合格体験記(じゅん)

 本年、3度目の挑戦で2次試験に合格できました。 僕も、学習期間中にOBの皆さんが書かれた合格体験記に幾度となく励まされ、また学習の指針としてきましたので、今後、FLIC(S)や弱小&ねくすとで勉強される方の参考になれば、という思いで合格体験記を書いてみたいと思います。(1次からになるので長いです)

【1次試験合格】

   合格したのは平成8年度とはるか昔のことです。よって記憶のほとんどが吹っ飛んでいますが、大体、何をやっていたかを思い出してみます。  1次試験は基本的に独学で勉強しました。とは言え、独学ではどうしても弱点科目が生じてしまうので、試験直前期に予備校の白書セミナーや店舗レイアウトなどのスポット講座を受け、弱点補強を図りました。 特に白書については最初から最後まで精読し記憶するには、大変な労力がかかる上、試験に出るポイントを要領よく押さえることが出来ないので、スポット講座で配られるレジュメに集中したのが正解だったと思います。このような経験から、「プロの力を借りたほうがいいところは積極的にアウトソーシングする」というのが僕の基本的な考えです。何でも自力でやろうとするのは、よほど時間のある人じゃないと無理だし、結局、非効率だと思います。  参考書は、市販の基本書と山根先生の短答式、過去問をメインに活用しました。基本書を3回位精読したら、あとは過去問と短答式を繰り返し、理解を深めていきました。十分に理解できたと判断した段階で、バインダー式のミニノートで1問1答式のサブノートを作りました。  このノートは、体系を理解した上で、マクロからミクロの原則に従い、次のような形で作りました。

 <体系>

  〇〇〇 

   −△△△

     −×××

     −×××

   −△△△ 

     −×××

     −×××

   ↓

 <ノート>

  表:〇〇〇は?(2つ) → 裏:△△△と△△△

  表:△△△は?(2つ) → 裏:×××と×××

      
 このようなノートを10冊くらい作り、模試などで正解できなかったものを随時追加していきました。後は試験日まで、このノートをソファーで寝転んで読むだけでした。  試験結果は、財務管理が極端に難化し始めた年で出来が悪かったため、自信は無かったののですが、合格してました。  1次については、試験範囲が広範囲なので、全科目のテキストレベルの当り前のことが当り前に解答できれば誰でも合格できる試験だ、というのが感想です。1次の合格率は20%位ですが、全科目をきちんと勉強できている人は少ないので、地道に各科目をマスターした人なら、実質合格率はもっと高いと思います。

【1次合格後→2次試験を2回放棄】

 1次試験合格後にコンサルタント会社に転職した関係で、急激に忙しくなり、その年の2次は受験しませんでした。  また、そのコンサルタント会社にいた外資系出身の先輩に「診断士なんてレベルが低いからやめておけ」などと言われたことがきっかけで、急激に資格取得への意欲が薄れ、翌年の2次試験も受けませんでした。  今から思えば若気の至り、診断士の本質を見抜くことなく時間を無駄にしてしまいました。

【少しだけ復活→平成10年2次に初挑戦】

 その後、そのコンサルタント会社で中小企業の担当に配属され、実務経験を積む過程で、遅まきながら「中小企業のコンサルティングには診断士の知識は使える」ということに気が付き始めました。また、当時、「この人は出来る!」と思い、可愛がってもらっていたパートナーコンサルタントが診断士で3次実習の教官をされていたことから、もう一度、受験してみようという気になりました。  しかし、受験する気になったまではよかったものの、診断の実務経験があることから完全に2次試験をなめてしまい、平成10年の2次試験は全く事例の勉強はせず、中対(マテリアルズ)を前日に読んだだけで受けました。結果は、事例Tのインストアマーチャンダイジングを見た瞬間に「こんなもん見たこと無い。解けるわけ無い。」と思い、途中退場、完敗しました。(当然だ)   そして、その後も転職で仕事が忙しくなったことを理由に翌年の5月まで何も勉強しないでいました。

