合格体験記(ぽんちゃん)

目次
1.受験の動機

2005年5月の事でした。
弟に突然腫瘍が見つかったと母親から電話がありました。
1ヶ月以上検査を行い、悪性リンパ腫というガンであることが判明しました。
両親も私も茫然自失となり体から力が抜けていきました。
それから、行けるときは必ず会いに行き、色々サポートしていましたが、
もっと他に出来ることは無いだろうかと考えました。
弟のガンはステージⅢで、かなり病理が進行している状態でしたので
緩解(この病気に完治は無く、腫瘍が無くなった時点で緩解したと言う)
したとしてもこれまでのように仕事を続けることは困難だと医者に言われていました。
私が将来にわたってサポートするのは当然ですが、
仕事をしないで生活するのは精神的に恐らく辛いであろうと思い、
私が独立して、そこで私のサポート業務が出来れば本人も
充実感を持てるのではないかと考えました。
私はIT業界でSEをしており、ここ6年間はプロジェクトマネージャー、
プロジェクトリーダーとして働いています。
この先のキャリアとしてコンサルティング業務に行きたいという希望を持っていました。
そこで、中小企業診断士を取得すれば独立への最低限の知識と多少の社会的信用を得られるのではないかと思い
取得することにしました。
弟は2007年03月に治ることなく永眠してしまいましたが、
この試験の取得が弔いになってくれればと思っています。

2.受験中のこと

●1年目(2006年01月~2006年8月)
TACのDVD通信講座に申し込み、そのカリキュラムに沿って勉強を開始。
初めは当然今年で合格する意気込みでしたが、
経済学がどうしても理解できず、この科目を合格出来る気が
全くしなくなってしまい、勉強へのモチベーションが後半
若干下がってしまいました。
2次試験の勉強はしていたものの、何を書けばよいのかが
よく分からず、難しい試験だな~と感じていました。
また、仕事で出張が非常に多く、どうしても夜は得意先や同僚と
お酒を飲みに行くという事が増えてしまい、勉強時間が減ってしまいました。
▼試験当日

1次試験不合格。
合格した科目は
・企業経営理論
・運営管理
・情報システム
という結果に。

1年目を振り返って:

やはり通信講座だけでの勉強はモチベーションを保つことが難しいと感じました。
分からないことがなかなか解決していかないのです。
この試験をとることが自分には必要だと思っているのに
精神的に強くなれず、このままじゃ勉強なんて始めずに家族のサポートに専念していた方が良いと感じていました。

●2年目(2006年11月~2007年10月)

この年は自由になるすべての時間をこの試験に使おうと決意。
去年のような中途半端な事にだけはしないと心に誓う。
まず、2次試験がこの試験の肝であることを初年度に理解したので
学校は2次試験中心で行こうと決意。
(一次は勉強すれば受かるけど、2次はただ勉強するだけでは駄目だと判断)
TACの2次本科生に通学することに。
出張中心の年であることが分かっていたので日曜日に授業があるカリキュラムに。
残っている1次試験科目もTACで受講することに。
出張中は周りに勉強している事を打ち明けて、夜はホテルで勉強していました。

手始めに、去年全く理解できなかった経済学を何とかしないと
まずいという事で集中的に勉強しました。
200時間程度掛けて勉強するとようやく何をする科目なのかが
理解でき、TACでの模擬試験成績もトップ5%に入ることが出来た。
これはとっても自信につながったと思います。
何事もしつこく続ければ何とかなるのだな、と。

財務会計に関しても去年歯が立たなかった印象があり、
また、2次試験にも直結する科目でもあったのでじっくり取り組む。
基本的にTACのスピ問を中心に毎日計算問題を解き続ける。
後半は2次試験の事例ⅣとTACの事例Ⅳ問題の計算問題を毎日解くという
作業を続けました。

2次試験の勉強はTAC中心に行い、TACの教えに忠実に従いました。
基本的な事はこの時に学んだので学校での勉強も有意義であったと思います。
さまざまな試験テクニックを学校で学び、ネット等でも色々と調べて
準備は万端かと思えたが…

▼試験当日

1次試験初日:
経済学でかなり手応えを感じたので、
そのまま財務の試験もあせることなく試験に臨めました。

1次試験二日目:
法務、中小施策という暗記系科目だけだったので
勉強はたっぷりしたという気持ちであせることなく試験に臨めました。
翌日に無事合格を確認し、すぐに2次の勉強を再開。

