合格体験記(しま)

目次
1.2次試験 当日朝
「しまさんは緊張してなさそうですね」

 2次試験当日朝、受験生が一旦集合する場所としているベローチェに遅れて行った後、OBの方から言われ、改めて気づいた。やっぱりわかっちゃうものだなと思う反面、もうちょっと緊張しないといけないのかなぁと変な感覚があった。
改めて考えると、模試よりも、「できるだろうか?」という緊張の度合いは低かった。正直、前日も12時にキチンと眠れ、朝も普段どおり起床、散歩、写経のルーチンをこなしている。心なし普段よりグッスリ眠れている気さえしていた。それまで準備してきた朝起きる習慣・歩くコース・聞く音楽のルーチン化が役立ったのかもしれないし、自分なりにやり切った感覚が役立ったのかもしれない。

2.受験暦

 改めて振り返ると平成15年に勉強を始めて以来、足掛け6年この資格に挑戦している。最初の年は、2次試験を受けなかったので、2次試験を受けるのは3回目になる。「足掛け」の意味は平成18年に一度挑戦を諦めたからで、一覧にすると以下のとおり。

年度

1次試験

2次試験

判定

平成16年



 

平成17年


×

 

平成18年



 

平成19年


×

BABB

平成20年

×


 

 平成18年に一度諦めたのは試験の趣旨やプロセスの概要が理解できたこと、もともと「資格」が欲しかったわけではないこと、を鑑みて、それで良いと思ったからだ。また、転職等により実践の場で利用できるようになることも立派な勉強や活用方法だとも考えていた。
 ただ、結果を出していないことの後悔はある日突然、誰に言われたわけでも無くやってきた。誰もそんなことは言わないし、実際そうでもないのかもしれない。具体的には、ちょっとした人事異動なのだが、自分のなかで「資格を持ってないから、こういう風になる」と思ってしまい、「このままだと前に進めない」という結論にたどり着いた。

3.勉強期間・勉強方法

 順番が前後するようだが、過去の失敗も含めこれまでの勉強方法を簡単に紹介したい。
①1回目の通学:平成15年に1年かけて翌年の1次に挑戦するLECのストレートコースに入った。とにかく、1年通ったという記憶しかなく、直前期までは集中して出来ていなかったが、1次は運よく合格。しかし、当時は結果のみの発表であり、自己採点が足きりだったため、2次の権利無しと思い込み、2次の案内に気づいたのが申し込み当日だった。結局、今思えば、信念が足りなかったということなのかもしれない。2次試験については、翌年に賭ける意味もこめて未受験。
翌17年はTBCの2次コースに通学。ここでも、1年かけてやればどうにかなると思っていた。自分なりには一生懸命やったつもりではいたが、今考えると勉強量・質ともに徹底していなかった。また、今思えば、暗記・反射の学生時代からある勉強方法の延長を第一とするし、それで対応できない問題は独創性溢れる回答でも是としていた気がする。
②2回目の通学:平成19年2次のみ再度TBCに通学(再受講になると金額が一番安かったので)1次は合格経験があることで、「何とかなる」と考え、勉強開始時から2次に特化していた。しかし、当然ながら6月当たりの直前期に受けた1次模擬試験の結果が悪く、慌てて2ヶ月程度1次に専念。幸いにして合格だったが、振り返ってみると1次試験に何とか対応できたという燃え尽きの感があり、頭が切り替わらない感覚が1ヶ月以上続いた。
 敗因は、この燃え尽き病と独創性を修正する対応力の無さだと思う。どうしても最初に全体の方向感と違う答えを思いついてしまったとき(多くは自分の知識や経験なのだが)、それを止めることができなかったし、更に言えば、この時点でもまだ一部にそういった要素も必要なのではと思っていた所もある。
③ねくすとでの1年:年末に502教室でねくすとを見つけた際、敗因分析、頭の切替、ができておらず、全く勉強する状況になかった。ねくすとに入ったのは、兎に角、結果が出なかった以上環境を変える必要がある、ということに加え、年内から勉強する環境を作ること、も大きな理由の1つでもあった。
ねくすとでの勉強は、以下の3点が特に他の年と比べて違っていたと思う。

  • 多くの方の意見・手法・思考プロセスに触れること
  • 定期的な開催スケジュールに併せて自分の勉強の進度確認や
    リズムの創生ができる
    (独学の場合どうしても定期的に定量を行うことが難しくなることがあるので)
  • 受験生やOBとのコミュニケーションを通じた合格答案のイメージ化

