がおぢん

1.はじめに

今年の試験に不合格だった場合、業務の関係でねくすと勉強会の退会および診断士勉強の中断を決めていました。その私が今、ねくすとOBとしてこの合格体験記を書いて、今後もねくすと勉強会に関わる事ができるうれしさ。本当に言葉に言い表せません。休みでも勉強会に出てきて支援して頂いたOBの皆様、一緒に勉強した受験生の皆様に、心から感謝しています。

2.中小企業診断士になりたいと思ったきっかけ

 私は入社から現在までメーカー技術者として約25年間、8つの事業所で仕事をした経験があります。8つの中で一番面白く仕事ができた事業所はどこか?と聞かれたら、迷わず32歳から38歳までの約6年間働いたタイにある子会社を上げます。
仕事が面白かった理由は何か?それは子会社では副社長兼工場長の下で、日本では経験できない程の幅広い仕事ができ、工場運営、会社経営に関われた事です。その頃まで技術的な事しか興味がなかった自分が、それから経営について興味を持ちはじめ、経営に関する本を読み始めました。そして日本帰国後、経営について体系的に勉強したい!と思い続けていた時に、中小企業診断士の資格を知ったのがきっかけでした。

3.受験暦(3年10ヶ月)

 2008年(受験暦1年目):独学 4科目受験、3科目合格
2009年(受験暦2年目):某予備校通学:1次3科目受験、1点不足で不合格
2010年(受験暦3年目):ねくすと勉強会参加:1次合格、2次不合格(BBAB、総合B)
2011年(受験暦4年目):1次受験せず、2次合格

4.勉強方法

 私は診断士の勉強方法、特にねくすと勉強会に入会してからの2次試験の勉強方法について中心に書くことにします。
4-1 ねくすと1年目(2010年)
ねくすと1年目はすいねくとどねくに参加する事にし、すいねくは2次組、どねくは1次組としてスタートしました。すいねく2次組の予習、どねく午前の財務の予習、どねく午後の1次組予習をしなければなりません。ねくすと勉強会のメンバーはモチベーションもレベルも高いので、ついて行くのに必死で、勉強時間は月約80~100時間になりました。そして4月からは1次試験受験に専念するため、すいねくも1次組に入った頃に転機が訪れました。それは、中国プロジェクト担当者としての辞令発令でした。このプロジェクトは私の会社としては初めての事が多く、進めるのに困難が予想されました。案の定、4月からは海外出張も増え、業務が多忙となりました。それでも月100時間の勉強を目標とし、疲れていても朝最低1時間、土日は7~10時間をめざし勉強を続けました。
プロジェクトの進捗が思わしくない中、1次試験もあと1か月半にせまった6月、胃痛に悩まされる日が続きました。体の何かおかしいぞ!と思い病院へ行くと、医者から「十二指腸潰瘍」と診断されました。能力が無くても健康第一をモットーとしていた私には、大変ショックな出来事でした。

4-2 1年間(2010年)の反省  1年間自分では仕事も勉強もがんばったつもりでした。しかし、結果は散々でした。
プロジェクトは他部署からの協力もなかなか得られなく、予定から遅れる。診断士試験は、1次試験は合格できたものの2次試験は歯が立たない。健康だけは問題なかった自分が十二指腸潰瘍になる。いったい俺は何をしていたのだろう・・・。悩んで眠りも浅い日もありました。

5.勉強方法について変更点(2011年)

 5-1 心構えの変更(業務第一、健康第一)
「ビジネスマンはまず身体の健康と自分の業務が順調で初めて資格試験受験の資格がある。」という事を意識しました。具体的には以下の対策を行うことにしました。
① 出勤前の勉強を中止
出勤前の時間は、ビジネスマンにとって1日の仕事の段取りを考える大変貴重な時間であります。その貴重な時間を勉強に当てるのをやめました。朝はできるだけ早く出勤し、その日の仕事の段取りを行い、逆に残業は可能な限り行なわない事にしました。
② 疲れた時は早く寝て、週3回は22時台に就寝
仕事で疲れた時は勉強せずに寝る事を心がけました。週のうち3回は22時台に寝ることを心がけ、睡眠時間の記録をつけて管理しました。
③ 健康維持
私は自転車やランニングが趣味の一つですが、2010年3月以降は勉強時間確保のため全く行っていませんでした。日曜午前中はランニングや自転車に乗って運動し、健康の維持に努めました。

