合格体験記(くぼた)

私が診断士の勉強を始めたのは3年前ですが
勉強を始めようと思った動機は更に遡ります。
その期間の出来事は、私の身の上話も多く含まれ
あまり面白くないかもしれませんが、中年男の繰り言だと思って我慢してお読みください。
(読みたくない人は②診断士の勉強を始めた私 からお読み下さい)

①診断士の勉強を始める前の私

 私の現在の職業は、群馬県桐生市にある零細家具小売店(今では設立不可能な有限会社)の代表取締役ですが前身は大阪生まれ大阪育ちの一介のサラリーマンでした。家具屋は嫁さんの実家です。
次男だった私は、結婚を機に婿養子に入り嫁さんの実家を手伝い始めました。
嫁さんは3姉妹の末っ子だったのですが、上の姉ちゃん達は既に嫁いでおり、
私は次期社長候補として迎え入れられました。
男の子のいなかった義父・義母はいきなりの息子(既に中年男でしたが)に大喜び!
とりわけ義父は取引先・顧客先に私を連れて行き
「うちの秘密兵器や!」と自慢げに吹聴して廻りました。
横で聞いている私も「そんなもんかなあ~」と満更ではなかったのですが、
やはりちょっと恥ずかしかったのを覚えています。

 ところが私が会社に入ってから売上は右肩下がり…
今から考えると競合店との安売り競争に巻き込まれたのが原因だったのですが、
経営のけの字も知らなかった当時、そんな事にはまったく考えが及びませんでした。
とにかく私が来てから売上が下がったのです。私にとっては由々しき事態です。
自慢げに「秘密兵器や!」と私を紹介して廻っていた義父も、いつしかそのセリフを言わなくなりました。
「ヤバイ!このままじゃあ私の存在自体が秘密になってしまう!」
焦った私は、まず売上低下の原因を探るため、会計ソフトの導入を独断で決めました。
会計ソフトを導入すれば、コンピューターが「ポポポン!」とデータを分析し
会社の弱点を「ピピピッ!」と即座に把握することができる!と思ったからです。
でも、会社の予算の都合上「なんたら奉行」などの高い会計ソフトは買えない…
結局、内容もよく確かめずにネットで安価なソフトを安直に買ってしまいました。
会社に届くと即座にパソコンにインストールし「よお~し!これで売上増大やあ!」と勇躍起動してみました。
すると画面に出てきたのは「総勘定元帳」「貸方」「借方」などの見慣れない用語の数々。
「なんじゃあ!こりゃあ!全然わからへん!」
慌てて説明書を読みましたが、それでもさっぱりわかりません。
サラリーマン家庭に育ち、高校の普通科から大学の外国部学部に進学し、
その後就職した会社で営業業務に携わっていた私には、簿記はまったく無縁の世界だったのです。
「こりゃあまいったなあ~」と途方に暮れていると、捨てる神在れば拾う神有り!
お客さんの中に地元の商業高校に勤めている人がいて
「商業高校の夜間で、社会人を対象とした簿記の授業が開講されているよ。」と聞き
「それしかない!」と、単純な私は早速その講座を受け始めました。

 週一回の授業で一年間勉強し簿記3級レベルの力を身につける という主旨で開講されているその授業は
商業高校の教科書を使っているためか初学の私にもとてもわかりやすく、新鮮で楽しいものでした。
先生も温和な人で色々なアドバイスをもらうことができました。
そのアドバイスの一つに「この授業を受けている人には学生証が発行され、学割が使える」というのがありました。
「おおっ!そりゃラッキー!」と小躍りし速攻で手続きを済ませ学生証を発行してもらいましたが
実際使う段になるとものすごいプレッシャーを感じ結局使いませんでした。
考えてみてください。例えば映画館で40の中年おっさんが商業高校の学生証を窓口で提示しながら
「学割で一枚!」なんて言ってチケットを買えますか?
窓口の姉ちゃんがどんな反応を示すか?後ろに並んでいる人の表情は?
想像するだに恐ろしく、小心者の私には到底実行できない行為だったのです。

 簿記の授業を1年受け、決算書の作成もなんとかできるようになりましたが、簿記はあくまで数字の整理
その先の経営分析には直接役に立たない と気付き始めました。
そのうえ、簿記を習っている最中に、購入した会計ソフトをなんとか使えないか?といじくり回していたのですが
どうやらこの会計ソフト、家具屋という職種にとってかなり使い勝手が悪い!ということが判明しました。
「やばいなあ~無駄な買い物をしてしまった!簿記の授業も受けてるし、売上回復という結果が出せなかったらますます立場が悪くなるやんけ!」
またも焦った私は「簿記から先を勉強するにはどうしたら良いのか?」「自分の会社での立場をなんとか持ち直すためには何をすれば良いのか?」と考えた挙句、診断士の勉強を始めることにしました。

②診断士の勉強を始めた私

 住んでいる場所が群馬県桐生市という田舎町なので、東京に数多くある受験校に通学するというわけにもいかず、
とりあえずT社の通信講座を受けることにしました。
ところが一回目の教材が段ボール箱に入って届いた時、その量の多さに驚愕しました。
「俺にもう一回センター試験(私の時代は共通一次試験ですが)を受けろっちゅうんかああ!」と、
なにも関係のない嫁さんに思わず怒鳴ってしまったことを覚えています。
でも、自分で決めて自分で始めたことですから誰に文句を言っても仕方ありません。
教材を読み、問題をこなす日々が始まりました。

