合格体験記(さいとう)

■はじめに
  学習開始から二次試験合格まで、3年を要してしまった。今回、体験記を書かせていただくことは、「結局この3年間、何を考え、何をしてきたのか」を整理する作業に他ならなかった。そのため、文章が時系列的となり、他の合格者のように、体系的になっていないことをお詫びする。
  その中で、「■学習再開〜二次試験合格」の章は、受験生へのアドバイスを意識した。ここだけでも、お読みいただければ幸甚である。

■プロフィール
  1966年生まれ。ローカル放送局の東京支社に勤務している。3年前はまだ幼稚園児だった長男、同じくまだ生まれていなかった長女、それに妻、の4人家族である。
  平成12年の秋から受験勉強を始め、13年夏(新制度初年度)が初受験。以降、
   13年 一次○、二次×
   14年 一次○、二次×
   15年 一次○、二次○
という成績だった。ことごとく二次試験の壁に阻まれた。このため以降では、二次についての記述が中心となっている。

■資格取得を目指したきっかけ
  根底には、いわゆる学歴コンプレックスがある。「数学の先生」になるつもりが、計らずも一般企業に就職することになったため、社会科学系についての学習欲は以前から持っていた。
  平成8年、東京に転勤となった。当時、放送業界は、民放BS・地上波デジタル化の発足前夜。免許制度に保護された、安穏とした時代が終焉を迎えつつあった。
  「30代・40代が、荒波に漕ぎ出す船の舵取りをする必要がある」というムーブメントがあった。大手広告代理店やキー局の同世代社員との勉強会に参加した。
  勉強会での議論は、当初、「デジタルとはなんぞや」「番組は、営業はどう変わるのか」といった、現場レベルにとどまっていた。しかし、「我々が直面している問題は、一営業セクションや制作といった個々の機能において解決できるレベルではない。結局は経営の問題だ」という結論に至った。現場社員にも「経営」の観点が必要であることを、初めて思い知った。
  同時にこの頃、友人がMBAを取得した。社会人になってからも学習の機会があることを、恥ずかしながら初めて知った。これに触発され、ごく軽い気持ちで、筑波大の社会人大学院コースを受験した。当然、不合格だったが、さほど落胆した訳ではなかった。
  ショックを受けたのは、これまた「何事も経験」ぐらいの気持ちで、他のマスコミの中途採用に応募しようとしたときである。「エントリーシート」に、自己のキャリアを記入する欄があるのだが、何ら書けることがない。資格はおろか、これといって誇れる実績もなかったからだ。
  そんな頃、「35歳までは自己への投資」「明確な目標を立てて学習意欲を高めよ」といった内容の本(題名は忘れました…)を、たまたま手に取った。「だからこそ資格の取得を勧める」、とある。
  資格取得という手があることに、初めて気づいた。「診断士」という資格を知ったのもその時である。

■学習開始までの下準備
  当時私は、外勤のセールス担当をしており、夜の接待や週末のゴルフなども仕事のうちだった。そこで、平成12年3月、内勤への異動希望を出し、通してもらった。いわば、学習時間を捻出する準備を始めたのである。
  とはいえ、新しく担当したのは、前任者が慢性的に深夜まで残業していた業務であった。しかし私は、ムダやムラを排除・圧縮できる確信があった。難しいことをした訳ではない。通信手段を電話からFAXやメールに移行する、業務フローを根本から見直す、といった今思えば当たり前のことである。
  一つ一つ改善していった結果、繁忙期でなければ7時には仕事を終えられる環境にすることができた。この作業に半年近くを要した。

■勉強開始〜初受験
  平成12年8月に、企業経営通信学院への通学を申し込み、秋から通う。約2週間、12時間の講義で一科目を終える。10〜1月の4ヶ月で全科目を終了するカリキュラムだった。一次試験の学習は、基本的にその2週間でサブノートを完成させるルーティンとした。
  サブノートは、A5サイズのシステムノートに、主にエクセルで書いていった。アウトプットを中心とすることも、資格試験勉強のセオリーではある。インプット重視は、確かに合格への最短距離とはいえないかもしれない。しかし、経営全般についての体系的理解も学習目的であった自分にとって、きっちりとサブノートを作成していったことは無駄ではなかったと思っている。

 平成13年6月から、Niftyで見つけた「ねくすと勉強会」に参加する。一次勉強組は、私を入れて5人。「500選」などを活用した、アウトプットを中心とした学習であった。メンバーのモチベーションの高さに刺激された。

