K.K

はじめに

ねくすと勉強会には、2019年の12月より約10か月間に渡りお世話になりました。OBの皆様から様々な形で支援を頂いたり、受験生同士で切磋琢磨する過程を通じて、2次試験に対応する力が着実に身についていくことを感じました。

この度、当勉強会を通じて学んだ内容から、主に合格答案を作るための「解答プロセス」について、合格体験記として記したいと思います。当勉強会に脈々と引き継がれてきたノウハウを自分なりに解釈・工夫した内容ですが、今後受験される方のご参考になれば幸いです。

Ⅰ.プロフィール、受験歴等について

Ⅰ- 1.プロフィール

金融機関に勤めるアラフォー会社員です。
2020年春の転勤により、現在名古屋在住です。

Ⅰ- 2. 中小企業診断士を目指した理由

十数年前「中小企業の社長の役に立ちたい」との思いで、新卒で金融機関に入社しました。地方支店で法人営業を行う中で、自身が思うような支援ができなかった事が複数回あり、悔しい思いをしました。その後法人営業をしばらく離れていましたが、当時のことはずっと心残りでした。中小企業診断士の資格については、当時よりその名前は知っていたものの、難易度の高さから尻込みし、詳しく調べることもありませんでした。

2年半ほど前に、業務都合で宅建士の資格取得の勉強をはじめました。同資格には過去に2度挑戦・失敗していましたので、勉強方法を改めました。月次・週次・日次の計画を立て、忘却曲線を意識して繰り返し過去問を解く方法で、合格することができました。その方法が自分には効果的と感じたため、憧れだった中小企業診断士の試験に挑戦することを決めました。学習の過程で体系的な知識を得て、課題解決のための思考能力を身につけ、社長の役に立つことができればとの思いがふつふつと湧いたことを覚えております。

Ⅰ- 3. 学習スタイル、受験歴

私の学習スタイルを3つの言葉で表しますと、1つ目は「計画が命」です。1次試験・2次試験それぞれにつき、試験日と学習フェーズを考慮した大まかな日程をベースに、自身に必要な学習内容、取り組むべき過去問数等を記入したスケジュール表を作成し、進捗に応じて更新していきました。日次・週次の小さな達成感を積み上げることで気持ちを切らさず、また学習を習慣化することに成功しました。

2つ目は「繰り返す」ことです。1次試験対策はとにかく問題集・過去問集の回転数を重視しました。全科目それぞれ7回転させ、アウトプットの再現性を高めました。2次試験に関しても、過去問を繰り返し解きながら、解答を記憶するのではなく、「解答プロセス」を磨くことに努めました。

3つ目は「適度な息抜き」です。趣味の銭湯・サウナに週1度行くことを小さなご褒美に、週ごとのノルマを乗り越えました。その代わりに、試験前3ヶ月間は断酒して夜間学習に充てました。

学習時間は早朝、通勤時間、昼休み、夜間に分けて一日平均3時間程度を確保しました。子どもが小さいこともあり、週末も基本的に早朝・夜間を最大限活用し、日中はなるべく家族サービスに努めました。学習を習慣化するための工夫としては、翌日取組む事例を机上に置いて寝る→スマホを寝室横のリビングに置いてアラームを止めに行くことで確実に起床する→机上においてある事例を解く→通勤中に確認する、というルーティンを繰り返すことで、学習を習慣化していました。

定量的記録は以下の通りです。

1次試験  2019年8月合格(464点)、10ヶ月、780時間
2次試験① 2019年10月不合格(57, 57, 53, 60)、2ヶ月、360時間
2次試験② 2020年10月合格、10ヶ月、700時間

Ⅰ- 4. 勉強法

1次試験  通信講座「STUDYING」 問題集、過去問を7周
2次試験① 某受験校 過去問7年分 × 2周・・・講義+受験生同士の議論中心
2次試験② ねくすと 過去問12年分 × 約3周 + 模試3年分、計150事例余

1度目の2次試験対策は受験校で行いました。2次試験の基礎知識やお作法すら知らなかったところから、それなりに解答を埋めるレベルまではたどり着けましたが、当時を振り返ると、一次知識の暗記と設問ごとの個別対応に終始していた気がします。講師の解答の写経等も行いましたが、自分の身についた解答法がなかったため、結果として試験本番での対応力不足という反省点が残りました。

