合格体験記(にしだ)
■はじめに
私は、4年間かけて中小企業診断士試験に合格することができました。この結果を迎えるにあたっては、ねくすとのOBや受験生メンバーの皆様をはじめ、家族や友人など、周りの方々には本当にサポートしていただきました。この場を借りて御礼申し上げます。ありがとうございました。
この合格体験記では、4年間の受験勉強を振り返ることにより、今後受験される皆様の合格へのヒントになればと思い、書き記しました。少しでもご活用いただければ幸いです。
■受験の動機
私が中小企業診断士試験に挑戦するきっかけには2つのポイントとなる出来事がありました。1つ目は会社の社内研修です。社会人3年目の時、全国の同期が一同に会する合同研修があり、その時に出会った人がとても有能な方だったのですが、その人が「数年後に中小企業診断士に挑戦したいと思っている。」と話していました。この資格を初めて知ったのはその時です。2つ目は、社内の人事異動です。社会人5年目の時、人事異動によりグループ会社に出向になったのですが、その時に自分の社会人としての未熟さを思い知らされました。グループ会社は少人数だったため、全社員に幅広いスキルが求められるのですが、私は全く役に立たず、この時、本気で自己啓発をやらなければマズイな、と思い始めました。そして、どうせやるなら資格を取りたい、そういえば研修で出会ったヤツが中小企業診断士のことを言っていたな、という流れで、この資格に関心を持ち、自分の将来にとってもプラスになりそうだな、と思い、挑戦してみることにしました。当然4年かかるとは考えてもいなかったですが。。。。
■受験勉強
【1年目】
1年目は独学でした。特に独学で合格する自信があったという訳ではなく、受験機関を利用するという選択肢を持っていませんでした。思えば、明確な勉強プランも考えず、ダラダラと勉強を進めていた気がします。結果は、当然ですが、1次試験で惨敗です。勉強計画から方法、時間の取り方、何から何までが全くなっていませんでした。
【2年目】
2年目はTACの1次・2次上級コースに通いました。1次試験に向けては、スピ問や模試、過去問を反復し、最後まで覚えられないものを単語帳にする、というサイクルをひたすら回転させました。また、TAC教材で過去問の正答率を調査した資料を活用し、正答率40%以上のものを重点的に復習しました。結果、1次試験に合格することができました。しかしながら、2次試験に関しては、TACで少しは勉強していたものの、あまり実力がついてきている実感がなく、なんとなく勉強をこなす毎日のまま、2次試験当日を迎えてしまいました。そして、事例Ⅰで泣きそうな80分間を経験しました。何を書いていいのか全くわからず、ただマス目だけを埋めるだけの答案になってしまいました。12月の発表まで待つ必要がないくらいの惨敗っぷりでした。
しかし、この時は、自分の中でまだやり残した感が非常に大きく、来年2次試験に向けて集中して精進すれば、合格するチャンスはある、という気がしていましたので、すぐ気を取り直して、翌年に向けて準備を進めました。
【3年目】
3年目は受験機関には通わず、某勉強会(ねくすとではありません)に通うことにしました。理由は、TACで知り合った受講生やインターネットの情報などで、2次試験対策は、議論を通じて自分の答案の精度を高める方法が有効だと聞いたからです。また、この年は1次試験は勉強せず、2次試験のみに専念しようと考えていました。
勉強会はとても刺激的でした。方向性を決めること、解答に一貫性を持たせること、与件重視で解答すること、など前年には全く考えていなかったことをたくさん学ぶ事ができました。
この年は、ひたすら過去問中心に勉強を進めました。1年間で約120事例くらいの過去問を解きました。事例を解く度に勉強会やMLなどで突っ込まれ解答を作り直していく、という作業を繰り返すことで、少しずつ解答の精度を高められたと思います。また、財務に自信をつけるため、簿記2級を勉強しました(振り返ってみて、多少の役には立ちましたが、直前期の受験などはオススメしません)。1年間の勉強内容としては、ある程度充実感を得ていましたし、事例Ⅰの怖さも経験していたので、戦闘力としてはかなり上がったのでは、という実感がありました。
