今回は、少し厳しいことを書かせていただきます。
受験生、特に二次試験の受験生の皆さんの大多数は、過去問を使った勉強をなさっていると思います。そこで、過去問を解くに当たり、何を心がけるべきかというのが、今回のポイントです。
勉強会を通じて感じるのは、過去問の「綺麗な正解」を発見しようとする方が多いということです。二次試験の正解なんてわからないと言ってしまえば身も蓋もありませんが、綺麗な正解にこだわるあまり、解答の懐が狭くなっていることがあります。その結果、「何を書いていいかわからない」という負のスパイラルに陥る恐れがあります。
過去問を解く意義は、皆さんが実際に対峙する本番の試験問題に対する「戦い方」を、本番の問題に最も近い過去問題を使って身につけることです。言い換えれば、過去問を使って、どのような初見問題でも対応できる、皆さん自身の解答プロセスを作り出すことです。
試験では、皆さん一人一人が、独立した診断士として解答することが求められます。その時に、「この事例は見たことがありません」とか「この解答は正解と言える自信がありません」とは言えないはずです。「私はこの事例をこのように理解し、問われていることにこのようなロジックでお答えします」と言えなければならないのです。
よく「他の受験生が書きそうなことを書くように」と言われますが、本番で初見問題を前にした時、そのように考える余裕はほとんどないと言っていいでしょう。よほど的外れな内容を書くのは問題ですが、与件で書かれている内容を用いると、経営課題を解決するために「ここまで言える」という内容を、分かりやすく書くことが大事なのです。
多年度受験生の中には、「○○年の事例の論点はやり尽くした」と考える方もいらっしゃると思います。そこで、 その論点を使って書き出した答案が、診断士として自信をもって勧められるものなのか、事例企業の社長として、皆さんの思考ロジックと提案はお金を払うに値するものなのかという視点から、もう一度見直してみてください。新しい発見があるかもしれません。