多くの方との議論を通じて、やはり人に説明できる回答、納得してもらえる回答はあくまでも与件に忠実なものであり、学生時代等に行ってきた暗記・反射の勉強方法とは「全く違う」ものであり、暗記・反射ではなく、考えるプロセスを問うているということが強烈に意識できるようになった。

4.試験対応方法

 次に具体的な回答作成方法をご紹介したい。多くの人のやり方を参考にし真似し自分なりに色々試し試行錯誤して落ち着いたと思っている。
1)蛍光ペン
5色の蛍光ペンを使う。もともと、考えをまとめる等の作業を行うほうが効率的だと考えており、蛍光ペンを使うのは嫌いで、昨年までは1色使うかどうかという形にしていた。
しかし、ねくすとに入り4月くらいから以下のメリットを重視して採用し、以後は定着した。
①視覚的に全体像が見えやすい(良い会社か否か)
②拾い漏れが減る(判断しながら与件を読むので)
具体的な利用方法は、あるOBの使い方を基本に真似て以下のとおりとした。

  1. 青:強み、機会 
  2. ピンク:弱み、脅威
  3. 黄色:SWOTだけどどちらか不明
  4. 緑:与件では設問者の意見・社長の思い理念
    設問では助言の問題や問題の前提 ※色の意味として超重要
  5. オレンジ:与件では年代・時期の特定文
    設問では診断の問題や問題の制約
    また、診断の問題はオレンジで「S」、助言の問題は緑で「J」と記載。与件の逆接部分には△の左向きをつけていた。(弱みの文章での逆説だと赤で△)

2)メモ
 他の人の回答と一番大きく違う点は沢山のメモを取るという点である。
ねくすと以前からの習慣で、他人からは「良くそんなことやっている時間があるね」と言われていたが、個人的には良くメモを作らずに回答ができるなぁ と思っており、なくてはならない回答要素としての位置づけにあった。
 大きく分けて①方向性、②設問回答 の2つに対してメモを取っており、①は簡単な図式、②は回答要素の記載である。特に②に関しては、「30字1文」の前提で、まず設問の文字数から行数を作って、予め行数文メモ欄を確保する事も行っていた。
(例えば、120字の場合、まず①~④と書いてその後そこに書くことを埋めていく形)
この内容だと概ね文字数の半分程度はいつもメモがあり、再現答案にも困らないし自分の中では、良い習慣だと思っている。
3)時間配分
 基本的には与件40分(読み・方向性作成20分、思考・回答メモ作成20分が目安)、回答35分 見直し5分をベースにしていた。復習では、40分間は答えを書き始めないという訓練もしていたので、見直しができるか否かは別として文字数の多い問題でも40分で書ききる自信はそれなりについていた。
   ただ、財務に関しては計算問題の個数、計算結果(1回で合うか否か)によって大きく異なると思っており、あまり大きくは決めなかった。ただし、与件・設問読みを10分とし、経営分析20分、見直し10分を取れるように残り40分を割り振るように考えていた。

5.当日の試験対応

 これらを含めて当日の試験ではどのように対応できたか、何を考えて進めたかを簡単に紹介したい。小見出しは試験前に一番考えていた注意点。
1)事例Ⅰ:怪我をしないようにの事例1
 回答用紙のすかし読みで2拓があることがわかった。「結論はどっちでも良いんだろうな」とは思い、難しければみんなできないはずだと言い聞かせた。
はじめの合図とともに設問から読み始める。
何個も工場を新設してる。悪い言い方をすると、言われるがままの投資だけどその設備や生産能力も強みなんだろう。それを効率的にする必要が出てくるのが「商品特性」でそのために、工場長、SWSなのかな。そうすると新規は・・・(下記の方向性メモ作成)
「コスト削減に迫られるA社が新規と既存のドメインの違いを認識しつつ、新規事業を行う」と考えると、ドメインの違いをきちんと理解して十分に対応しているようには見えないし、問1で聞いている今まで成功した要因である投資もしっかりしていないので、失敗?「このまま成功しますね」て書いてあるコンサルのレポートって意味ないように思うし。
時間的な余裕を感じられる展開だったが、問1と問5の相関を強く出そうと、箇条書きの1文を消したところ、あと2分・・。消してしまって焦る、後悔、次の文との間に空欄が入ってはまずいし、何とか埋めないと。正直どう書けたか記憶に無いが、何とか埋めた記憶はある。かなり動転していた。途中まで上手く読み込めていたと思っていただけに、ショックは大きい。