当日、その実感は無残にも打ちのめされました。事例Ⅰでは相変わらず何を解答していいのかわからず、さらに時間配分もうまくいかず、最後の1問は時間切れで1文字も書けませんでした。事例Ⅱはなんとか全部書けたものの、事例Ⅲも時間配分がうまくいかず(全問書けましたが)、散々な出来でした。試験中、何度も「俺はこの1年、何を勉強してきたのだろう。全然戦闘力が上がってないじゃないか。」と考えていました(試験中にこのようなことを考えてしまう時点で既に不合格間違いナシですが)。
12月に不合格を知った後、この年から実施された結果フィードバックが返ってきました。結果はDADAの総合B。この1年はそれなりに勉強時間も確保でき、充実感も得ていましたので、Dが2つという結果に、「もうこれが自分の実力の限界かな。」と思い、受験挑戦はこの年で止めようかと考えました。しかし、この年たまたま1次試験に合格していたこと、勉強会のメンバーからもう1年一緒に頑張ろうと言われたこと、から、迷った挙句、受験挑戦の終了時期をもう1年延ばすことにしました。今振り返ると、この2つのどちらか1つでも欠けていたら、この年で受験を止めていたと思います。特に勉強仲間からのお誘いは本当に助けになりました。
【4年目】
4年目はねくすとでお世話になることにしました。そして前年同様、受験機関には通わず、2次試験のみの勉強に専念しようと考えました。ねくすとのオリエンテーションで印象的だったのは、合格体験談を話されていた新OBがとても輝いていたこと、そして某Y田OBの「落ちた人の気持ちがよくわかりません。」というコメント(笑)、でした。来年は何とか自分が合格体験談を話す立場になっていたい、そう思いました。
4年目の受験勉強で、まず実施したのが前年の敗因分析です。一番の敗因は「当日の戦闘力がなかったこと」だと考えました。具体的には、「与件を深く読み込み一貫性のある答案を作成する」という力は多少養えたものの、「それを80分間でやる」という力が全くなかった、ということでした。確かに前年の勉強内容を振り返ってみると、80分間という制約は受験機関の模擬試験はある程度訓練されていたものの、(本試験と同じレベルである)過去問を80分間で解く、ということに対する意識が薄かったような気がします。当然のことながら、試験当日は、与件を十分に読み込む時間などありません。限られた80分間の中で、いかに完璧な答案ではなく、合格ラインの答案が書けるか、がとても重要になります。その力をつけること、つまり『戦闘力をつけること』をこの年の最大の目標に位置づけました。ちなみに、さらに敗因分析をすることで、戦闘力をつけるためには①方向性の精度を高めること②わかりやすい答案を書けること、が必要だとも感じました。
勉強内容は基本的に前年と変わりませんでした。ただ、事例を解く際、今回は深く読み込んで解答を作成する、今回は●分間で解答を作成する、など時間を意識した答案作成をおこないました。深く読み込むことで過去問の深度を理解した上で、時間制限の中でいかに方向性から外れない解答を作成できるか、を追求しました。このことは、前年においては、頭で理解していたものの、体では理解しきれていなかった部分だと思います。また、これは意識したことではなく物理的な都合だったのですが、前年はパソコンを使って解答を作成していましたが、この年はほとんどをノートを使って手書きで解答を作成していました(その後、勉強会用にパソコンに打ち直していました)。これは、今振り返ってみると、書き直しがしにくいことで、最初に頭の中でキチンと整理する癖を身につけることができ、この年の自分の目標達成にとって有効な手段だったように思います。
