2015年 コラム・つぶやき 勉強法(二次試験)

与件の奥の「何か」:「エンジェル・フライト」から読み取る企業の真の姿

私のFBにもアップした内容ですが、事例企業の方向性や戦略を考える上で参考となる本を紹介します。内容の素晴らしさは言うまでもありません。読みながら涙が出そうになりました。

この本で取り上げられているエアハース・インターナショナル社の業務は、海外で亡くなった日本人の遺体での帰国を支え、生前と同じような姿で遺族のもとにお返しするというものです(日本で亡くなった外国人の送還も行っています)。ではこの会社は、誰をカスタマーとして、何を提供しようとしているのか。それは単に美しい遺体を遺族に戻すことではありません。業務を通じて、この会社がもっと提供したい「何か」があります。そしてその「何か」は、この企業が持つ本質的な強みがあるからこそ提供できるのです。

二次試験では、よく「強みを機会にぶつける」とか「弱みを克服して機会を取り込む」などと言われますが、与件文の表層に現れる「強みのようなもの」や「弱みのようなもの」を抜き出すだけでは不十分です。なぜなら、それらはその企業が持つ強みや弱みの源泉が形となって現れているだけであり、源泉そのものの理解なくしては、本当に効果的な戦略や打ち手が導き出せないからです。本書の内容でいうと、エアハース・インターナショナル社の強みは、単に損傷した遺体を元の姿に戻す技術がある社員というのではなく、生きていた頃の姿で思い出と共に家族のもとに戻してあげたいという社長の強い思いであり、その思いを積極的に具現化する社員と組織であると言えます。技術を持つ社員というのは、この強みが形となって現れている一つのファクトです。与件文の奥にある「何か」に気がつくことが、血の通った、診断士らしい、いい分析に繋がると思います。本番の試験でも、そうした分析ができるレベルで事例文を読めるようになることが大事です。

事例問題で、事例企業の方向性や戦略の分析が難しいという方は、本書の社長の言葉をよく噛みしめてください。試験までにはまだ時間があります。

画像引用元:Amazon.co.jp

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