2016年 コラム・つぶやき 勉強法(二次試験)

風はどこに吹く?

14OBの井澤です。この春は、転勤や、その後の業務多忙により、久々の投稿になります。申し訳ありませんでした。

さて、今回は一つ問題をお出しします。下の文の括弧の中に適切な言葉を入れて、意味が通る文にしてください。

「風は( )から( )に吹く」

皆さんはどんな言葉を入れましたか?なぜこのような問題をお出ししたかというと、皆さんに因果の関係で表現する感覚を感じていただきたいからです。

考えられる答えをいくつか挙げてみましょう。初めは、「風は西から東に吹く」という表現です。普通、風はある方位から反対の方向に吹くので、間違った内容ではありません。風が吹いているその場にいて、東西方向が確認できるのであれば正解ですね。つまり、事実として風が西から東に吹いているということを確認した表現内容です。

次は、「風は、気圧が高い場所から気圧が低い場所に吹く」という表現です。この表現は、風が吹くメカニズムを明確に記述しています。ここで、「気圧が高い場所はここ、気圧が低い場所はここ、だからこのように風が吹いているんです」と言えればバッチリです。事実と、それが起きる仕組みの両方が表現されています。

最後は「風は風上から風下に吹く」という表現です。内容は正しいです。しかし、何か不自然なものを感じませんか?当たり前のことを言っているに過ぎないという意見もありますが、そもそも風上と風下は、風が吹いているという事象があって初めて特定できるものです。そこでは、なぜこちらが風上となり、こちらが風下になるかの説明がありません。つまり、因果の考えが逆になっているのです。

答練で、解答の因果関係が不明瞭だと指摘された場合、大抵上の1番目か3番目のような記述になっていると思います。例えば、「事例企業の資金繰りが悪化した理由について説明せよ」と問われた場合、「売り上げが減少したから資金繰りが悪化した」というのは、「風が西から東に吹く」と同じで、単に事実を説明しているに過ぎません。因果を踏んでいますが、事例企業の課題を踏まえた内容か、資金繰り悪化のメカニズムを踏まえているかといった点では、不十分な内容でしょう。また、「手元資金が減少したので資金繰りが悪化した」というのは、資金繰り悪化の一般的な直接原因を説明しているに過ぎず、「風上から風下」表現と同じです。

2次試験の解答で求められる水準は、「気圧の高いところから低いところ」のレベルです。つまり、「商品の陳腐化による売上減少と、製造部材の歩止まり低下による原価増大により、手元現金が流出したため資金繰りが悪化した」と書けるようになることです。限られた字数で因果とそのメカニズムを表現するのは決して易しくはないですが、今の時期は多少字数オーバーになるとしても、しっかりとそのことを意識した答案作成に努めていただきたいと思います。

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