2)事例2:与件から離れない覚悟が必要な事例2
 与件SWOTの際に右手に妙な違和感。愛用していたノック式蛍光ペンの緑が壊れている。1週間前に芯は変えていたのだが、まさか壊れるなんてことは予想も出来ず。治そうと試みるが、時間だけが過ぎていく感覚。諦めて赤のサインペンで代用を試みた。違和感はぬぐえないが、少し落ち着いてきた。
問5でいきなり温泉組合が出てきていることに気づいたとき、注意力を問うている1次試験との相関を妙に感じた。
問2の顧客減少要因がわからず、問4も首をひねりながらの回答だった。模擬試験でもマーケは比較的得意にしていただけに、更に落ち込んだ。
3)事例3:SWOT命の事例3
 昼休み中にコンビニで換えのペンを買えなかったので(緑は無かった)、セロテープで応急処置。これでなんとか5色を利用できる体制を整えた。
昼食は模擬試験で何度か試したバナナとおにぎりの組み合わせだ。糖分のことも考え高めのチョコも用意していた。午前中の2科目がかなり厳しい手ごたえだったので、ずるずる行かないようにと思って望んだ。実際の出来はわからないが、全ての問が時系列に並んで見え、「品揃えの多様化により不足度が増す仕上げ工を育成し、グローバル化に対応していくという方向感」が早い段階に感じられ、4つの事例を通じて一番手ごたえがあった事例だった。
4)事例4:注意力・時間配分事例4
 例年にも増して多くの明暗が分かれた事例だった。4つの計算問題で正答2つ、中間点見込み2つという結果は実力以上に対応できたと思う。実際には、適切な解法を理解しておらず、指定されている数字を素直に組み合わせて何とか凌いだという印象が強い。試験中は、4つの計算問題で一番易しそうな固定資産売却損の問題を「これだけは間違えちゃいけない」と何度も検算をしたのが良かったのかもしれない。

6.勉強法の1事例紹介

 自分なりに手応えがあったと思っている勉強法・参考書籍等をいくつかご紹介したい。
1)多くの人とコミュニケーションを取る
 ねくすとにいる人は皆モチベーションが高く、一緒に話しているだけで刺激される所がとても大きい。また、沢山の事例の回答やその考え方を聞いていると、副次効果としてその人独自の表現方法や思考パターンが何となくわかってくる。この効果が違う人の視点で考えられたり、自分を制御できたりするものにつながっている感覚があった。そのためにも、MLも含め多くの人とコミュニケーションを取ること、更に何人かとはもう少し深く議論できるような関係になること、はとても良いと思う。個人としては、すいねく後の天狗での議論(てんねく)に多く参加できたことは、とてもねくすとを効率的に活用できた要因の1つだと思っている。
2)事例の繰り返し解き
 ねくすとでやる事例を以下のサイクルで繰り返すことが4月以降定着化してきた。1事例を最低5回解きなおすこの習慣の定着により、自分の中で勉強方法にリズムが出てきてそれなりに納得感を持って事例をまわすことができ始めたと思う。この方法を始めるに至った、どねく(土曜日開催のねくすと)への参加は、大きな転機だったと思う。

  1. 80分解き(月曜)
  2. 無制限解き(火曜)
  3. すいねく議論を受けての修正/再考(木曜)
  4. どねくでの80分解き(土曜)
  5. どねく議論を受けて再考(日曜) 
  6. ML
  7. 再考・・・

