プロフィール
1968年生まれ 大学(商学科)を卒業、高校教員を3年間経験した後に、父の経営する印刷会社でDTP(デスクトップパブリッシング)の技術を身に付け独立。独立後はホームページのデザインやインターネット関係の新規事業の立ち上げなどをおこなう。2002年度中小企業診断士試験の合格をきっかけに、2003年5月からコンサルティング会社に就職、コンサルタントとして勤務する。
受験のきっかけ
プロフィールにも書かれているように、私はネット関係のビジネスの立ち上げなどの事業をおこなっていました。インターネットが商業化された初期のころからビジネスとしてインターネットに関わっていたため、海外のベンチャー企業や国内の大手企業と一緒に仕事をするなど、やりがいのある楽しい仕事をたくさん経験できました。
しかし、インターネットが普及しマーケットが広がっていくにつれ、私の会社に声のかかる仕事の質がドンドン低下していくようになりました。また、我々よりも後からこのビジネスに参入してきた技術レベルもそれほどない会社が大きな利益をあげるというようなケースを見ているうちに「自分のビジネスのやり方はどこか間違っている。」と思うようになり、その様な成功している会社との違いはなんだろうと分析をおこないました。
その結果わかったことは、成功している多くの会社は経営学の基本を忠実に守りきちんとした戦略にしたがってビジネスをおこなっているという事でした。同時に自分自身の力を過信しそういう「当たり前のこと」をきちんとしていなかった事がビジネスを大きく出来なかった原因だという事がわかりました。
そこで、経営というものを体系的にもう一度きちんと勉強してみようと思い、学生時代に何度か耳にしたことがある中小企業診断士という資格に興味を持ちました。
勉強をスタートするまで
はじめてこの資格に興味を持ったのは、2000年の秋頃でした。当時ネットで色々調べるとどうやら来年度から試験制度が大幅に変更になるらしいという事がわかり、とりあえずどんな風になるのかもわからなければ勉強もできないという事で、某受験学校の説明会に参加してみました。
その際の参加者は確か20名程度いたと思いますが、そのほとんどが年配の方で、講師の先生が自身の受験体験談や資格取得後の仕事のやり方など非常にためになる話をしているのに、質問の時間には「教育給付金について教えてください」などの質問ばかりで「今までの講師しの話はなんだったんだ?」という感じで非常にレベルが低く思い、「この人たちと一緒に勉強しても時間の無駄だな」ということで、とりあえずその日は通信教育の教材を申し込んで帰りました。
後日、通信教育のテキストが届いたのですが、結局その年は他の資格の勉強をしたり仕事が忙しかった事等もあり、まったく勉強せずに(当然受験もせずに)終わってしまいました。通信教育のテキストは一度も封を切りませんでした。
そして、2001年秋頃、またふっと中小企業診断士のことを思い出し、さらに昨年参加した受験学校の説明会の時に講師の人が「受験生同士でやってる勉強会に参加するのも良いかもしれません」と言っていた事を思い出して、ネットで検索をしてみました。
すると、いくつかの勉強会の存在がわかり、さらにちょうど翌日に説明会がおこなわれる勉強会があったので、それに参加してみることにしました。
説明会に参加してみると、20代〜30代の若い人が結構いて昨年の受験学校の説明会とはまったく違った印象をうけました。そして、合格者の話などを聞いているうちに「なんか面白そうだなぁ〜」「あの人が受かったなら俺も受かりそうだなぁ〜(失礼!)」と説明会が終わる頃には勉強する気になってしまってました。
勉強開始〜1次受験まで
なんとなくやる気になって参加した週一回の勉強会ですが、最初の頃はあまり勉強していませんでした。1次受験者のグループで決めた教材(500選)をなんとなくさらっと読んだりする程度で勉強会に参加し、勉強会の時に非常に基礎的な質問をしたりと受験仲間には迷惑をかけていたと思います。
