事例IIの振り返り3回目は、第2問です。
第2問では、物産市当日の非食品小売店の売上向上のため、店主にどのような助言をするかが問われています。問題では、家具店、食器店、スポーツ用品店から一つ業種を選ぶことととなっています。
このような問題では、よほどのひっかけ問題ではない限り、どの業種を選んでも解答できるようになっています。ですので、どの業種を選ぶかよりも、まずはどのようなロジックでアプローチするかを考えるべきだと思います。そのあと、ロジックに最も適合する業種を選んで助言内容を考えます。
代表理事は、集客により地域住民との接点を持とうと、短期的施策として物産市を開催し、大きな集客を実現しました。しかし、物産市で売上を向上させたのは、飲食店とサービス業だけで、非食品小売店の売上は向上せず、それらの店主からは不満が聞かれます。では、なぜ物産市で非食品小売店の売上が上がらなかったのでしょうか。
この商店街では、食品小売店がほとんどなく、食品の小売は総合スーパーが一手に担っています。代表理事は、そのような環境で、総合スーパーが取り扱わない、県内農産品の物産市を企画・開催しました。そこに集まる地域住民のニーズは、紛れもなく日用品たる「食品」です。一方、非食品小売店が取り扱う商品の多くは買回り品ですので、物産市でそれら小売店が単体で売上を上げるのは困難です。総合スーパーとの競争も厳しいです。ですので、何らかの形で、非食品小売店には物産市と絡めた商品展開が必要になります。
ここでカギとなるのは、次の点です。①物産市に来る消費者の消費金額に見合った商品やサービスを提供すること②地域性または県産農産品と組み合わせられる商品やサービスを提供すること③総合スーパーが取り扱わない(または取り扱いにくい)高付加価値の商品やサービスを提供することです。これらの条件を満たせば、解答内容はバラエティがあっても構わないと思います。
与件文には、非食品小売店に求める消費者ニーズが明確に書かれていませんが、外部環境を丁寧に解きほぐすことで、解答の糸口が見えてきます。その際に求められるのは、「自分が物産市の客だったら、これらの店に何を求めるだろう」という想像力です。そのためには、過去問を解いているだけでなく、機会を見つけてモノやサービスが売られている場所を感じに行くことが大事です。たまには街に出て、街の空気を感じてみてはいかがでしょうか。