 初めての一次試験は、それまでの充分すぎるほどの学習と、非常に簡単な問題であったことで、かなりの高得点で合格することができた。しかし、一次終了まで、二次の準備は全くしていなかった(意識すらしなかった!)。私だけではないと思うが、新制度初年度においては、旧制度同様、一次のハードルをかなり高いものと想定し、一次準備に全力をつぎ込む方が一般的ではなかっただろうか。

 そんな頃、家庭内でちょっとした問題が発生した。
  詳しくは書かないが、「『子供と接する時間』と『来年も受験できる資格試験』のどっちが重要か?」と自問しなくてはならない状況に陥る。加えて、「一次があれほど簡単だったのだから、二次も楽勝じゃないのか」「逆に難しいとすれば、到底2ヶ月では合格できまい」といった考えも頭をよぎってしまった。この時点で、ストレート合格は遠のいた。

■二度目の受験
  不合格だったものの、意外にショック少なかった。二年計画、と腹を決めためだろう。
  水曜ねくすと二次組での学習に加え、予備校にも通うことにした。少人数制を評価し、TBCを選んだ。クラスに、ねくすとの仲間がいたので、5名ほどで勉強会をつくった。互いのアウトプット答案を回覧・批評することで、自力を客観的に把握するとともに、高得点者のロジックを盗むよう努めた。

 この1年間では、特に次の3点に注力した。

@安田順さんからのアドバイスをきっかけに、「論理的思考力の強化」を図った。
  グロービス「MBA クリティカル・シンキング」や、渡辺パコ氏の著作を教材とした。余談だが、妻から「理屈っぽい!」と叱られるようになったのもこの頃からである。

A「財務・会計」の得意科目化を図り、マンパワー「ロジックで解く財務会計」を何度も回した。この書籍は今、ボロボロの姿になっている。愛着から、捨てるに捨てられない。
  簿記2級の学習も始めた。「帳簿組織」など、診断士試験に無関係な部分は省いたため、合格はしばらく後になったものの、勉強すること自体、非常に有益であった。
  簿記や財務は、語学などと同様、“肉体系”科目と思っている。毎日動かさないと、筋肉は硬くなる。1日数十分でも、毎日触れるべきだ。

Bビジネス書を読みまくった。自分が、マスコミというある種特殊な業界にいるため、試験問題の事例企業はおろか、一般のメーカーや流通等にも疎いためだ。
  「手当たりしだい」「他人から進められるまま」に近かったが、今、書棚を眺めると、人事・組織や、生産管理の本が多い。

 学習“量”においては、この年のトータルが、3年間では最大である。しかし、“質”や“密度”が不足していたのだろう。後で詳述するが、この“資格試験に合格するため”の最適な学習方法をとっていなかった。また、学習期間を1年間とったことで、逆にだらだらと進めていった感も否めない。
  2度目の二次失敗後は、相当に落ち込んだ。「自分には、何年かけても絶対通らない試験ではないか」とまで、本気で思ったものである。
  すでに、30代半ばの2年間を勉強に費やしている。その間、犠牲にしたもの──家族との時間、仕事、あるいは他の学習機会──も少なくない。さらにもう1年、診断士の勉強をすることは、自分にとって必要なことか、他の選択肢と比べてどうなのか…。優先順位を見直さざるを得なかった。
  自分の気持ちを含めた、環境が整うまでは、勉強のプライオリティを下げることとした。翌5月までの半年以上の間は、一切、何もしていない。

■学習再開〜二次試験合格
  平成15年5月、なんら準備をせずに模試を受けた。二次の受験資格もあることだし、まずは何かしておくか、といった軽い気持ちだった。数週間後に帰ってきた結果は、上から3割付近と、さほど悪くない。昨年勉強したことは、けしてムダという訳ではなさそうだ。あと少し積み足せば何とかなるかもしれない──学習再開のきっかけであった。
  残り4ヶ月。二次合格への最短距離を探さなくてはいけない。自分に何が足りないか、合格者とのギャップを探った。

【二次試験に対する誤解】
  まずは、敵…この二次試験とは何者か、を明確にする。
  重要な提案がある。「二次試験は、あなたの知識をアピールする試験ではない。あなたのコンサル能力を測る試験ですらない。作問者は、既に模範解答を用意している。その模範解答の“当てっこ”に過ぎない」と思い込むことだ。
  この試験は、与件文や設問文という「ヒント」から、その「模範解答」を客観的に推理する試験なのである。そこに、受験生の主観が内在する余地はまったくない。
  このことを、言われてそのまま信じられる受験生は少ないであろう。かつて自分も、合格者からこれを異口同音に聞いたとき、まさか、と思ったものである。実際、自分で本当にそう信じきれるようになったのは、実は受験の1ヶ月ほど前だ。しかし、この試験を「模範解答の当てっこ」と明確に定義づけたおかげで、出題者の意図をより意識するようになった。以来、事例のストーリーを重視するようになり、知識のひけらかし的答案は書かなくなった。

