49歳から開始した中小企業診断士の勉強は、5年の歳月がかかり54歳の年に合格しました。平成18年度の50歳代の合格者は全国で78名であり、私もその1名に加わることができました。必ず合格すると信念をもち、短期で合格することよりも知識を身につけることを大切に勉強しつづけました。その長い道のりを同年配のご同輩にご紹介し、だれでもが合格する秘訣をお伝えしたいと思います。
■受験歴
年度 |
H14 |
H15 |
H16 |
H17 |
H18 |
一次受験 |
× |
× |
○ |
○ |
△ |
二次受験 |
− |
− |
× |
× |
○ |
■受験動機
受験の動機は早期退職制度等を活用し次々に転職していく仲間を横目で見ながら、自分も能力を高めたいと思い立ったことです。最初に挑戦したのは技術士でした。技術系であったため、コンサルタントとしても道を夢みて日夜勉強し経験や知識も生かして2年目の挑戦で技術士(電気・電子)を取得しました。
技術士の合格を手にすると今度は本格的な経営コンサルタントの知識を習得したくなりました。会社経営は全く接したことのない分野でしたので、独学では無理と考えてH13年1月から「弱小」に参加し勉強を開始しました。2年目から「ねくすと」に移り、更に、3年目からTACやAASなどの受験校にも通いました。
勉強開始した当時は3年間位で合格したいと思っていましたが、5年間かかってしまいした。気がつくと高校生だった息子が大学を出て就職しておりました。幸い奥さんは逃げずにいてくれました。
■一次の苦しみ
技術系であったため、各種の国家資格試験の受験には慣れておりました。しかし、中小企業診断士の一次の科目数は多く、内容も難しいために全科目を同時に合格することは大変なことでした。結果的に3年かかりましたが、日商簿記やビジネス法務を受験しながら苦手科目を少なくしていきました。更に、勉強会に参加したことで新しい知識も理解が進むようになりました。未経験の世界のことでも話し合うことで記憶に残りますので、一方的な講義を受けるよりも効果的な方法だと思います。また、学習年数が積み重なっても知識を披露することにより、知識が定着するメリットがあります。
受験を重ねるうちに、年を取ったせいか忘れやすいことに気がつきました。聞いた時は覚えていてもすぐに忘れてしまうのです。その対策としては忘れる前に覚えることに努めました。具体的には、800問や500問といった基本的な問題を短期間に何度も繰り返すことにより脳みそに刷り込む方法です。単純な方法ですがあまり考える必要もなく、「習うより慣れろ」に近い感じの勉強方法が効果的だと思います。
■二次の苦しみ
二次の事例問題に挑戦したのは、一次の勉強を始めてから2年目頃でした。勉強会の先輩たちは200だの300だのと挑戦した事例の数を競っておりました。私は、一事例を解くのに一日もかかってしまい、一体どのようにすればそのような数がこなせるだろうと不思議に思っておりました。また、勉強しているうちにどれでも正解のような気がしてきて、一体何が得点に繋がるのかも分からなくなってしまいました。
合格した人の言葉に耳を傾けると、@与件重視、A一貫性、B因果関係、などが盛んに言われていました。更に、C「素直になれ」とか、D「聞かれたことに答えろ」とか、言われました。しかし、自分の場合は、与件を読み設問に答える時に、なんとか楽になろうとするために安易に答えをだしてしまう傾向があったのです。この試験は、「素直な1年目」で合格しないと、「自信をもって書けた2年目」も不合格となり、「苦しみぬいた3年目」で合格となる人が多いのが事実です。うっかりすると長いトンネルに入り込むので気をつけてください。
■合格への道
合格が見えてきたのは、先輩から「過去問は宝の山」だと教えられてからです。過去問は一字一句無駄がないと教えていただきました。口述まで行った方は理解できると思いますが、与件や問題を暗記するほど読んでみると答えがちりばめられていることに気がつきます。与件は、「解答を作るための言葉の倉庫」であり、設問は、「解答をつくるためのヒント」なのです。しかし、何時間かけたとしても一字一句同じ答えが出る訳ではありません。受験校の回答がばらばらなのもそのためです。それなのに、受験生には80分しか与えられていないのです。二次試験は、限られた時間のむずかしい宝探しなのです。
まずは、ゆっくりと、時間を一杯かけて宝探します。具体的には、与件をしっかり読み、過去問の設問一つ一つの意味を捉え、与件の関係箇所を探す練習をするのです。私は、H13年〜H17年までの過去問20問をじっくり3回やりました。最初は、面倒な作業だなと思いましたが、3回目になると、「習うより慣れろ」的な学習が大変効果を現し、必要な言葉が短時間で見つけられ、早く答えが書けるようになりました。特に、事例は、社長が目的を持って診断士に相談したという構図になっており、社長の意向が重要となっています。各設問への一貫性という観点から、もっとも重要である経営戦略の方向性が見えてくればしめたものです。
過去問から事例の特徴を学ぶと同時に、自分の悪い習性も学びとることができました。失敗した時の自分は、@自分の経験から思い込みで書いた、A難解な問題に多くの時間を費やした、等の癖があることがだんだん経験できました。これらの経験から、@社長の意向を確認する、A経営の方向性を確認する、B各設問のレベルを確認し一貫性をとる、等の手順を少しずつ学びとることができました。
80分の作業では、100点を狙うのではなく60点の成果を狙うことが重要だと言われています。先輩から難しい問題を諦めることで余裕を持てと教えていただきました。本番では焦りやパニックを無くすためにも、余裕をもつことが大切だと思います。しかし、私の場合は、なかなか諦めることがむずかしく、良く見せかけようとするあまりに与件にない作文が出てきたりすることが多くありました。また、財務では、いつも簡単な計算で間違いを犯してしまう癖がありました。これも、一次や二次に出た基本的な問題を何度も何度も繰り返し、問題を見たら方法がすぐ浮かぶようにすることで、計算に集中できるようにしました。その結果、次第に苦手な財務の問題も自信をもってクリアできるようになりました。60点を取るためには、@簡単な計算や問題を落とさないこと、A難しい問題が出た時に、なんとか答案をつくるコンテンジェンシープランを準備しておくことです。
振り返れば、無事に合格までに随分と足踏みしたように思います。合格の秘訣は、@聞かれたことに素直に答えることです。また、答案を作る時に、A与件から絶対離れないことです、死に物狂いで与件にしがみつくことです。そして、B因果関係で書くことです。因果関係がない文章は説得性がありません。なんども申し上げますが、自分の頭の中の知識の披露ではなく、与件の言葉で書くことがこの試験の秘訣です。そうすれば、合格に手が届きます。特に、2年目、3年目の人は、「与件に忠実に」を呪文のように唱えて、答案を書いてください。
頑固な私も5年目でようやく素直になって合格しました。5年間の毎日が走馬灯のように脳裏をめぐり、美酒に酔い痺れました。受験生の皆さんも、合格した自分自身を夢見て、ひたすら、がんばりましょう。