【かなり復活→ねくすととの出会い→平成11年2次も敗退】

 平成11年の6月、仕事が落ち着いてきたことから、ようやく本格的に2次試験の勉強を開始しました。平成8年1次受験以来、約3年ぶりの診断士の勉強です。2次試験まで時間が無かったので、中対の丸暗記と事例用の市販テキスト(戦略診断パワーメソッド)を読むことから始めました。当然、1次の知識も陳腐化しておりましたが、とにかく時間が無かったので、中対の暗記に重点を置いたスケジュールを立て、事例は前年全く分からなかったインストアマーチャンダイジングやカテゴリーマネジメント等の知識の吸収に努めました。(知識偏重に走ったこの勉強方法が敗因と後に判明)  その年の7月頃、FLICに入会したのがきっかけとなり、ねくすと勉強会に参加することになりました。そこで、事例はディスカッション形式で学習することとし、自宅では中対の暗記を中心に行いました。  そして迎えた、平成11年の2次試験。学習時間は極めて短いものの多少は勉強していたつもりになっていたので、「あわよくば・・・」という期待を持って受験しました。しかしながら、結果は敗退。自分の実力不足は痛感していたので、がっかりすると同時に「来年、絶対決めてやる!」とメラメラと燃えてきました。そして、楽しい(?)勉強の場を得ていたことも、来年に向けてのパワーを維持する原動力となりました。

【完全復活→猛勉強の1年】

 平成11年の不合格発表の翌日から勉強を開始しました。睡眠時間を1時間減らして5時間とし、ほぼ毎日2〜3時間の勉強時間を確保しました。資格試験にここまで本気になったのは、平成3年の宅建以来のことです。結果は合格。合格は運もあるけど、不合格にならないよう一生懸命勉強はした自負はあります。  ここから先は来年以降の2次受験生に是非知ってもらいたい重要な部分なので、事例を中心に中対と分けて書きます。

<事例>

1.ギャップ分析とバイブルから合格答案を知る

 まず行ったのは、合格者と自分の事例答案の比較分析です。幸い、合格されたTomoさん(弱小)とトミイさん(ねくすと)が再現解答を残してくれていたので、お二人の答案を利用しました。その分析から自分がなぜ落ちたのかを考えたところ、(a)知識偏重となり与件に忠実な答案作りが出来なかった、(b)1次の基礎知識が不足していた、(c)解答スピードが遅い、(d)答案に具体性が無い、(e)答案にボリューム(KW)がない、などの問題点が浮かび上がってきました。特に与件志向の解答が合格答案になることは自分にとって大きな発見でした。 なぜなら、それまでの自分は完全に知識偏重状態に陥っており、出題者の意向を無視した勝手な自己主張答案を書いていたからです。その後、僕が様々な人にヒアリングした結果では、2次を何度も落ちている人のほとんどが知識偏重傾向にあることが分かりました。(実は1次知識さえあれば事例に新たな知識はほとんど要らない)  この分析からぼんやりと合格答案の形が見えてきたのですが、さらにこれを決定的に裏付ける書籍との出会いがありました。それが「ここを直せば合格点」(前田進 編著/法学書院)です。この本との出会いが無ければ、今年の僕の合格は無かったと言っていいほどのシロモノで、2次試験当日までバイブルとして読みつづけました。この本に書いて る具体的な事例解法メソッドは新制度の事例においても極めて有効だと思います。

2.事例の解法構造  このような過程を経て、事例答案の「あるべき姿」を知った僕は事例の解法構造を次のように分析しました。

        ―――――――――――――

       |1問題構造化能力     |

       |  ―――――――――――|

       | |2切り口設定能力   |

       | |  ―――――――――|

       | | |3表現力&KW能力|

        ―――――――――――――

  
 1の問題構造化とは当該事例のストーリーを読み、設問間の関連性や題意把握をすることです。  2の切り口設定はどういう項目で解答を記述するかの決定です。これには、(1)与件から引っ張る、(2)事前に用意したフレームワークを使う、の2つ方法があります。(基本的に前者の方がベター)フレームワークについては、外部環境、内部環境、戦略ドメイン、成長ベクトル、競争戦略、ポジショニング分析、マーケティングミックス、ポーターの5つの競争力(全部1次知識)を押さえておけば十分だと思います。  3の表現力&KW(キーワード)能力は、次のロジックツリーで説明できます。

               なぜ?           

        原因 ←ーーーーーーーーーー 問題点

       (与件)

         |   では、どうする?