2011年2月、プロジェクトへの投資について会社から決裁を取得し、他部門の協力を得て前に進みだしました。今回の診断士試験を合格できた根底には、身体の健康と業務が比較的順調だったことがあると思っています。この試験は最短の人でも1年はかかる長丁場の試験です。この試験に対し短距離走のようにがむしゃらに走るのではなく、体力・精神力は温存しながら、粛々と自分の課題を解決する心構えが必要と思います。
5-2 具体的な勉強方法の変更
「業務第一、健康第一」を実践すると勉強時間は必然的に減りました。月80~100時間確保した勉強時間は、2011年は月40~60時間程度になりました。これでどうやって2次試験合格できる答案を書けるのか?そんな課題にぶつかっていた時、本屋に寄り道して見つけた本が「エグゼクティブのためのゴルフの習い方」というゴルフ教書であります。
この本の最初に「ターゲットに向かって打とうとしてはいけない。それよりも『自分のスイング』を開発することだ。」という言葉が気になり、ゴルフをほとんどしない自分が立ち読みし始めました。「自分のスイングを開発するということは、自分のイメージを作り上げ、それに従ってスイングできる事。さらに自分のスイングが上手くいっているかどうかについても、自分なりの判断基準を持たなければならない。」・・・
おお!これって診断士2次試験でも同じ事じゃないのか!と思い購入、1日で読みました。
これから診断士2次試験受験の初年度(2010年)と2年目(2011年)で変えた勉強方法を中心に書くことにします。

①『自分のスイング』を開発する=『解答を導くプロセス』を確立する
ゴルフの『自分のスイング』とは、2次試験にとって『解答を導くプロセス』であると考え自分の解答のプロセスを作る事を意識する事にしました。そのためにまずは解答プロセスのまとめを行ないました。2010年にも80分解きのプロセスをまとめましたが、A4用紙半分にも満たないとても簡単なものでありました。
そして、2011年は解答のプロセスを、ベスト答案作成も80分解きも同じにする事を意識しました。つまりベスト答案は、80分解きの個別のプロセスを長い時間をかけてやるだけの事と考えました。
ねくすとで自分の解答が他の受験生と大きくずれて、多くの突っ込みを受ける事が数多くあります。2011年はその場合、解答を導くプロセスの何が具体的に悪かったのか確認する事を意識しました。そして、自分の解答プロセスになんらかの気づきがあった場合、きちんとプロセスを改定して、解答のプロセスの充実化を図りました。解答プロセスは、最後はA4用紙1ページ半程度になりました。
2010年は突っ込みを受けた後、他人の良いと思われる解答を参考に解答を作成しなおす事で安易にベスト答案を作っているだけでした。しかもその答案をやりっぱなしでまとめる等は行ないませんでした。これは『ボールをターゲットに向かって打ち、結果的に穴に入った』だけであり、『自分のスイング』はなんら変わっていないのでした。

②ゴルフスイングのメカニズムを理解する=解答を導き出す思考プロセスを理解する
この本の中盤に以下の記述があります。「身体の仕組みをあまり考えずにクラブの振り方だけを学ぼうとするのはいけません。筋肉を開発し、使い方を知る事です。ゴルフは特定の筋肉を強め、柔軟にする2つのことだけなのです」
診断士2次試験は「読む」「考える」「書く」という3つのステップがあり、それぞれについて思考プロセスがあります。ねくすとで突っ込みを受けた時、どのステップが悪かったのか、どうしてその様な間違った思考を行なったのかを意識することにしました。
例えば自分だけが論点をはずした場合、「読む」ステップの異常です。次に「どうしてその論点に気がつかなかったのか?」と細かく自分の思考を分析し、気づきをメモしました。そして、突っ込みを受けた内容、修正した解答をエクセルに入力し見える様にしました。
こうして受けた突っ込みの記録を眺めると、いつも同じ突っ込みを受ける大きな欠点が見えてきました。この大きな欠点をまとめ、ファイナルペーパーとしてまとめ、80分解きを行なう際に常に意識するようにしました。こうして勉強方法は、2010年の予習中心から2011年は復習中心となっていきました。

