2018年 コラム・つぶやき

何にコミットするか?

14OBの井澤です。この投稿のタイトルを見てピンときた方や、ニヤッとした方がいらっしゃると思います。某フィットネス企業のコピーに「結果にコミットする」というのがありますが、そこからヒントを得たものです。その企業のケースでは、「体重を落とし健康的な体形にする」ことを結果とすることがコミットメントですね。「何にコミットするのか?」という問いは、二次試験のすべての事例に共通するものであり、この問いへの答えが、事例企業の方向性に直結します。

「コミットする」というと、すぐに事例企業の強みは何かということを考えるかもしれませんが、コミットメントはそれに限られません。得意分野でのコミットメントもあれば、弱みを克服することで実現するコミットメントもあります。そもそもコミットメントとは何でしょうか。二次試験の各事例における事例企業のコミットメントとは、その企業が最も重視する提供価値です。二次試験とは、極言すると「事例企業のコミットメントを現実化する」ためのコンサルティングです。

事例の中には、すでにコミットメントが明確になっているものもありますが(例:H26事例Ⅰ)、そうでない事例が多数だといっていいでしょう。例えばH28事例Ⅲのカット野菜工場の事例は、衛生環境や手順、材料調達などオペレーションレベルで様々な問題が発生しており、まずはその対応が喫緊の課題となっています。しかし、この事例の最も根本的な問題は、事例企業を創設した農業法人が、事例企業の活動を通じ、市場や顧客にどのような提供価値を創出するかが明らかにしてこなかったことです。規格外の野菜の有効活用をきっかけとして始められたビジネスですが、コミットメントを明確にしていなかったことで、必要な作業標準や品質管理、収益管理の設定がないがしろにされてきたのです。そこを見抜けるかどうかが、答案の質を決定するといえるでしょう。

第4問への回答も、「手ごろな値段で安全なカット野菜製品を提供する」ことがコミットメントであるなら、衛生環境を整備し、スーパー相手にサラダ製品を生産することが方向性になるでしょう。一方、付加価値と顧客満足の高い製品の提供をコミットメントとするなら、衛生環境を整備することは共通ですが、野菜を使ったソースなどの製品開発が方向性の候補になるでしょう。スペースの関係からこの程度にしておきますが、設定するコミットメントの違いだけで、これだけ回答の方向性が異なるのです。

本番の初見問題で、何を書けばいいのか迷ったときは、「この事例企業のコミットメントは何であるべきか」という問いを立ててみてください。そうすれば答案作成のヒントが見えてくると思います。

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