          −−−−−−−−−−−→ 解決策→期待効果

問題原因(与件に必ずある)を因(〇)として、解決策(△)を導き、期待効果(×)を書くのが表現の仕方の基本です。即ち、〇〇〇なので、△△△により、×××を図る、と書く。これが出来るのが表現力です。但し、解決策(△△△)は与件に書いてありません。これを僕は戦術的キーワードと名付け、事例で勉強すべき唯一の知識としました。ちなみに、これは問題解決型提言パターンですが、戦略策定パターンも同様に与件を因として記述することが可能です。

3.解法構造別に行った僕の学習方法

        問題構造化と切り口設定は過去問を使ってセットでトレーニングを行いました。構造化と切り口設定までの時間制限を25分に設定し、スピーディにストーリーを読み、切り口を設定していくトレーニングです。これは1人で電車の中でも行い、過去問5年分2回転しました。このトレーニングの効果は絶大です。自分がパワーアップしていくのがはっきりと分かりました。  表現力&KW能力は、まず、戦術的KWを弱小のじょんいる君と協力して市販の問題集や過去問から、業種・4P別に、エクセルに片っ端からぶち込んでいきました。その後、2人でソートして資料を完成させました。この資料を暗記することで、僕のキーワード能力は格段に向上し、答案作成の際に言葉に困ることは一切無くなりました。どんな難問でも絶対に何か解答できる、と確信したのはこの作業が終了した頃です。表現力は特別なトレーニングは行いませんでしたが、その後の模試で鍛えることになりました。

4.模試を受けまくることで敵を知り己を知る

 前述のような勉強を一通り行った後、合計5社の模試を受けました。結果として、全ての模試で上位3分の1に入りましたが、最高でも40番(約300人中)に終わりました。極めて不本意でしたが、各事例の成績上位者を見比べてみると、例えば事例Tでトップだった人が事例UとVではランクインしていなかったりするケースが多く、よくよく分析してみると上位3分の1はだんご状態であることが分かりました。この3分の1の人達の中で自分はどうすれば打ち勝つことができるのか、が次なる課題となりましたが、結局、解決策は鉛筆を2Bにするくらいしか思い浮かばず、事例はこれ以上伸びないと判断しました。  但し、MMCの模試だけは、解答にきめ細かいコメントがついていて表現力の面で得点アップの参考になりました。また、前述の通り、事例は知識ではないと確信していましたので、模範解答を勉強するのではなく、問題を解く時、自分にどんな悪い癖があるか等の分析と反省を行い、自分なりの合格の鉄則を作り上げていきました。また、たくさん模試を受けることにより、脳と体が麻痺してきて、答案スピードの心配はなくなりました。やはり事例はトレーニングだと思います。

5.その他

 事例は仮説を立てればいくらでもストーリーをこしらえて遊ぶことが出来ますが、これに深入りすることは時間の無駄だと考えています。試験の制限時間が80分しかない中で、あれやこれや考えを巡らせていては深みにはまり、タイムオーバーしてしまいます。AYAMEさんからもアドバイスを頂きましたが、難しく考えすぎず、要領よく解答することが効果的だと思います。事例そのものは奥が深い問題もあるかもしれませんが、まずは時間内に人より1点でも多く得点する解答を仕上げる力をつけることです。  ここで、試験直前までに作った自分の「合格の鉄則」を、ご紹介しておきます。
(1)スピード重視!思いついたらすぐメモ、すぐ解答。空欄に得点なし。
(2)目の前に社長がいるつもりで書く。社長は一般論を聞いているとイライラしてくる。切り口を整理してその企業にあった具体的なことを書け。
(3)フローチャートはシンプル&柔軟思考で。
(4)どつきあいの法則で判定勝ちせよ。
(5)とにかく難しく考えない。 
(6)設問文は3回読み、慎重に題意把握。
(7)全て与件との因果で書く。
(8)「等」はできるだけ使わない。

<中対>

 この科目は記憶術の本を買って、その通りに実行しました。ハーブの香りなどでリラックスした環境をつくり、さらにDHAの錠剤を飲み暗記しました。また、200字は出来るだけ体系的な文章をこしらえ、1次の時と同様のミニノートで覚えました。  施策総覧は読むのに苦痛が伴いますが、読みました。今年の試験では関係ありませんでしたが、中対の理解にこの本は欠かせません。

【終わりに】

 長文を書き、疲れました。読んでくれた方も疲れたと思います。中対は完全に手抜きですが、来年以降の参考になりそうなネタがありませんのでご容赦下さい。  合格できた要因は、ここに記した以外にもたくさんあります。しかし、何と言っても根本は「絶対合格してやる」という意気込みを1年間維持できたことだと思います。  そしてこれから合格を目指される方へ。試験は受かるか、落ちるかの残酷な世界です。先のオリンピックのサッカーで日本がアメリカに負けたように、能力で勝っても負けることがある。負けは負けであり、何を言っても泣き言にしかならない。でも大丈夫。試験である以上、方法を間違えずに精進すれば、最後は絶対に勝てます。試験は決してギャンブルではありませんから。  というわけで、拙文でしたが、少しでもお役に立てば幸いです。

                             以上

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