そんなやる気のない私の運命を変えたのは、5月のG.W.の4連休です。連休の初日、2日目には某受験学校の1次模擬試験を受けました。ここで初めて2日間8科目の1次試験の大変さがわかると同時に自分の基礎知識の無さに気づきました。正直なところこの模試を受けるまでは、商学科を卒業しているということと自分で商売をやっていたという事で、「他の人よりもアドバンテージがあるから大丈夫だ」となめていました。
そして、G.W.の後半は、勉強会の仲間との合宿でした。ここでさらに自分の知識の無さと、今後やるべきことがたくさんあることに気づき、「これは死に物狂いでやらないと受からない。」という意識に変わりました。
ここから1次試験前日まで、問題集(500選、800問)を解き、わからないことはまず自分で調べる、それでもわからなければ勉強会の仲間や合格した先輩方に教えてもらう。というルーチンワークを繰り返しおこないました。
さらに勉強会において、勉強仲間がわからないところは積極的に教えてあげる、という行為を大事にしました。これは、教員時代の経験で身に付けたことなのですが、人に教えるためには、自分がきちんと理解できていないと教えられないものです。そのため、きちんと説明できなかった事に関しては、もう一度徹底的に勉強しました。
結局、問題集は軽く10回以上解いたと思います。最終的にはほとんどの問題と答えを暗記してしまっていました。
1次試験当日
試験当日は、朝会場近くの喫茶店に勉強会の仲間と集まりお茶を飲みながら談笑して、気持ちをリラックスさせて会場入りしました。
模擬試験の経験から集中力を維持するために、食事は休み時間のたびに軽くおにぎりとチョコレート(脳の栄養)を食べるなど工夫をしました。
一日目の試験科目で比較的自信を持っていた「財務会計」「運営管理」が思ったほどできなくて、終わってすぐに自己採点をしてみると意外と点数が取れていないことが判明しました。当初の予定(願望)では、一日目に点数を稼いで二日目の最後にある不得意科目の「中小企業経営・中小企業政策・助言理論」は足切りラインさえクリアできれば良いという状態にするはずでした。
そこで、試験終了後、自宅に帰ると深夜2時まで「中小企業経営・中小企業政策・助言理論」の勉強をしました。
その結果、試験時間中の自己採点で合格レベルに充分達していると自信があったので、試験時間を40分以上残して中途退場しました。
2次受験まで
「1次が終わったら試験結果は考えずにすぐに2次の勉強をすること」という合格者のアドバイスに従って、1次終了後すぐに2次の勉強をはじめました。といっても何をどう勉強してよいのかまったくわからず途方にくれてました。そんな時に昨年度の合格者から2次試験はどういうものだという事をレクチャーをしてもらい、その後は2次をずっと勉強していた人たちに混じって、一緒に問題を解くことにしました。
当初は、何をどう書けばよいかまったくわからず、また字を書こうとしても漢字が出てこないなどボロボロの状態でした。また、時間をかけて解答を作ってみても、受験学校の出している模範解答とは程遠い内容で「これじゃ絶対無理!」と思い諦めそうになりました。
しかし、勉強会の先輩(合格者)の再現解答を見てみると、受験学校の模範解答とは全然違っていて、あまり難しいことはかかれておらず、「これならなんとかなるかなぁ〜」と、少し光が見えてきました。
この8月から9月にかけては、水曜夜のねくすと以外に土曜の勉強会、日曜の有志の勉強会、そして火曜日も朝から勉強会をおこないました。
これらの勉強会では80分で問題を解き、解答を皆で見せ合い批評しあう、の繰り返しをおこないました。解いた事例の数はおそらく50事例は超えていると思います。
一度だけ某大手受験学校の模擬試験を通信で受験しましたが、結果は1700人中1200位という非常に低い成績でした。しかし、「受験学校の採点基準と本試験の採点基準は違う」という合格者の言葉を信じ、いままでのスタイルを崩さず突き進みました。
