2016年 コラム・つぶやき 勉強法(二次試験) 受験生活

 見落とされがちな二次試験の本質

二次試験の合格可能性を高めるには、二次試験とは一体どういう試験なのかをよく理解しておく必要があります。押さえるべき点はいくつもあるのですが、見落とされがちで、なおかつ重大な二次試験の本質があります。

一つは、「試験で出題される問題はすべて初見問題である」です。一見あたりまえのようですが、この意味は重大です。つまり、試験準備の努力の量や質にかかわらず、すべての受験生に対し、どの受験生にとっても初めて見る問題が出されるということです。その意味するところは、過去の努力は本番の成功を必ずしも保証しないということです。そして、出題される問題は、受験生のコントロールが効かない外部環境です。私は組織論が苦手だから事例1で組織デザインについて聞かないで!というリクエストはかなえられません。このことは、次なる本質と大いに関係します。

もう一つの見落とされがちな本質は、「二次試験は応用力を測る試験である」です。先日のねくすと勉強会プチ診断士祭りで、「単に過去問を回すだけでは意味がない」と申し上げました。その理由は、二次試験が知識の応用力を測る試験であり、知識の有無を測る試験ではないからです。このことは、一次試験との比較をすればよくわかります。

一次試験で評価されるのは、診断士として必要な知識の有無です。したがって、基本的な一定範囲の知識について問う問題が出題の中心となります。知識の有無を測るのですから、受験生として重視しなければならないのは知識の定着です。一定の範囲の知識を確実に定着させるには、過去問を何度も解いて出題や引っ掛けのパターンを体に覚えさせることが必要です。

一方、二次試験では、中小企業診断士としての応用力が測られます。つまり、一次試験で確認された知識を使って、紙の上の事例企業の経営課題を実際に解決する能力が評価されるのです。解決すべき企業課題は千差万別です。ある企業で有効だった施策が別の企業で有効である保証はありません。それゆえ、事例企業の経緯や経営課題、方向性を構造的に理解し、それらのどの部分にどの知識を適用してソリューションを導き出すかという意識なしには、本質的な解答は得られません。

このような二次試験では、一次試験のような過去問の回し方は必ずしも効果的ではありません。よく過去何年もの事例の内容と論点を諳んじられる受験生がいます。また、解答にどのようなキーワードを含むべきかという議論もあります。厳しい言い方をすれば、それらは初見問題にはほとんど意味を持ちません。なぜなら、初見問題で過去の論点が再度出題される保証はないからです。理解すべきは、なぜその事例でその論点やキーワードが導き出されたかということです。言い換えれば、事例を構造的に理解していれば、初見問題であれ、自然と必要な論点やキーワードが整理された形で解答となって現れてくるはずなのです。

最近の二次試験は、与件情報を抜き書きするだけでは得点できない問題が増えてきています。平成26年度事例1で、製品の良品率が近年飛躍的に向上してきた理由を問う問題などは、その一例です。つまり、最近の二次試験は受験生の実践力を評価する傾向が強くなってきていると考えられます。以上の点から、もう一度勉強の質と、勉強に対する姿勢を見直されることをお勧めします。試験までまだ約2ヶ月あります。まだまだ間に合います。

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