【ゴールイメージの明確化】
  そのような二次試験に合格する者は、どのようなスキルを身につけているのか。次のような仮説が立つ。
  @「読む」力:与件と設問から、事例企業の真の問題点を把握することができる
  A「考える」力:適切な解決策を考えることができる
  B「書く」力:解答用紙を介して採点者にわかりやすく伝えることができる
  しかもこれらを80分で行うので、「Cスピード…読んで、考えて、書くスピード」が必要であり、また、@〜Bを通じて「D論理的思考力」「Eある程度の知識」が、ベースとして必要である。

【身につけるべき能力】
  そこで、自分は何を持ち合わせ、何が不足しているのかを客観的に分析する。
  私の場合、時間無制限で解答を書けば、まずは合格レベルの答案とすることができた。具体的には、@充分に時間をかけて与件と設問を読み込めば、事例のストーリーは大体把握でき、Aじっくり考えさえすれば、出題者の求める解答を思いつくことができ、B何度も書き直せば、読む人に伝わる解答を書くことができた、ということだ。1年におよぶ、ねくすとでの議論の賜物であった。
  すなわち、「論理的思考力」や「知識」はそれほど不足していないものの、「スピード」がまったくないことが問題ということである。

 では、「“80分間で”読み、考え、書ける力」を身につけるには何をすればよいのか。
  残念ながら“うまい方法がある訳ではない”のが結論である。訓練を重ねることが、遠回りに見えて最も確実な方法だと思う。
  先に、「(一浪目では)この資格試験に合格するための最適な学習方法をとっていなかった」と書いた。昨年までの学習は、事例を解く“効率的な方法”――いわば「事例解法マニュアル」を模索するものだった。前年にストレート合格した吉田さんから、「一次試験後の2ヶ月で100事例近くをこなしたことで、合格レベルに達した」という話を聞いたとき、「スピードがないなら、より早くできるように訓練する」という当たり前なことに気づいて、愕然としたものである。
  「より早く読み、考え、書くマニュアル」は、ない。しかし、それができるように「訓練する方法」は、いくつか考えられる。人それぞれとは思うが、私のとった方法をいくつか紹介する。

【「読む」スキル──“ストーリー”を把握する】
  事例を解く際に、まず設問を読んでから与件文を読むべきだ、とはよく聞く話である。問われることを先に読むことで、事例全体の方向性を前もって把握できるうえ、与件文上の着目すべき点のフォローが効率的になるからだ。
  しかし、私の場合、設問を読んだ後に、与件文を読んでる途中で、設問の内容を忘れてしまうという問題があった。
  そこで、「設問の内容を別紙にメモる」ことにした。具体的には以下のような手順である。
  @まずは、問題用紙の表紙をやぶるなどして、メモ用紙とする。
  A設問を読みながら、その主旨をメモしていく。
  Bその上で、設問間の構造を把握する。とはいえ、上記のメモ(設問の趣旨)を矢印で結ぶだけである。
  C次に与件を読む。設問と与件が一覧できるので、与件を読みながら、メモ用紙上の「設問の趣旨」にプロットすることが容易となる。
  私は本試験でもこれを行ったが、どうしても時間を喰うため、できれば、本番までには“こんなことをするまでもない”レベルに至るべきではある。

 SWOTによるアンダーラインの色分けはしなかった。赤・青・緑の3色ボールペンを使ったが、重要度に応じただけである。具体的には、
  @当社の意思(理念や診断依頼内容)のようなところは赤ペン
  A当社内外の制約条件は青
  Bその他、重要と思える部分を緑
といった程度である。マーカーにしないのは、ボールペンだと同時にメモも書けるからだ。

 何より重要なのは、必ず、事例企業の今後のドメインを、明確に“書いておく”ことだ。
  設問で、今後の全社戦略を聞かれた場合は、メモのその設問部分に、ない場合は、別欄としてドメインを書いておく。これにより、機能別の問題解決策を解答する際にも、全体的な方向性からズレなくなる。
  また、これが書ける時点で、ほぼその事例のストーリーは読めていることになり、事例を解くための「読む」プロセスにおいてはゴールとなる。