③ 問題のパターン化
ゴルフは、つま先上がり・下がり、左足上がり・下がり、バンカー、ラフ・・・・いろいろなパターンがあり、それに上手く対応して打たないとスコアメイクできません。上手な人は平らな練習場においてもこれらのパターンを意識してボールを打つ訓練をして本番に備えているそうです。ゴルフで自分のスイングを確立する一方でパターンに応じた対応もしているように、2次試験でも解答へのプロセスを確立する一方で、パターンに応じた対応をしなければならない事に気がつきました。
それから2次試験の問題のパターンと、これに対しどの様に解答するのが答えやすいのか?気づいた点をメモしました。この視点で問題を見ると、2次の問題の出され方は結構同じパターンで出題される事が見えてきました。ねくすとが過去問を重視して合格者を世に多く輩出している理由も見えてきました。

6.仕上げ

 1次試験が終った8月、OBの方にスーパーSMを実施して頂きました。ここで直近3年分のベスト答案を総合的に添削してもらい、答案作成や勉強方法に至るまで助言を頂きました。自分のベスト答案に磨きをかける事ができ、かつ勉強へのモチベーションが上がり、私にとって非常に効果的でした。
また、どねくを中心に80分解きを毎週行い始めたのも8月です。解答プロセスが身についていな部分は80分解きとベスト解答と全く違う回答ができてしまいます。80分解きの解答とベスト解答を比較し、どういう思考回路で回答に差ができたのか考え、気づいた点をメモしました。
20年~22年の3年分の事例については80分解きを3回行ないました。3回目は70分位でほぼベスト答案に近いものができる様までになって2次試験に望みました。

7.本試験(2011年10月)

 2次試験に集中するため、1次試験の受験をやめました。これで、月平均40~50時間の短い勉強時間を全て2次試験に当てる事ができました。
2次試験は200字で論述する問題等、昨年とは違う傾向の問題がいくつか出題されました。文字数は長くなっても、問題パターンは大きく変わらなかったので、それほど迷わず解答ができたと思います。
試験後、再現答案を作成しましたが、70%以上再現ができたと思います。2010年はどんな解答を自分が書いたのかほとんど思いつかない場合もありました。これも自分の解答プロセスを確立できたから、問題用紙のメモを見るだけである程度自分が書いた解答が思い出せたと思っています。ねくすとOBが「きちんとした再現解答がかける人は合格する」と言っていた意味がここでやっと腑に落ちました。

8.最後に

 この試験は誰も思いつかないすごい解答を書いた人が合格するのではないと思っています。大多数の人が気づく当たり前の論点を正確に与件から拾い出し、たこ社長にもわかりやすい具体的な説明を書いた人が合格する試験である。と思っています。
合格答案を80分で書く為にどう訓練するか?個人差があるので各自で考えて、各自に合った方法を考える事が合格するのに必要であり、私は既に述べた通りの方法で訓練しました。 ちなみに「正しいゴルフの習い方」はすごい本です。なぜならばゴルフをほとんどやらず、さらに1年間以上ゴルフの練習もしなかった自分が、2次試験後の祝日、客先とのゴルフにて、前半51打で回ることができたからです(後半はいつもとおなじであった。やはり練習は大切・・・)。
この本に以下の記述があります。「ゴルフの鍵はKISS。”Keep it simple stupid!”」=「単純にやれよ、馬鹿!」の略です。真実はとてもシンプルなのです」
診断士2次試験も難しく考えすぎで本当は単純なのかもしれません。
この合格体験記が今後の受験生の参考になれば幸いです。

以上

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