勉強環境ですが、当初は、平日の会社への往復電車内と昼食時のみでした。休日は4月くらいまでは勉強をしていませんでした(これは4年目の挑戦をすうるにあたっての家族との約束でした)。当然、これでは勉強時間が足りません。そこで、平日は早めに家を出て、会社近くのカフェで1時間30分くらい勉強することにしました。しかし、まだまだこれでも勉強時間が足りず、何度も休日を使うことを考えましたが、下手に考えてもストレスになるだけだったので、5月のGWまでは休日勉強を諦めることにしました。そして、GW以降は土曜日のみ使わせてもらい、8月の1次試験以降は土日を使わせてもらい、徐々に勉強時間を確保していきました。私の場合、育児が大変な時期の子供を2人抱えていたこともあり、また受験挑戦が4年目を迎えたこともあったので、家族からこのような制約を受けていましたが、少なくとも、この勉強時間では1年間で合格することはできません。今年合格できたのは、今までの積み重ねがあったものと考えていますので、今後受験される皆様は、やはり、なるべく多くの勉強時間を確保すべきと思います。
さて、そんな受験勉強において、私にとってねくすとの良かった点ですが、以下2点に集約されます。
- たくさんのOBがいること
たくさんのOBにサポートしていただいたことで「一定の方向性さえ確立できていれば解答作成プロセスがいくつかあってもいいんだな」ということを感じました。これは、私にとって、ねくすとで得た最大の発見です。様々なOBにコメントをもらい、何度も自分の解答をチューニングしていくことで、自分なりの解答作成プロセスを見つけることができ、当日の戦闘力を高めることができたと思います。今後受験される皆様にも、より多くのOBからコメントをもらうことをオススメします。
- たくさんの受験メンバーがいること
たくさんの受験メンバーと一緒に勉強してきたことで、①モチベーションアップ、②新たな解答作成プロセスの発見、という効果がありました。1年間の勉強というのは短くもあり、長くもあります。その際、一緒に勉強している仲間による、いい意味でのプレッシャーに何度も助けられました。また、受験メンバーの新たな解答作成プロセスを発見する度に、その場でどういう思考だったのかを聞き出し、自分メモに残しました。それにより、自分の新たな解答を導き出すためのヒントを得ていきました。
また、試験1週間前には通称「ベロねく」と言われる勉強会に2日ほど参加しました。今振り返ると、自分の思考プロセスは確立できていなかったものの、課題については明確になってきており、ベロねくのOBのご指導のおかげで、それがスッとクリアになったような気がします。このベロねくでのOBの方々のアドバイスが、最後の最後に自分の戦闘力を一歩押し上げてくれたと思います。
■試験当日
当日は、試験開始直前まではリラックスするよう心がけました。電車内でもボケ~ッと景色を見て、また早めに御茶ノ水駅に着いてカフェで勉強会メンバーと待ち合わせをしていたのですが、そこでも気楽に話をしました。さすがに、明治大学に着き教室に入ってからは緊張し始めてしまいましたが。。。。
事例Ⅰは、事前に自身の頭に警戒信号を送っていたにも関わらず、やはり「うぉ~、わかんねー」となり、泣きそうになりました。ただ、過去2年と比べると、方向性が少しクリアに思い描けた気がします。時間的にもかなりギリギリの攻防になりましたが、なんとかある程度の答案を書くことができました。しかし、これは、あくまでも今振り返ればの話で、終了直後は「ふぅ、なんとかある程度の答案が書けたぞ。」などとは微塵も思いませんでした。
事例Ⅱは、なんとなく方向性はクリアに思い描けたものの、具体的な解答内容がメチャメチャで、終了直後はちょっと凹んでいました。この後、昼休みが1時間あったおかげで、なんとか気持ちを切り替えることができましたが、20分しか休憩がなかったら、次の事例まで尾を引いていたかも知れません。助かりました。
事例Ⅲは、判断に迷う問題があったこともあり、消しゴムを使う機会が増えました。なかなか結論が出ず、何度も「もうこれでヨシとするかな。」と諦めそうになりましたが、ボーダーラインの少し上(合格圏内)に入るには、ここが踏ん張りどころだ、と言い聞かせ、さらに思考を続けました。午後になり、頭が疲労し始めてきていましたので、しんどかったですが、なんとか粘り強い答案を作成することができました。