 時間制限として、ここまでを25〜30分で終えることを一応の目安とした。
  しかし、これを守れたことは、本試験までほとんどなかったのが実情である。
  設問毎に時間制限を設定する人が多い。私も一時期試したが、最終的にはそれも行わなかった。ストーリーさえ読めれば、殴り書きしても合格答案になる、という自信があったからである。
  昨年の模擬試験等では、平成14年の傾向を受け、解答として1,000字前後書かせる問題が多かった。ストーリーの読み込みを30分で打ち切り、50分使いつつも度々ペンを止めながら答案を書く「見切り発車」よりも、ストーリーを読みきってから20分で殴り書きした方が、解答欄も埋まるし得点も高いことを経験していた。
  まずは「ストーリーを読みきるまでは答案に向かわない」ことを徹底し、次いで、その時間を短縮していくよう、訓練を重ねるべきである。

【「考える」スキル──“活きた”知識が必要】
  私には「考えるスピードが不足していた」と書いた。これは、自分の持っている知識が、一次試験向けの上滑りなものに過ぎず、事例企業の問題解決策を助言する実践的レベルまで昇華されていなかった、ということである。一次知識の体系的理解を再構築する必要があった。
  そのためにとった手法は2つある。ひとつは、「助言ワード集(“たんとうしき”風には『助言マニュアル』)の“自力”作成である。
  *部品在庫が多い⇒「標準・規格部品の使用」「部品点数の削減」「発注方式の適正化」
  *セクショナリズム横行⇒「部門間協議」「ジョブ・ローテーション」「グループウェア」
といったように、「全体戦略」「人事・組織」「マーケティング」「生産」「財務」「情報」のカテゴリーにおいて、それぞれ20個から30個のキーワードを自分なりにまとめたマトリックスを作成した。
  一次用のサブノートをエクセルで作成していたので、ゼロから作った訳ではなく、時間はそれほどかからなかった。一次試験前に整理できたため、昨年は、特別に一次の勉強をせずとも合格できた、という付帯的効果もあった。

 もうひとつは、いわゆる体系図である。私は、「マインドマップ」といわれる、ひとつのキーワードを中心に、関連する概念をその周りにプロットしていくチャートを、苦手な生産事例を中心に何枚か作った。できるだけカラフルにし、絵なども多く使うことで、より印象に残るようにする。これをカラーコピーして、トイレや、風呂にまで貼った。
  理解のための「マインドマップ」、記憶のための「助言ワード集」といった位置づけである。これらにより、例えば「OEMのメリデメは」「顧客データベースの活用方法は」といった問いに対し、5つ6つは反射的にキーワードが浮かぶようにした。

 ここで、二次権利のある浪人生向けに、自分の行った「一次試験の準備」についても記しておく。
  私は、二次権利を持つ人にも、一次の受験を勧める。乱暴にいえば、合格する必要は、ない。最大の狙いは、二次本番の2ヶ月前に一次知識を整理することである。
  前述したように、二次に必要な知識は、最低限でよい。だから、この時点でしっかり整理し、残りの時期は「読んで」「考えて」「書く」二次にあわせた学習にフォーカスすべきだ。
  とはいえ、一次に落ちると、それなりにヘコむだろう。そこで、あわよくば合格を狙える最低限の学習として、「経済」と「施策」を、直前期だけでも、一通り行う。
  「経済」は、@二次に関係ないのでさっぱり忘れてるうえに、A初日の一科目目なので緊張を強いられ、Bここでダメだと残り2日を投げてしまいかねない。また、「施策」も二次に無関係な暗記モノであり、この科目で失敗する人も多いらしい。
  実質10科目中、二次準備と重なるのは、「経営(人事・組織含む)&マーケ」「運営」「財務」「白書」「情報」だ。これらについては、一次向けに新たに学習する必要はない(ようにしておきたい)。また、「新規事業」は、ほぼ全科目を総括するし、「助言」は、配点上、知識部分を捨ててよい。
  加えて、より合格を意識したい人は、昨今の傾向からすると「法務」はしっかり抑えておくべきであろう。

 いまひとつ述べたいのは、「財務」についてである。ぜひともこの科目を“味方”にしたい。事例T〜Vと異なり、事例Wには客観的な正解がある。いわば旧制度の「中対」として位置づけられるともいえる。また、実際の企業診断においても、結局、クライアントの要望は、P/LやB/S、あるいはキャッシュフロー・ステイトメントを改善することなのである。企業診断は財務スキルをベースとする、と考えていただきたい。
  私は、一浪の時に、財務に対しての苦手意識を克服した。さらに、昨年の8・9月には、一日一事例、財務を解いたおかげで、むしろ得点源とすることができた。財務が苦手でもこの試験何とかなる、とお考えの向きには、猛省を促したい。

