H.T

1.はじめに

 診断士試験に挑戦し始めてから足掛け9年、私は、今年ようやく、2次筆記試験を突破することができました。ねくすと勉強会OBの皆さん、そして一緒に勉強して下さった受験生の皆さん、ありがとうございました。この場を借りて御礼申し上げます。
来年の診断士試験合格を目指す皆さんが、今後の学習の参考としていただくために、私が合格するために取り組んだことを紹介します。

2.受験歴

(お恥ずかしい限りですが)まず、次表が私の戦績です。
         一次試験   二次試験
  平成16年   ×      ―
  平成17年   ○      ×
  平成18年   ―      BCBA→B
  平成19年   ○      BBAA→B
  平成20年   ―      ACBC→B
  平成21年   ×      ―
  平成22年   ○      BDAA→B
  平成23年   ○      ABAB→B
  平成24年   ―      ○

3.受験のきっかけ

 (相当昔の話ですので大概忘れてしまいましたが、)当初は、診断士になって社会に貢献しようといった崇高なものではありませんでした。確か、グローバル化の進展により日本企業の雇用慣行が失われていく(会社で人員整理が実施され同じ職場の中高年社員が会社を去っていく)中で、自分の足(腕?)で立つ(何か手に職を持つ)ことの必要性を痛感し取り組み始めたという、どちらかといえば危機感に煽られてのスタートだったと思います。

1次試験対策

 1次試験の問題のレベルは年々難易度が上がっているように思います。特に、経済、法務や中小など、重箱の隅をつつくような問題が稀に出題されます。そのような問題はいくら掘り下げても掘り下げ切れませんので、それに対する学習としては、私は、受験生は皆そのような問題を解くことはできないと割り切り、頻出の問題を確実に拾うことを考えました。そのためには、過去問を何回転も繰り返すこと、これ以外にないと考え、徹底的に回転をこなしました。その方法は、もちろん「選択肢が合った」「合わなかった」だけではなく、私は、「なぜそれが正解なのか」「他の選択肢はどこが間違いで、それはなぜなのか」を解答・解説を見ないで答えられるようにしました。
ちなみに、私は、一昨年(昨年は1次試験を受験せず)、過去問5年分7回転、スピ問5回転、模試5社分3回転をこなし、一次試験をパスしました。

2次試験対策

・2次試験の特徴
2次筆記試験は、『全体の方向性』『一貫性(ストーリー性)』『設問応答性』『与件適合性(活用度)』『論理の妥当性(因果関係)』『多面性』『実現(可能)性』などが問われる試験です。私には、『一貫性(ストーリー性)』や『論理の妥当性(因果関係)』『多面性』に拘るあまり、自分の思い付いたストーリーに無理やり答案を落とし込む癖がありました。ともすれば、「木を見て森を見ていない」「独りよがりな」「とんがった(強引な?)」答案を書いていた訳です。

・失敗に学ぶ
私は、一昨年失敗した時点で、次の試験で結果が出なかった場合には、診断士試験から撤退しようと腹を括っていました。そして、今回が最後なので、どうせやるのなら、これまでの事例の解き方・考え方を一旦リセットして、一から解き方・考え方を見直すことにしました。
そこで、まず、合格者の再現答案と自分の答案とを比較して、何が悪かったのかの原因を分析しました。この原因分析を行うことで、前記のような自分の欠点(答案の癖)を見つけることができました。

・ねくすと勉強会の活用
ねくすと勉強会では、与件(事例企業)の方向性から外れた(前記のような癖のある)答案は、『妄想だ』と容赦なく指摘されました。私は、こうした指摘により、自分の癖を修正することができました。
オリエンテーションでの合格体験談でも申し上げましたが、ねくすと勉強会のメリットは、前記の容赦のない指摘以外にも、(1)OBが勉強会の場でベスト答案に赤を入れてくれること、(2)診断士祭りやOBによる講義など様々な応援企画があること、(3)過去の再現答案のデータベースがあること、です。
私は、これらのねくすと勉強会のメリットを次のように活用しました。まず(1)OBからの添削について、OBからの指摘は受験生同士の指摘とは異なる気付きがありましたし、日をあまり置かず答案を作成することでその考え方を自分のものにすることが出来ました。また、(2)OBによる講義を参考にして自分の解答プロセスを見直すことで外さない答案がどのようなものか分かるようになりました。そして、(3)自分の答案と比較することで、目指すべき合格答案のレベル感を掴むことができました。

・事例を数多く解く
過去問を繰り返し解くことで、各年度の事例のテーマや論点、設問内容を覚えることができます。因みに、私の場合、合格までに時間がかかった分、過去問を何回(平成13年から平成23年までの各事例を10回以上、通算では延べ500事例)も解いていましたので、例えば平成24年の事例Ⅱ第4問でも、「これは平成15年の煎餅屋事例の論点と同じだ」と、試験会場で慌てることなく落ち着いて対処することができました。

・問題を解くための体力を付ける(高地トレーニング)
本試験では4事例のうちどれかで失敗すると、他の事例で挽回するのはほぼ不可能です。したがい、本試験でとにかく全ての事例をうまくまとめる(「どれか一つでこけない」)練習をやっておくことをお勧めします(ちなみに、私は、一日6事例解き(いわゆる「高地トレーニング」)をやりました)。

・計算プロセスを押さえる
事例Ⅳでは、一昨年から計算プロセスも問われるようになりました。私は、出題の傾向として、今後は計算プロセスが必ず問われると思い、過去問や模試の問題などを繰り返し解く時には毎回きちんと計算するようにしました(とはいえ、本試験では、第1問設問3と第3問設問1はしっかり計算間違いをしましたが)。

おわりに

 診断士試験は、勉強の仕方さえ間違わなければ、誰でも通ることのできる資格試験です。この点、ねくすと勉強会は2次試験の合格に非常に苦労していた私に、正しい方向を気付かせてくれました。ここで受けたご恩は、OBとして受験生を支援することで返したいと思いますし、今後は、9年も掛かったことを恥じず地道に努力を重ね、診断士として社会に対し貢献して行きたいと思います。

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