この時期、私は勉強会では、メンバーの答案をあまり添削していません。というのも、添削をすると、ついその内容に意識が向いてしまい、今の時期にしかできない「しっかり読んで考える」ことがおろそかになると思っているからです。これも自分自身の体験からきたものですが、こういうことを書くと他のOBの方からお叱りを受けそうです。
勉強会でメンバーの議論に参加するとき、「わざわざ」表現と「さらっと」表現に注意するように呼びかけるようにしています。「わざわざ」表現は、受験予備校でも解答のヒントだよと指導されるようですが、それと同じくらい重要なのが「さらっと」表現です。平成26年の事例1で、製品の良品率が近年改善してきた理由を分析させるという問題がありました。ここで、近年という言葉でリードされていたことは①研究開発力が向上してきたこと、に加え②近年昇進した製造部門の課長の存在、がありました。研究開発力と生産技術が向上すれば、良品率がアップするというのは自然な因果関係になりますよね。
例をもう一つ。納品先の製品売り上げが低下してきたので、事例企業の売り上げが落ちたという表現があった場合、あれっと思うことが大事です。納品先の製品売り上げが落ちたから納品数量が減った。だから売り上げが低下したという因果が正しいとすれば、もう一歩踏み込んで「納品先の製品販売量に自社の売り上げが左右されるような製品しか納品できていない」という仮説を設定すれば、「一定数量の安定的な納品が期待できる、付加価値の高い製品を開発する」という方向性を設定できると思います。あとはこの仮説を与件文の内容で検証すれば良いのです。こういった嗅覚が、多面的な分析の質を左右するんじゃないかなと、受験勉強を通じて考えるようになりました。
ねくすと勉強会では、5月22日19:00から、麹町の一番町集会室で、与件文と設問文の読み方に特化したワークショップを開催します。あんな読み方やこんな読み方ができるという気づきを得ることを目的としたワークショップです。ご関心のある方は、ねくすと勉強会ホームページの問い合わせページからご連絡ください。