上記反省点を踏まえ、2度目の2次試験に挑むにあたり、試験当日における初見問題への対応力向上を目指しました。ねくすと勉強会では、毎週水曜日の勉強会(1事例/週)に向けた予習で自身の「ベスト答案」を準備し、勉強会における議論・OBから頂いた助言により事例に対する理解を深め、事例の方向性を十分に理解した上で再解答する復習を行いました。

勉強会をベースに「解答プロセス」の基礎を固め、1次試験が終わる7月からは週7事例を自身のノルマにし、最終的に模試を含め延べ150事例あまり解きました。時間が取れない朝には、40分で解答の骨子まで作り、通勤中に復習していました。

Ⅱ.ねくすと勉強会で学んだこと

Ⅱ- 1. ねくすと勉強会の特長

私なりに理解しているねくすと勉強会の特長は以下の通りです。

a. 過去問について深く議論できる
毎週水曜日の勉強会では、与件および設問について音読し読み合わせながら各事例を分析し、当該事例を貫く「方向性」、経営課題、設問構成、設問レイヤ等につきしっかり理解することに努めました。与件や設問を読みながら自身の解釈を他者に伝えることは、アウトプットの訓練になり、また他者の考えを聞くことで、考え方の切り口を広げることができたように思います。

b. 解答プロセスを確立したOBからの助言を得られる
上記議論において、OBからの助言を適宜頂くことで、受験生同士では気づきづらかった論点や事例全体を貫く「方向性」を踏まえた議論を行うことができました。私は、勉強会およびその前後に頂いたOBからのコメントをノートや自身の再現答案の横に書き留めて反芻しておりました。おかげさまで、自身の「解答プロセス」を磨くことができたと非常に感謝しております。

c. 自らの解答に対するフィードバックを受けられる
予習で用意した各自の「ベスト答案」について、OBおよび受験生同士で「つっこみ」と呼ぶ指摘を行います。主なチェックポイントは、与件に忠実か、設問に適切に答えているか、論点の飛躍がないか、因果関係が明確か、文法が正確か、言葉の定義を誤って使っていないか、一次知識を正しく理解しているか、一読して意味が通じるか、などです。フィードバックを頂ける機会が毎週あることで、学習の方向性を確認し、自分自身の考え方の癖などを把握し、適宜修正することができました。

d. 他者の解答を参考にできる
勉強会において他の受験生の解答や、ねくすと勉強会のデータベースにストックされている過去の高得点答案を参考にできます。勉強会を通じて十分に理解した文章を、自身の解答に取り入れることができました。

Ⅱ- 2. ゴール:ねくすとの教えを自分のものにする

2次試験対策のゴールは、試験本番において初見の事例への対応力を高めることだと思います。すなわち、試験本番で、当年度の新作事例に対し妥当性の高い考え方で対応し、上位20%に入る解答を置いてくることです。そのためには80分間で適切にアウトプットできること=「解答プロセス」の確立が必要となります。

「解答プロセス」確立のための最重要事項として、どの事例においても以下2点の把握に努めました。

・経営課題や、社長の考えは何か
・環境変化に対する経営戦略は何か

目の前の事例から経営課題や社長の考え、SWOT等を把握し、環境変化を踏まえた経営戦略を把握し、解答に一貫性を持たせることで、上位20%の解答となるのだと思います。その訓練を毎週行えたことが、非常に有難かったです。

Ⅱ- 3. 与件の読み方、使い方について

勉強会を通じて何度もご指摘頂いた点として、当該事例の与件のみを因果の「因」とすることがあります。私は以下の方法で与件根拠をできるだけそのまま用いることで、妄想に走ったり、一般論を記述してしまうミスを回避するよう工夫しました。

・与件文を抽象化し、メモを行間に書き込む…与件や設問に書かれていることを、中小企業診断士的には「つまりこういうこと」と言い換えて簡単なメモを記入していました。与件文は因果の「因」、抽象化した内容は因果の「果」と整理して考えることで、与件文から離れることなく具体的に記述することを意識しました。

