2016年 コラム・つぶやき 勉強法(二次試験)

二次試験に向けたメンタルコントロール


二次試験まで約1ヶ月となりました。私も、合格した年の同じ時期は、以前に書いたように、自己嫌悪と吐き気を催すようなプレッシャーがあったものです。今から思い返すと、その時のメンタルコントロールが良い結果に繋がったのではないかと考えられるのです。

他の難関資格との比較をすると(とはいっても受験経験がないのであくまでも試験問題の立ち読みレベルの内容ですが)、例えば司法試験や行政書士試験のような法律系の試験は、与えられた課題について、いろんな学説や法律の解釈を適用してその解を見つけさせるものですので、適用すべき法律や学説が適切であれば、おおよそ受験生の解答はある一定の範囲で集約されるものでしょう。公認会計士や税理士といった会計系の試験は、会計基準や税法等を基準として、主に計算により解答を求めさせる試験です。こちらもきちんと計算さえできていれば、受験生の大半がそれなりに正しい解答を得られる試験です。

一方、診断士二次試験は、組織・人事、マーケティング、生産、財務の各分野に関するケーススタディ(あるいはケースメソッド)です。それぞれの事例のストーリーの背後に何を読むかにより解答が異なり、その結果出題者の意図と受験生の解答には常に齟齬が生まれる可能性があります。出題者の模範解答(があるとすればですが)とおり解答できれば満点でしょうが、それは不可能に近いでしょう。合格者の多くが6割から7割の得点率に集中していることがそれを示しています。

また、診断士試験のユニークさは、解答内容が全く違っていても合格答案になっていることです。平成22年の事例1では、食品原材料商社である事例企業が、食品原材料以外の商材に手を広げるべきかどうか明らかにせよとの問題が出題されていますが、合格者の答案には、選ぶべきであるとするものも、選ぶべきではないとするものもあります。このことだけで判断するのは厳しいものがありますが、少なくとも、何か模範解答のようなものに近いものを答えないと合格できないというわけではなさそうです。

ここに、二次試験に向けたメンタルコントロールの鍵があると思います。それは、「正解探しで自分を追い詰めないこと」です。コップの半分まで入っている水を「もう半分しかない」とみるか「まだ半分ある」とみるかという有名な例えがありますが、診断士二次試験というのは、それだけの「ゆらぎの幅」がもとからある試験です。その解答は、たとえ模範解答に近い内容を書いたとしても、何かしら突っ込まれる部分が残っているものです。なぜなら、その模範解答とは異なるストーリーを読み取っている人にとっては、模範解答は「間違い解答」に見えるからです。

私が常々「キーワード主義」に注意を促しているのは、含むべきキーワードに集中するあまり、なぜそのキーワードが含まれるのかという論旨の考察が不十分になる恐れがあるからです。場合によっては、与件文にある「キーワード的なもの」を使わんがための答案を作り上げる危険性があるからです。以前からお伝えしているとおり、キーワードはロジックから自然と導かれるものです。事例企業の望ましい方向性を外さないこと、与件を原因とし、一次知識等を使って分析や提言を考察するという解答プロセスを守ることという基本に忠実であれば、自然と解答の一貫性や論理の整合性は満たされます。その結果、他の受験生と内容が多少異なっていたとしても、合格にふさわしい答案としては十分勝負できるものになるでしょう。

私の好きな言葉に、映画監督である黒澤明氏の、「悪魔のように細心に、天使のように大胆に」があります。解答プロセスには悪魔のように精緻な感覚で望み、得られた結果については天使のように大胆に受け入れる。そのことだけを心がければ、あとは何も心配する必要がないというのが私の考えです。他の人と結論が違ったって、何も気にすることはありません。これからの残された時間、どうぞ解答プロセスに集中して準備を進めていただきたいと思います。

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