2016年 コラム・つぶやき 勉強法(二次試験)

一次知識の使いかた

受験生の皆さんは、一次知識をどのようなものとお考えでしょうか。1次試験の受験生にとってはまさに問われる知識そのものですので、まずは定義を理解することが大事ですが、二次試験では定義そのものが問われるような出題は多くありませんので、過去の出題形式によく慣れるようにしてください。

2次試験受験生にとっても、一次知識は重要です。しかし、一次知識は使い方一つで、薬にも毒にもなりえます。よくあるパターンが、事例を一次知識に合わせるというものです。例えば、事例Ⅲで、生産リードタイムの短縮のための施策が問われていて、与件文では製品変更に合わせた生産機械の調整に時間がかかっているとあったとしましょう。そのとき、単純に「調整作業を外段取り化する」とか「機械の配置レイアウトを製品別レイアウトに変更する」と飛びつくことは危険です。

理由の一つには、一次知識の内容を直接的原因とする以外に、もっと大きな問題が横たわっていることがあるからです。平成27年度の事例Ⅲでは、機械加工工程の作業の非効率性の前に、そもそも鋳造段階での製造仕掛品が大量に発生するという問題が起きていました。事例企業にとってはそちらがより解決の優先順位が高い問題のはずです。また、実行可能性の問題もあります。一次知識でいわれる内容が適切であったとしても、その実行に多大なコストがかかるようなものは、正しい解とはいえません。先ほどの例では、機械レイアウトの変更は確かに生産効率の向上をもたらすでしょうが、そのために生産を半年ストップさせてしまえば、工場そのものが経営難に陥ります。

では、正しい一次知識の使い方は何かといえば、経営課題の探索のための知識と、具体的施策の案出のための知識を区別することです。前者としては、3Cや4P、QCDなどのフレームワークが挙げられます。後者については、状況に合わせて活用してください。その際に注意していただきたいのは、繰り返しになりますが、その知識が経営課題の解決につながり、かつ実行可能であるかという視点です。大事なことは、知識を使うことそのものではなく、知識を手掛かりに事例企業の実情を知り、最高のソリューションを提供することをご理解頂ければと思います。

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