いよいよ事例Ⅳです。事例Ⅳは、過去問の設問内容と微妙に違っていることもあり、さらに頭を疲労させる問題が待ち受けていました。最後の事例ということもあり、何度も集中がキレそうになりましたが、踏ん張りました。第1問の経営分析を始め、2つの計算問題など、事例Ⅲ以上に消しゴムを多く使い、修正をほどこしました。消しゴムを使うことはいいことではありません。このことは受験勉強中にも十分自覚していましたし、模擬試験の際などは消しゴムを使わない答案作成を意識していました。しかし「あともうちょっとだけ伝わる解答を作りたい。」という想いが自然とそのような行動をさせていました。この事例もギリギリまで確認作業をしていました。
上記は今振り返れば書けることですが、試験直後は「今年もダメっぽいな。」と思っていました。しかし、過去2回の2次試験と比べて、自分の力は出し切れたな、という実感はありましたので、妙にスッキリしていました。同時に「能力的に、自分には敵わない資格なのかな。」とも思いました。どの事例についても、もっと解答の選択肢が瞬時に出てこないと厳しいな、という反省が頭に浮かんだのですが、これをもう1年かけて克服する自信がなかったのです(この点は、結果合格となった今でも自分の不足部分だと思っています)。ただ、繰り返しになりますが、自分の今の実力は出せた、という実感がありましたので、その後の勉強会メンバーとの慰労会ではとても楽しく飲むことができました。同じ苦しみの中で試験を戦ったメンバーと飲むビールは本当に格別でした(余談ですが)。
■最後に
今後受験されるメンバーには、私から以下のメッセージをお伝えしたいと思います。
- 自分なりの解答作成プロセスを見つける
方向性は当然のごとく最も重要な要素です。ただ、私の場合は、方向性、方向性と言われてもなかなかそのつかみ方がわかりませんでした。それは、自分なりの解答作成プロセスを見つけていく過程で、少しずつつかめていった気がします。抽象的で申し訳ありませんが、方向性の領域は左右だけじゃなく上下にもあり、私の場合、特に上下の領域をつかむのに苦労しました。これをつかめるようになったのは、同時に解答作成プロセスを追求していったからだと思っています(少しわかりにくい表現で申し訳ありませんが)。
- 素直になる
勉強会では、メンバーやOBの方々から突っ込みをたくさん受けます(ぜひ受けてください)。その突っ込みは大変貴重なものですので、それを積極的に吸収する気持ちを持っていただきたいと思います。メンバーやOBに関わらず、複数人から同じような指摘を受けた場合は、直ちに思考や解答を再検討する必要があるはずです。仮にあなたの補足説明によって、メンバーのみんなが納得してくれたとしても、当然、試験当日は補足説明ができないワケですから、採点者に伝わらない可能性が高い、ということになります。この修正ができるのは勉強会での突っ込みによるところが大きいです。勉強会で意固地になっても試験当日には何の価値も生みませんので、ぜひ素直に聞き入れるスタンスをもっていただきたいと思います(素直に聞き入れることと、何も考えずに受け入れることは違いますのであしからず)。また、素直に聞き入れられるようになれば、与件も素直に受け入れられる派生効果もあるように思います。
- 最後の最後まで諦めない
前述しました通り、私は前回の2次試験のフィードバックでDを2つもらいました。5回ほど受けた模擬試験でも、平均的な順位しか取れませんでした。勉強時間もろくに確保できませんでした。仕事と家庭と勉強の両立にも苦しみました。それでも、後悔しないよう、できることはやろう、と心がけ、社会人になって以降、続けてきた生活スタイルをガラリと変えるなど、自分なりの努力をしてきました。私もそうでしたが、自分よりも勉強時間が確保できる人を見ると、どうしても自信を失いそうになりますが、使える時間は最大限有効活用し、最後の最後の最後まで戦闘力を上げる努力を続けて欲しいです。その気持ちが、当日の粘り強さもつながってくると思います。
以上、とりとめもない文章になってしまいましたが、この合格体験記が皆様のお役に立てることを願いつつ、皆様が合格ラインを突破されることを心より祈っております。