2次試験:
前々日に睡眠時間を少なめにして、前日早く眠れるように
コントロールし、試験当日は万全の体調で臨む。
会場に持って行くものも相当考えて、当日のシミュレーション等も行いました。
会場でTACの生徒、講師と会って気合いを入れました。
会場に持って行ったものは、
 ・財務の自作資料(ねくすと21のブリーフケースにおいてあるもの)
 ・彼女の手作り弁当
 ・酸素缶
 ・チョコレート
 ・ペンケース
 ・ストップウォッチ&時計
以下、各事例についての感想

事例Ⅰ:
設問、与件を読んで「ややこしい」という印象。
TACで学んだメソッドを存分に盛り込んで解答。
難しいと言われる事例Ⅰとしては結構手応えを感じました。

事例Ⅱ:
設問、与件を読んで「結構簡単かも」という印象。
ただ、問題4にインターナルマーケティングという単語が出て
その意味について悩む。この年は経営理論の勉強を全くしていなかった
ので、従業員マーケと顧客マーケのどちから分からなくなってしまう。
結果、顧客マーケだろうと思い、解答するが、試験後に間違っている事
が分かり、20点をまるごと失った事で昼休みに凹む。
それ以外の問題は結構書けたという印象。

事例Ⅲ:
設問、与件を読んで「結構書けるかも」という印象。
元々事例Ⅲが一番得意だったのでかなり集中して時間一杯まで書く
結構手応えを感じました。

事例Ⅳ:
この試験が始まる前にすでに体力・知力が尽きかけている事を感じました。
これで計算が出来るのかな?という位しんどい状態。
設問、与件を読んで「去年より難しい」という印象。
先に計算問題、IT問題をかたづけて、経営分析を最後に解きました。
ここで大きな失敗!!
問2の計算問題は最初正解を導いて書いていたにもかかわらず、
最後に見直しをした時に計算が合わず、答えを書き直してしまう…。
問3の資本コストを5%で計算してしまう。
(過去問や模試で資本コスト5%が多かったので無意識で…)

結果 :不合格(ABAD)
試験後にTACの勉強仲間と話して事例Ⅳの2つの失敗と
事例Ⅱの失敗で不合格を確信する…

2年目を振り返って:

この年は過去の人生で無いくらい沢山勉強をした年だったと思います。
試験前の段階でやれることはすべてやったという気持ちになっていました。
今思うとそんな事は全然無いのだけれど…。
特に事例Ⅳは計算さえ解ければ良いと思いこんでいた節があり、
実は他の事例と同じように診断をする事例だと言うことに
3年目にようやく気づきました。

TACやネットで解答メソッドを知って、
それを使う事が大切だと思っていたのですが、
それは間違いであったと今は思っています。
大切な事はメソッドを使って形を作っていく事ではなく、
いかに素直に診断し、キチンと事例企業と向き合い、
全体最適で解答する事だと思います。
これは3年目に学んだ部分が非常に多いです。

この年(2007年)の3月に弟は病魔に勝てず死んでしまったので、
どうしても合格して二人の証にしたかったのですがそれも叶わず
本当に悔しい思いで一杯でした。

●3年目(2007年12月~2008年10月)

2年目で不合格を確信したとき、正直予想していない結果だったので
これからどうしようという気持ちで一杯になりました。
当初は2年目の反動でモチベーションはものすごく低くなっていました。
この年は結婚と新居作りをする予定だったので、
正直2年目ほどの時間は取れないと感じていました。

受験校にもう一度通っても大きな変化は起きないであろうと思って、
何か他の方法で合格解答を書ける実力を付ける事は出来ないかと考えました。
ネットで色々調べてねくすとの存在を知り、応募して参加することにしました。
第一回目のすいねくに参加した時に衝撃を受けました。
議論した受験生、OBの皆さんがもの凄く事例について考えていました。
私は解いた事例について、振り返って再考するという事がほとんどなかったと
そのときに気づきました。
基本的に、受験校の講師が採点をして、赤ペンされている部分を読む程度でした。
それと、80分の試験なので常に80分で問題を解いていましたが、
それもOBの方に時間無制限で考え抜いて解答を一度書かないとその事例企業の事が
分からないままになってしまうと言われ、目から鱗が落ちました。
その時に持って行った事例Ⅰの解答も心では「A評価なんだからいけてるはず」
と思っていましたが、バシバシ突っ込まれ、内容も納得の行く突っ込みでした。
不合格になった理由はミスが原因だけじゃないぞ、と思い、
まだまだやるべき事があるのだと心から思いました。

