験3日前くらいから苦手科目の復習をするだけで合格基準を満たすことができたのは、1年目と3年目に身に付けた基本知識を確実に応用できたからだと思います。

(2次試験)
 2次のポイントは、過去問の作法に慣れることだと考えます。
 多くの試験同様、診断士2次試験にも採点基準があるはずであり、その中には、採点者の求める思考プロセス、解答のレベル感(戦略レベル、戦術レベル等)、書き方、等が含まれ、そこに到達するためのスキルには様々なものが求められると思います。スキルの大枠としては、<読む(把握する)力><分析する力><書く力>があると考え、それぞれをブラッシュアップする必要があると考えています。ブラッシュアップの方法としては、過去問を通して精査することが最も有効だと思います(採点基準が公表されていない中、受験機関が作成する問題では本試験問題のレベルと差がでるケースがあるため)。
 自分は、最後まできちんと整理しきれませんでしたが、下記の項目を特に留意しました。これらは、その人の考え方の癖などによりまとめ方が異なるため、参考までに参照下さい。

読む力・与件に書かれていることを事実として認識する
・SWOTの各項目をバランスよく吟味する 等
分析する力・事例企業の方向性を踏まえて各論を述べる
・S(強み)をO(機会)にぶつけて、T(脅威)を避けて、W(弱み)を強化する
・事実(与件)に基づいた分析を行う
・ToBeではなくToDoを重視する 等
書く力・具体的に書く(事例企業が具体的に何をしたら良いのか分かるように書く)
・与件文から確実に言えることを述べ、論理の飛躍をしないようにする
・正しい日本語を書く 等

(全体)
 全体を通してのポイントは、合格するための課題認識を常に持つことだと考えます。
 私が合格まで4年掛かったのは、課題認識の甘さが原因だと思っています。学習開始2年目から、課題認識は重要だと感じていましたが、課題を設定しただけで、具体的な達成度を図ることをしていませんでした。4年目の冒頭に、ようやく「PDCAのCを重視して勉強する」という抱負(これも某S氏からインスパイアされたものです)を掲げ、実行することができました(難しいことはしておらず、事例を解いた後に、自分が注意すべき内容をクリアできているかどうか、チェックリストで確認するだけ)。その成果が合格へと繋がったとのだと思います。

5.ねくすと勉強会に入って良かったこと

 ・様々な人の意見を聞くことができ、自分に適したアドバイスを取捨選択できる
 ・勉強仲間ができ、モチベーションの維持が可能
 ・学習のペースメーカになる

6.ねくすと勉強会の皆さんへのお礼

 最後になりましたが、診断士試験に合格できたのも、合格後も親身になって受験勉強をサポートしていただいたねくすとOBの方々、一緒に勉強をしていただいたねくすと受験生の方々のお陰です。とても感謝しています。
 年齢も職業も違うのに、診断士合格という一つの目標に向けて、一致団結して取り組む仕組みがあるというのは、素晴らしいことだと思います。今後は、1ねくすとの会員として、一人でも多くの合格者が生まれるように出来る限り尽力していきたいと思います。

 長文にお付き合いいただき、ありがとうございました。