これらの勉強の結果、試験の1週間前くらいには、どんな問題でも(高得点はとれないが)外さない解答を書けるようになり、手ごたえを感じました。
2次試験当日
1次試験の時と同様に朝、受験仲間で集まってお茶を飲んでから会場入りしました。
事例1を見た瞬間に昨年と出題傾向のまったく違うみたことも無い問題で、尚且つ解答欄の文字数も多いという事で、一瞬何をどうしてよいのかわからなくなりましたが、深呼吸して落ち着きを取り戻し「とにかく自分がこの2ヶ月やってきたことをすべて出し切る」「わからない問題でもヒントは与件の中にある」「与件丸写しでも良いから最後まで書ききる」という合格者からのアドバイスを思い出して、死に物狂いで解答を書き上げました。
しかし、解答を書いている途中で「あ〜そういう事じゃないよ」と気づいたが時間的に書き直す時間が無いとか、何を聞かれているかすらわからない問題などがあったりと、事例1,2,3と解き進むにしたがって気分はドンドン落ち込んでいく一方でした。
そして、最後の事例4のキャッシュフロー計算書で単純なミスをしてしまい、試験終了後同じ教室だった受験仲間に「答えは2だよ」と言われた瞬間に、そのミスを思い出し「あ〜絶対落ちた!この2ヶ月はなんだったんだ」とどん底まで落ち込み、その夜の飲み会では大荒れになりました。
2次発表まで
試験の落ち込みから立ち直ってなかったのですが、すぐに再現解答を作成しました。不思議とどんな解答を書いたかをきちんと覚えており90%以上再現できたと思います。
その後、受験学校の模範解答を見たり、勉強仲間と答え合わせをおこなっていくうちに結構ちゃんと解答がかけているという事に気づき「もしかしたらいけるかも?」と少し自信を持ちました。結果は、無事合格でした。
合格後
受験勉強からコンサルタントという職業に興味を持ち、合格後「中小企業診断士に受かる実力があるんだから大丈夫だ」と思い、自分自身で活動をしてみましたが中々うまくいきませんでした。この仕事は能力も大事だけど、それ以上に信用や実績が必要な仕事であるという事に気づきました。
自分でこれまで築いてきたビジネスを捨てるのは勇気がいることでかなり迷いましたが、年齢的にも転職できる最後のチャンスという事で、コンサルタントとしての修行をすべく転職活動をおこないました。一度もきちんとした会社勤め経験がないということで経歴的にはかなり不利な状況でしたが、紆余曲折の末5月になんとか小さなコンサルティング会社での仕事がきまり、現在現場で経験を積んでいる最中です。
また、勉強会の掟である「合格後1年間は受験生の面倒をみる」というルールに従い、勉強会には積極的に顔をだしていましたが、これは自分にとって非常に良い勉強になりました。受験生時代は合格できる解答を書くことだけしか見ていなかったのですが、受験生とは違う視点で診断士試験で問われていることを考えると、実はこの試験の内容というのは、非常に現実的でコンサルティングの現場で役に立つものだという事に気づきました。事実、私がいま、携わっているクライアントの問題解決に際して、2次試験の事例を参考にさせてもらうことが多々あります。
資格を取るだけでは仕事はできない
受験生の中には診断士の資格を取ることがゴールだと思っている人が多いのですが(私もそう思ってました)、残念ながら資格をとっただけでは、お金は稼げません。資格というのは、その仕事をやるための基礎的能力があるということの証明であって、試験に合格したというのは入口のドアに立ったというだけです。
「診断士に合格したんだから俺は一人前だ」と思い込んでいる人から見ると「診断士なんて苦労の割に金にならない」という事になり、そしてそういう人たちを見た一般の人たちは「診断士って使えない」などと言われてしまうのだと思います。
試験合格で満足せずに、さらに勉強をして「さすが中小企業診断士」といわれるようなスキルを身に付けていくことが大切だと思いますし、私もそうなるべく今後も継続して勉強を続けていくつもりです。