2015年 コラム・つぶやき 勉強法(二次試験)

二次試験準備のプロセスを分解する(4)Action その2

二次試験準備のプロセスを分解する(4)Actionその2です。二次試験の要素は大きく3つあります。一つは「読む」です。「読む」とは、設問と与件を読んで、状況と問われていることを理解することです。2つ目は「考える」です。「考える」とは、読む作業で理解した内容をもとに、解答の筋道を導き出して解答を構成することです。そして3つ目が「書く」です。「書く」とは、解答を文章に起こして、出題者に提示することです。このそれぞれについて、少し掘り下げていきたいと思います。今回は「読む」についてです。

以前「わざわざ・さらっと」でも述べましたが、与件の情報には、基本的に無駄がありません。社長へのヒアリングの結果を凝縮したものが、二次試験の与件文であるといえます。そこで、今の時点でこだわっていただきたいのは、与件文を読むときに「この会社に何が起こっているのか」をファクト(事実)とトゥルース(真実)の両面から考える習慣をつけることです。

平成26年事例1第5問を例に考えてみましょう。採用した、高度の専門知識を持つ人材を管理する施策について問われています。一般的には、その能力を発揮させるために、自由な研究環境や権限移譲などの施策が該当すると考えられます。しかし、それだけで十分でしょうか。

この会社は、現場叩き上げの社長のリーダーシップでこれまで成長してきた会社です。この社長は、自分のアイデアや技術だけではこれ以上の成長を望めないとして、高度な専門知識を持つ博士号取得者などを採用しました。こうした人材に、能力発揮を可能にするためとはいえ、無条件に自由な環境を与えることで、この会社が望む成長ができるでしょうか。しかも社長は、このような「インテリ君」たちを、自身の学歴というバックグラウンドで率いることが難しいから、診断士に相談しているわけです。

ここで重要なのは、こうした人材に、この会社の成長の方向性と意義を理解させることです。その上で各人が最大限に能力発揮できる環境や制度の整備について考えるというのが順番だと思います。そうでなければ、各人がバラバラに自分のやりたいことばかりやってしまうという、組織管理上のリスクが生まれる恐れがあります。

与件や設問を読むというのは、単に問われていることや書かれていることを字面だけで追うことではありません。その裏で起こっている出来事とその意味を明らかにして理解すると言うことです。正確な理解のためには、文を国語的に読むことも求められますが、それ以上に、社長が抱えるモヤモヤを具体的にイメージ化して理解することが大事です。それができるかどうかで、解答の質が格段に変わってくるでしょう。

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