 私の一次試験の勉強法は、「とにかく問題数をこなす!」という方法です。
サブノートなど一切作りませんでした。必要だと思われることはテキストに書き足しました。
サブノートを作ると、作るだけで勉強した気になってしまい、結局合格まで遠回りしてしまうと考えたからです。
テキストを一通り読んで「ほうほうなるほど」と理解したつもりでも、問題集に取り組むとさっぱりわからない…
そういう苦労を重ねながら、一次の知識を既に老化の始まっている自分の頭の中に徐々に浸透させていきました。

 受験1年目は、自分の実力も省みず無謀にもストレート合格を目指していたので、一次の勉強の合い間にほんの少し二次の勉強もしていました。しかし春頃になると「このままじゃあ一次合格もおぼつかない!」と感じ、一次の勉強のみに集中しました。その結果、一次はなんとか合格したのですが、一次試験終了と同時に心身ともに燃え尽きてしまい、二次は文字数を埋めただけで内容はまったくのお粗末。惨敗してしまいました。

 2年目は、引き続きT社の通信で一次・二次の試験勉強をしました。二次に重点を置いた勉強をしましたが、二次に受かるためには一次の知識をもう少し固める必要があると考え、並行して勉強しました。その結果、一次合格、二次不合格(BABB)。二次は自分なりに、「前回に比べたら良かったかな?」「ひょっとしたら間違って合格してるかも?」という淡い期待があったのですが、結果は虚しいものでした。と同時に、通信での二次試験の学習に限界を感じ始めていました。
 T社の通信教育では、事例問題を解き答案を送付すると、答案用紙に採点とコメントが付せられて返ってきます。
(どこの通信教育もそのようなシステムだと思いますが)確かにコメントは「ふんふんその通り」と納得しないわけにはいかない内容となっていますしまた、模範解答を読むと解答導出までの理屈は一応理解できます。
しかし「自分は与件文のこの文章を別の意味に解釈したけどなぜそれではダメなの?」「自分の解答のほうが妥当性があると思うけどなぜ得点できないの?」という疑問にはまったく答えていません。「このまま同じ勉強方法だと、合格は難しいかも…」と考え始めた時、ネットでねくすとの存在を知りました。

③ねくすとに参加した私

 2006年12月にねくすとへの参加を申し込み、その年の年末から二次の議論に参加しましたが、まずは自分の解答の稚拙さに打ちのめされました。OBの突っ込みに口ごもり、他の参加者の解答や解答を導くためのロジックに感心し、自分の未熟さを思い知らされたからです。しかし、議論に参加することはものすごく刺激になりますし、なによりとても面白い!
自宅で苦行を積むように事例を解いていた1・2年目に比べると、自分自身躍動感を感じました。と同時に「この会についていくのは大変かも?」という不安も胸によぎりました。また、ねくすとでは主に過去問を議論するのですが「二次の過去問なんて、今後同じ問題が出題されるわけじゃあないから、さらっと見ておけばそれで充分」と考えていた私に過去問の重要性を気付かせてくれました。

 私の二次の勉強法は、ねくすとの議論で学んだことを通信学習の解答作成に活用し、自分なりの思考方法を確定させる というものでした。マイルストーンは受験校の春・秋の模擬試験でした。それ以外の計画(与件を何題解く。勉強時間の目標設定など)は一切立てませんでした。計画に縛られることより自分の理解度や思考方法を確定させることを優先したからです。それに、「自分なりの思考方法を確定させる」という目標は定量的に計ることが困難なので、とにかく自分が納得するまで事例を解こう!と決めました。(結果的に100%納得する思考方法の確定は達成できませんでしたが)

 二次に関しては一次と違い簡単なサブノートを作りました。ねくすとでの議論や事例を解いて気付いたことを、全体・事例別にできるだけ簡潔にノートに書いていき、事例問題を解く前に必ずそれらを復習してから取り組むことを繰り返しました。そうすることにより、同じ間違いを繰り返すことが少なくなり、同時に自分の弱点も把握することもできるようになりました。

 夏頃には自分なりに「前年より少し力がついたかな?」と感じられ、秋の模擬試験でも自分なりの思考方法を試すことができたので、「ひょっとしたら今年は合格するかも?」と思い始めました。それでもその不確かな自信は最後まで確信に変わることが無く、試験前日まで試行錯誤を繰り返しながら事例問題を解き続けました。

 試験が終わったあと、前年に比べそれなりの手応えはあったものの合格を確信するには程遠く、また試験後のすいねくでの議論の中で他の人の意見を聞き「あっ!そうかあ。失敗したなあ~」と落胆することも少なからずありました。それだけに二次の合格発表で自分の番号を見つけた時は嬉しかった!自分がこれまでの人生で経験した試験合格の中では2番目に嬉しかったです(1番は自動二輪限定解除試験に合格した時)。

 皆さんもねくすとで大いに議論し勉強することにより合格を勝ち取ってください。
最後に、合格まで私を支えてくださったOBの方々、苦楽をともにしたねくすとの仲間諸兄に厚く御礼申し上げます。