2016年 コラム・つぶやき 勉強法(二次試験) 受験生活

なぜ時間が足りないのか、の続き

なぜ時間が足りないのかの続きです。
前回、2次試験で時間が足りなくなる原因について、主に「考える」プロセスから考察してみました。そして、何度も読み返す、与件情報をうまく組み合わせられない、書くべきことが思いつかないといった原因を代表的なものとして挙げてみました。同意される方、「えーっ?」て思う方、様々だと思います。もっと別の原因もあるでしょうし、それを細かく分析する意図はありません。
しかし、どのような原因にもほぼ共通して、同時に存在するもう一つの原因があります。それは前回の投稿の最後に指摘した「思考の速度」です。考える時間が足りない人の多くが、思考の速度が低いと思われます。
思考の速度とは、一定の情報量を処理するのに必要とする時間です。単純に言えば、設問を1回読んで理解できる人と、3回読んでやっと理解できる人では、前者が後者の3倍の思考速度を持つと言えるでしょう。また、違う観点から言えば、同じ1回で設問を理解できる人でも、設問から得られる情報量が3倍なら、その人は3倍の思考速度を持っていると言えます。そして、定量的な作業時間の短さと、定性的な理解力の積が、思考速度を2乗のオーダーで増大させます。つまり、1回で読める人が、3倍の情報を設問から読み取れれば、それができない人と比べて9倍の思考速度があるのです。
思考の速度を上げるには、残念ですがある程度の練習量が必要です。よく「過去問を何回も回す」勉強法が勧められていますが、そのメリットの一つには、練習量を増やして、速い思考速度に脳を順応させることがあると思います。前回申し上げた「少ない事例にじっくり取り組む」ことと矛盾するじゃないかとのご指摘を受けそうですが、少ない事例に取り組む目的は、深く分析するプロセスを身につけること、すなわち定性的な理解力を高めることです。その上で解答量を増やし、思考速度を上げていくのです。試験本番には、設問と与件を1回読んだだけで、取り上げるべき要素とそのつながりをイメージできるようになっていただきたいと思います。
思考速度を上げる訓練は、単に問題を多く解くだけではありません。例えばテレビのビジネス系の番組で、危機から立ち直った会社の紹介のようなストーリーがあれば、それを戦略フローに落とし込むとか、社長のインタビューを分析するといった練習もできます。要は、試験に向けて、役に立つものはなんでも取り入れてやろうという貪欲さが、思考速度の向上に不可欠だということです。

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