3)表現方法の見直し
「しまさんの文章はなんていうか、あやしい文章ですよね」
4月ごろ、OBから指摘を頂いたツッコミである。自分の表現力に、多少の自信を持っていただけに大変ショックだった。そのころは、多少分かりにくくても多くのキーワードや要素が盛り込まれている回答が良い回答になり得ると考えていたところが根本原因だったのだと思う。
ただ、その考えの誤りに気づいてはいたものの、どのように修正すれば良いのか迷っていた時期に、ある日502教室で紹介された本にとても感銘を受けた。
「文章には主語・述語が1つの単文と複数ある複文があり、わかりにくい文章は複文である」
「1つの文章に言いたいことは1つ」という趣旨である。
自分の表現方法をきちんと見直すためにとても参考になった本だった。文章表現法 にも作法やロジックがあるということが理解できたし、きちんとロジックを踏んでわかりにくさを分析することはとてもためになったと考えている。
  (参考:書籍名)「超」文章法 中公新書 野口 悠紀雄著
4)採点・分析
 前年の自分の答案を、「ふぞろいな合格答案」という多くの合格者が作成する書籍の模範解答を利用して採点した。全てが協会の採点結果どおりではなかったが、傾向として納得感は得られた。自分の中では、財務の計算問題の記述やSWOTの記述が大きく失点していたように感じられ、差がつく設問の感覚が感じられた。
5)過去問ファイルの作成
 1次試験後、どねくで隔年の事例で午前・午後に議論をすることとなった際に改めて気づいたのだが、やはり過去問の論点は根っこの部分に共通点は大きいし、枝の部分での共通点も年によってはかなり大きいと思う。ねくすとは過去問にこだわる勉強方法を行っているが、明らかに今年の問題も多くの過去問との共通点があった。
 ただし、8年分ともなるとそれなりに量になり、忘れがちになってしまう。いつでも見れるようにファイリングを行った。自分が多少独特かもしれないのは、手帳サイズのノートに問題の1/4サイズのコピーを貼って更に持ち運びやすくしたことだと思う(背広のポケットに入る大きさ)。通勤や昼食時に欠かさずに見るようにしていた。
6)合格体験記
 自分のモチベーションを上げることや合格のイメージを掴むために、何度も過年度のOBの方の合格体験記を読んでいた。特に前年会長のshakuさんの合格体験記は、「まとめファイル」の最初に綴じ込み、事あるごとに読んでいた。沢山のOBがいるので、自分の感性に合う体験記がイメージしやすかったと思う。
7)まとめファイルの作成
 いわゆる、ファイナルペーパーのようなものをファイル化していた。内容は以下の通りで、①モチベーション確認、②知識確認、③論点整理、思考としての飛躍の訓練、(ここでIT問題が出たら何を聞くか、他の選択肢としては何が考えられるか等)を目的にファイルを持ち運んでいた。
参考までにまとめファイルの中身として、具体的なものを列記する。

  • H19年の本番の自分の回答(ツッコミつき)、その事例のBEST答案
  • 「全般」と4事例に分けた知識や気づきのまとめ
  • 全事例のまとめペーパー(方向性/テーマ/回答のNGポイント/他者良回答等の列記)
  • 過年度OBの合格体験記
  • 間違えた漢字一覧

8)一気にTYPE
 Noir OBから「3年分の回答」にマンツーマンで突っ込みを頂ける機会を得られた。自分は、ほぼ全て手書きで回答作成するタイプであったことから、3年分4事例の回答を2日で全てタイピングする必要が出てきた。当然問題を見ながら再度検討する時間は無く、自分の回答だけを見て一気にタイピングしていた。すると、回答だけで何となく設問がわかるものとそうでないものがあり、そうでない回答は概ね自分での納得感が低いものであると気づく。設問を見ずに自分の回答だけを見て、キチンとした診断士のレポートになっているかを俯瞰で確認することにつながっていた気がする。

7.最後に

 合格発表の2日位前から寝付けなくなった。今思うとあまり普通の精神状態ではなかった気がする。もう自分の力ではどうにか変えられるものではないと分かっていながら、不合格と合格のどちらを想定しながら発表を迎えたほうが、ダメージ若しくは喜びが大きいかという、下らないことをかなり真剣に考えていた。自分なりにできたと思う反面、何度か議論を重ねるうちに不安な点も沢山見つかったきていたためだと思う。
一度撤退をして改めて思うが、この試験はとても撤退障壁が高く、何度でも挑戦したくなってしまう不思議な試験だ。そんな中で、銀松ビルで合格を確認した時から、すこしづづ止まっていたものが動き出したように思っている。念願だった、ふぞろいプロジェクトや502教室のキックオフに参加できることは、純粋に嬉しい。
一方では、前出の前会長の体験記にある「ダイエットや禁煙はセルフコントロールで達成できる」を見習い、合格発表までは諸々制限を行えていたが、発表後タバコも食事も一気に規制緩和が進んでしまっている。やはり、まだまだ変えるべきものは多く、少しづつ進んでいかなければ行けないのだと思っている。
 少しの負け惜しみも含め、今年以前に合格しなくて良かったとも思い始めている。今年の勉強や体験は合格していたら味わえなかったものだし、多くの人との出会いも含めたこの経験は自分の大きな財産になると思う。
過去の勉強方法等を振り返り改めて思うのは、多くの人の経験に基づいた方法を見るなかで、自分に足りないものを認識し、それを多く真似できたことが今年の結果に結びついたように思う。6項で紹介した8個のうち、以前から引き続き行っていることは1つもなかった。
「ねくすとでのつきあいを続けたければ合格するしかない」と、とあるOBの言葉を思い出す、重たい言葉だと思っていたがそれを果たせたこと、それを果たしたいと思える仲間に出会えたことも喜びの1つでもある。
最後に、こういった場に携われたことを誇りに思うとともに、多くの時間を割いていただいたOBの方の献身的な活動と、素晴らしい方と共に学べたことへ深く感謝しております。本当にありがとうございました。