事例Ⅱのポイントの2回目は、最近ブーム?になっている、計数問題への取り組みです。
平成25年は、イベントやPOPによる得意先スーパーの売上構成の変化を分析させる問題が、平成26年にはデシル分析による顧客層分析が出題されました。特に平成26年は、第1問でPPMがストレートに問われたこともあり、多くの受験生が面食らったことと思います。マーケティング戦略ですから、実務で市場調査の結果や、顧客の嗜好変化に関する分析などをする可能性を考えれば、計数能力を問うというのは至極真っ当な方向性の出題であるといえるでしょう。ですので、計数問題への取り組み方は、十分に身につけておく必要があると思います。
その方法ですが、まずはじめに、設問で何を問われているかを確認します。平成26年の事例では、B者の売上構造の説明と、上位顧客と下位顧客の総利用金額の差が発生する要因が問われています。
次に、数字を無視し、どのような変数(データの種類)が使われているかを観察します。平成26年のデシル分析では、世帯数、客単価、1世帯あたりの平均総利用金額、総利用金額、総利用金額シェアという変数が使われています。このとき、変数どうしの関係についても注目します。例えば、世帯数に平均総利用金額をかければ、総利用金額が計算できることがわかります。シェアの数字をすべて足せば、100%になるはずです。
その次に必要なことは、設問で問われていることに関係する変数はどれかを見極めることです。売上構造の説明には、総利用金額や客単価、上位顧客と下位顧客の分析では、それぞれの総利用金額と客単価といった具合です。ここまでは、徹底して数字を無視してください。
そのあと、初めて数字とその特徴を観察します。平成26年の問題では、客単価はすべてのデシルで約20万円でしたから、上位顧客と下位顧客の差は、客単価が原因で発生することはないといえます。それでは何が差となって現れるかといえば、総利用金額です。ということは、総利用金額を客単価で割って得られる数値、すなわち利用回数が差であると分析できます。設問1については、総利用金額シェアを足していけば、上位3デシルで総売上の過半数を占めることが分かります。
このように、きちんと段階を踏めば、計数問題を落ち着いて解くことができます。最初に数字を見るから、数字の羅列に圧倒されて何をしてよいかわからなくなるのです。計数問題では「数字は最後」を心がけて解答に取り組んでください。