・因果関係を与件文に記入する…与件文や設問の中の因果関係を矢印等で結ぶことで、視覚的に整理するようにしていました。

・マーキングを工夫する…この点は各自がスタイルをお持ちだと思いますが、ご参考になればと思い記載いたします。私は与件を読むときにポイントとなりそうな点を黄色ハイライト、経営課題や社長の考え等、「方向性」に関する記載にはピンク色ハイライト、各設問への対応づけには色分けした細いペンを使用しました。上述の抽象化メモや因果関係、論点の整理を与件文中に細いペンで書き込み、色分けすると同時に与件文の行間で解答骨子を作りました。意図としては、与件文を視覚的に整理するとともに、骨子を書く時間を省略し、考える時間を最大限確保することでした。また与件文の記載をなるべくそのまま使う意図でも、上記の方法を取っておりました。

Ⅱ- 4. 設問分析(レイヤー・設問構造)について

勉強会を通じて確立した大切なポイントとして、設問分析の安定化があります。以下2点の基本的な考え方に沿った設問分析を「解答プロセス」の最初に行っていました。

・環境変化に対してドメイン(=事業領域)をどう変更すべきか(事業戦略)
・そのドメインの変更をいかにして成功させるのか(機能戦略・戦術)

設問分析についても、勉強会にて各自の解釈をアウトプットしながら進めていきます。各設問につき、①問われているのは診断か助言か、②設問のレイヤーは何か、(③時制はいつか)を把握したうえで進めることで、設問間の重複を避け、設問と与件の対応付けを安定して行うことが可能になります。

事例ごとの設問構造をしっかり分析することで、(パターン化はNGですが)、毎年おおよそ同じようなことが聞かれていることが分かり、初見の事例で大外れしない対応が可能になると思います。

Ⅱ- 5. 解答チェック

採点者との唯一の接点である解答についても、以下のような観点でチェックし、相互に「つっこみ」をすることでその精度を高めることができます。

・設問の題意に合った解答になっているか
・シンプルで、一読して伝わる文章になっているか
・因果が明瞭な文章になっているか

毎週の勉強会にて、第三者にチェックしてもらえることは、本勉強会の非常に大きなメリットであると思います。

おわりに

長期に渡る2次試験対策において、常に高いモチベーションを保つことは、私にとっては難しいことでした。その代わりに、毎日小さな目標(一日1〜2事例+事例Ⅳ問題集などを解く)を達成すること、スキマ時間をなるべく活用することにより気持ちを保ち、最後の10ヶ月間を走りきりました。

ねくすと勉強会OBから指導をいただく際に、OBの受験生時代の話をお聞きする機会が何度かありました。春ごろに、あるOBのスキマ時間活用法や、またあるOBが通勤時間に1日2事例解いていた話などを聞きました。それまで自分は、如何に効率的に合格圏内に到達できるかを考えていましたが、合格者の積み上げてきた内容を知って大いに反省し、その後は量の積み重ねを通じて質を高める方向に切り替えました。思うに、「量より質だ」というもっともらしい考え方に隠れて、私の中で「楽をしたい」気持ちがあったように思います。合格レベルに達していなかった自分にとっては「量を増やして、質を上げること」こそが正しい姿でした。OBの助言の質の高さにいつも圧倒されておりましたが、その積み重ねてきた量を知ったことで、絶対量を確保したうえで質を高めるべく、気持ちを新たにしたことを覚えております。

おわりに、ご指導頂いたOBの皆様は、おそらく受験生以上に予習頂いたり、コメントを頂いたり、貴重な時間を割いて対応して下さっていたと思います。上述の通り習慣化して気持ちを保ったこともありますが、最後に何より大きかったのは、ご支援頂いたOBの皆様の期待に応えたいという気持ちでした。改めて、OBの皆様に大変感謝しております。また10ヶ月の間、切磋琢磨させて頂いた受験生の皆様にも、大変感謝しております。ありがとうございました。

ご恩は言葉では伝えきれないですが、今後ねくすと勉強会にて、いちOBとして支援を行うことで「恩送り」をしたい。という決意表明をして合格体験談を終えたいと思います。

ありがとうございました!

K.K