【「書く」スキル──“伝わること”を第一に】
  書くスピードを向上させるためには、私も、まずは「写経」をお勧めする。
  周りがみんなやっていたので、効果に対しては半信半疑ながら、私もせっせと写経した。何より感じた効果は、「焦りを防ぐことができる」ことである。1,000字を20分ぐらいで書くことに慣れていると、「20分あれば答案は埋められる」と思えることで、先に書いた「ストーリーの読み込み」プロセスにじっくりと取り組むことができる。

 書き方については、あまり述べることがない。というのも、最終的に私は、「書き方でそれほど得点に差はつかないのではないか」と考えるに至ったからである。きちんと“伝わる”文章さえ書ければよろしい。
  「結論先出し」や「一文50字以内」等も、その手法の一つである。しかし、「その事例をしっかりつかんでいることを伝えること」こそが、何より肝要である。
  他人の、高得点を取った模試答案を見せてもらうことがある。多くのキーワードが盛り込まれている。模擬試験は、キーワードに得点が与えられるからだ。しかし、平易な言葉ながらも、ポイントはしっかり抑えている答案のほうが、模試の得点は低いかもしれないが、その事例企業の問題点をきちんと理解しているように見えることは少なくない。実際に、合格者の再現答案では、このような答案が多い。
  答案にいくつも内容を盛り込み、どれかで当てるという書き方は、ぜひとも避けてほしい。キーワードは少なくても、読む人がストレスなく読める文章を心がけたい。ストーリーが見えていれば、まず外さない。
  あなたの知識を問うている試験ではないことを思い出されたい。

■やることが決まったら…
  あとは、実行するだけだ。上記のようなコンセプトに従い、100事例解くことをを目指して学習した。学習予定表、というほどのものではないが、解くべき事例を一覧表にし、解いたら、それを赤ペンで塗りつぶす。本番までに、すべてが真っ赤になるよう励んだ。
  平日は、一日2事例、できれば3事例、解くよう心がけた。朝1本、昼休みに会社の近くの喫茶店で1本、夜、会社帰りに同じ喫茶店でもう1本解く。時々、その答案を、HAUさんら合格者に採点してもらう。「ストーリー志向」がまだ定着しないうちは、キーワードに引っ張られ、得点のブレが大きかった。
  水曜ねくすとに加え、土曜・日曜も集まって学習した。また、8月後半から1ヶ月間、日本マンパワーに通った。「“真因をつかむこと”が事例問題のすべてだ」、という兼高先生の弁は、我が意を得た思いであった。

 昨年8・9月ほど、全てを投げ打って学習に打ち込んだことは、かつてない。一にも二にも、家族の協力のおかげである。
  「絶対今年で終わらせる。『今年合格できなければ一生できない』と自分が納得できるぐらい勉強したい」と、家族に訴えた。8・9月の土曜・日曜を、ほとんどすべてもらった。盆休みも、妻子を実家に帰し、約3週間、勉強に没頭することができた。特に長男には、本当に寂しい思いをさせてしまった。今思えば、結果的には半年間学習を中断したことで、家族の了解を得られたかとも思う。
  次第に、マンパワーのアウトプットで上位に名を連ねるのが常となっていく。各社模擬試験では、上位3割から落ちないことを目標としたが、これも達成することができた。ストーリー把握を重視し、キーワードは少なかったにも関わらず、である。
  試験直前、9月中旬に受けた模擬試験で、全国一桁の順位だった。これで完成した、と思えた。

 試験当日は風邪をひいてしまった。のどが痛く、休憩時間の度にトイレでうがいをした。逆に、それが元で、良い意味で力の抜けた答案が書けたかもしれない。“体調が万全でない方が、ピッチャーは慎重さゆえに好投できる”というやつである。とはいえ、体調管理にはくれぐれも注意されたい。

■最後に
  ねくすとの仲間や、アドバイスを下さったOBの方々、何より、協力してくれた家族に対し、本当に感謝している。
  この3年間で学んだ、最も重要なことは、「あきらめさえしなければ、何でもできる」ことだ。目標に向かって努力しているとき、その速度がニブったり、壁にぶつかることがある。それでも、とにかく続けることが肝要だ。やがて、必ず突破する。その時がくることを、信じることができるようになった。
  合格後、仕事を元の外勤セールスに戻した。3年の空白を埋めるべく、週末はできるだけ、妻や2人の子のために時間を使っている。このため、ねくすとOBとして、受験生のお手伝いを十分にできていないことをお詫びする次第である。


 


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