2016年 コラム・つぶやき マーケティング 勉強法(二次試験)

平成27年度診断士2次試験の振り返り 事例Ⅱ その4

平成27年度事例IIの振り返り、第3問です。
第3問では、設問1で、代表理事が食品小売店の誘致を考えているところ、どのような食品小売店を誘致すべきか、マーケティング戦略と合わせて問われています。また、設問2では、誘致した食品小売店が長期的に商店街に定着するための、誘致と連動した新規イベントとその期待効果について問われています。

解答の前に、この商店街が置かれている環境を再確認してみましょう。この商店街は、飲食店中心で発展してきたことと、総合スーパーの進出により、食品小売店がほとんどない状態が続いてきました。代表理事は、地域住民を商店街に呼び寄せようと、物産市を企画・開催し、多くの消費者が商店街を訪れるようになってきています。しかし、食品小売店がほとんどないという状態は、一向に改善していません。

前問で、総合スーパーが提供しえない付加価値を付けた商品展開が必要であると申し上げましたが、その方針は食品小売業の誘致でも同じです。総合スーパーが提供できるようなものを小さな小売店が売り出したところで、価格競争力と供給量で圧倒的に不利な戦いになります。それでは、どのような食品を取り扱う小売店の誘致が有望になるのでしょうか。

簡潔に言えば「地域ではそこでしか手に入らない食料品を、消費者とのコミュニケーションを通じて売る店」だと思います。地域ではそこしか手に入らない食料品という部分では、与件文にある地域産の、こだわりのある農水産品や加工品としても良いでしょう。物産市での集客効果を見れば、そうした商品へのニーズは高いと判断できるでしょう。

それにもまして重要なのは、消費者とのコミュニケーションを通じて商品を販売する」という部分です。代表理事は、商店街の長期的課題として、顧客と店主、店員が顔見知りとなり親しく会話を交わすような状態になることを考えています。多くの消費者にとって、食品は毎日買いに出かけるもので、その場所は総合スーパーしかありません。スーパーでも店員とのコミュニケーションはあるかもしれませんが、小売店のそれと較べると少ないものでしょう。顧客との関係性強化の点でみれば、商店街の小売店の方が有利であると言えるでしょう。その点から、設問2の新規イベントを考えてみるのはいかがでしょうか。そして、その期待効果としては、消費者が小売店に対する愛顧が増し、長期的な関係を構築することにより、代表理事が狙いとしていた商店と消費者との交流の場が実現するという点が考えられます。

なお、このような提案問題では、ロジックが抽象的であっても、提言内容はできるだけ具体的に記述することが必要です。代表理事から、「じゃあどんな店なの?」とさらに突っ込まれないよう、八百屋さんでも、鮮魚店でもなんでも構わないので、設問2の解答内容につながる具体的な業種名を書く努力を忘れないでください。

次回は、事例Ⅲに移ります。

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