しかし、2008年1月からすぐにまた出張中心の生活になってしまいました。
2007年までは静岡に出張していたのですが、2007年中に終わり、
2008年は横浜で仕事をする予定だったのです。
名古屋の会社からの引き合いがあり、提案書を作成してプレゼンを行ったところ、
受注が決まったので横浜での仕事は他の人に引き継ぎ、
私が名古屋のお客さんを担当することになりました。
これですいねくに参加することが非常に困難になってしまいました。
また、土曜日は新居に関する打ち合わせを入れていたのでどねくも
参加できない状態でした。
たまに平日横浜に戻っている時にのみすいねくに参加し、
それ以外は独学でホテル勉強をしていました。
少ないすいねくへの参加でも毎回必ず気づきがありました。
去年とは全く違う勉強法を行っていたので意義を感じていました。

▼試験当日

1次試験:
ほとんど勉強せずに受験しました。
今年で絶対に終わらせると思っていたので1次合格にこだわっていませんでした。結果は不合格でした。

2次試験:
去年、あまりに気合いを入れて試験に臨んだので、
今年はリラックスを心がけました。
酸素ボンベもチョコレートも持って行きませんでした。
会場の雰囲気も去年味わっているので余裕が多少ありました。
とにかく事例Ⅳが終わるまで知力が尽きないように気を配りました。
以下、各事例についての感想

事例Ⅰ:
設問、与件を読んで「素直な事例Ⅰらしい内容だな」という印象。
素直に素直にと自分に言い聞かせて、きちんと言われていることに
解答しているかを確認し、全体整合が取れているかをチェックして
試験を終えました。

事例Ⅱ:
設問、与件を読んで「割と自由さのある内容だな」という印象。
こういう事例ほど怪しいのだと言い聞かせながら解く。
身近な企業でもあり、思いこみで書いてしまわないように
与件に忠実に素直に一貫性をもって書くという事を
強く意識した記憶があります。

事例Ⅲ:
設問、与件を読んで「よく知っている分野だから要注意」という印象。
名古屋の顧客が金型屋なので1年間どっぷりその世界で過ごしており、
思いこみに気を付けないとまずいなと思いながら解いていました。
内容的には方向性も自分なりに明確化して、素直に書けたと手応えを
感じました。

事例Ⅳ:
去年はこの試験が始まる前にすでに体力が尽きかけていたのですが、
今年はまだまだ大丈夫という気持ちでした。
やはり去年は気負いすぎていて、極度に緊張していたのが大きかった
と思います。
今年はその気負いや緊張が去年ほどじゃなかったです。
これは多年度受験生が有利な所ですね。
設問、与件を読んで「例年通りかな」という印象。
先に計算問題、法務問題をかたづけて、経営分析を最後に解きました。
去年と大きく違うのは事例Ⅳを他の事例Ⅰ、Ⅱ、Ⅲと同じように
解いた事です。診断の内容に全力を尽くしました。
もちろん計算も全力で行ったのですが、
計算問題4つの内、2つは難易度が高いというか問題の意味すら
あいまいに感じ、ここで時間を浪費するよりも論述に時間を使おうと
判断しました。結果計算問題は4つの内2つ正解だったようです。

結果 :合格
12/5にネットで発表を見て、感動のあまり涙が出てきました。

3年目を振り返って:
やはりねくすとで受けたアドバイスが本当に大きかったなと思います。
TACのようなメソッドや方法論を学んだ訳では無いですが、
どう事例と向き合うかという根源的な部分を学べました。
自分の今後を考えてもこのような勉強が長期に渡って出来たことは大きいと感じています。
これで何とか弟への弔いにもなったのかなと思っています。

3.合格してみて

2008年10月より、得意先の上場に関するサポート業務を行っています。
得意先の監査役や上場準備室、経営企画室などの方々と仕事をする機会が
多いのですが、中小企業診断士を取得したという話が得意先に伝わり、
(これは自社の私の上司が懇談会で話したようです)
仕事がやりやすい状態になりました。
私は現在31歳でどちらかと言うと若く見られ、
顧客(特に役職付きの顧客)から若造風に見られるのですが、
その雰囲気が変わったと思います。
肩書きで人を判断するって事があるのだな~と初めて実感しています。

これから肩書きではなく、自分の力をもっともっと磨いていきたいと考えています。

以上