H.M

1 自己分析

2020年12月、不合格。BDBC 総合C

これで権利は、あと1回。
どう戦うのか。今年のねくすとからの合格者は3名。
この合格した勉強仲間とは、何が違うのか?
自分を含めた不合格者と何が違うのか?合格するためには?から見つめ直したのが、
2020-21年の年末年始の休暇であった。

数年前、2次4回連続受験。21年は、以前の2次受験結果より評価が落ちていた。
当時は、予備校模試で何度かランキングにも載った。

そのランキングには、ねくすと先輩OBの方の名もあった。模試で2点差だった。
その2点が詰められないでいた。(以前は、ランキングに実名が乗っていた。。。)

1次知識は身に着いてきている。同じ勉強仲間や合格者の過去問の解答は分かるし、
自分でもある程度の記述はできている、と思っていた。なのに。。。

21年目標のすいねく(水曜開催の勉強会)は既に始まっていた。
すいねくの度に、毎回、自問自答を繰り返した。

気づきとして、1つ認識したのは、『日本語』だ。

予備校時代、先生に「森さんの解答は、内容は合っているけど、読みにくい。」と言われた。
ねくすとの勉強仲間にも「わかりにくい。どういう事ですか?」とつっこまれた。
くしくも、つっこんで頂いたのは、20年に合格された方だ。

自分の中でこんな思いがあった。
解答の書き方を変えるくらいなら、もっと良く分析し、あと1要素の別の解を入れれば、
点が伸び、合格できるだろう。
これが、そもそもの過ち・甘えだった。

出題者・採点者は、全く私情を挟まない。解答用紙に記載されていることが全てだ。
自分のベスト解答に対し、ねくすとでの議論の中で、言い訳の補足説明を勉強仲間に
している様ではダメだ。

書き方を変えるのは、苦しく難しい。ただ、ねくすと及びその他の合格者の解答を読むと、
論点が多く・詳細な解答、と言うよりは解答の記述が簡潔であり、ゆとりがある。

稀に高得点解答では、要素がてんこ盛りな解答もあるが、ごく一部だ。

そんな時、以前、ねくすとOBから紹介された2冊の本を思い出し、再度、読み直してみた。

★『わかったつもり』読解力がつかない本当の原因  西林克彦著 光文社新書

日常・家庭でも、会社でも、会話の中で伝えたつもりが、
相手には伝わっていない事を経験された方は多いだろう。
我が家では、夫婦喧嘩の火種となる。
診断士試験の解答でも同じだ。
必ず伝わるような解答用紙でないとならない。

★『論理トレーニング 101題』  野矢茂樹著 産業図書

日本語の構成要素、主述の関係、接続詞の意味など、再認識が図れる。
これは、与件の構成分析(時制や因果関係分析)に役に立った。

 

2 『筋肉質な分かりやすい日本語』を書く

辿り着いた解は、シンプルで分かりやすく、ただ、苦しいモノであった。
以下のいくつかのポイントで、こんな考えに至った。

-1 診断士試験は、国がつかさどる診断士となるべき人間を選抜する国家試験である。

-2 東大受験も官僚採用試験も、同じ国家試験だ。(表現は微妙だが)

余談であるが、東大受験のサクセスストーリー TVドラマ『ドラゴン桜』が、気づかせてくれた。
学校唯一の神童の解答よりも、出来の悪い主人公たち生徒の単純で分かりやすい解答の方が、
点が良かった。ドラマの演出であるが…真実もそうであろう。

-3 解答用紙上で、日本語の記述は見られているし、他の受験生と同じ内容であれば、
筋肉質で分かりやすい解答の方が高い点となるのは明確だ。

-4 2次試験の解答が診断報告書であるならば、社長に伝わらないのは、日本語が悪い。

診断士に相談してくる社長は、タコ社長(*注)ではない。診断してもらいたいと思っているだけで、
社長の素質は十分だ。
自分の解・自分の日本語が、『タコ』なのだ。

 

3 戦略と戦術の立案

以上より、戦略戦術の立案、及び、8月以降はローリングプランを実施しようと決めた。

-1 『読む、考える、書く』を徹底的に磨く

2次試験の基本のスキルとなる3要素である、以下の3点に注意した。

①読む  設問解釈、与件解読
②考える 設問の制約条項、解答要素、因果、考え方・その結論に至るロジック、1次知識との紐づけ
③書く  日本語の記述、解答表現

-2 戦略  強み増強、弱点克服 他

上記の3ポイントを見据え、以下の5戦略を立てた

1) ③書く 日経新聞の社説要約 2-7月、すいねく・どねく 2-10月

訓練として、日経新聞の社説の100字要約を取り入れた。
また、手で書く・20字1行の感覚養成のため、手書きにこだわった。
日経新聞の2つある社説のうち、自分の気に入った方を取り上げ、
通勤途中の山手線の半周の間に仕上げた。(手書き→スマホのメモ帳へ電子化→Excelへ。)

最初は、150-200字が精一杯。それを100字に近づけ(推敲)、筋肉質の日本語で要約する。

そもそも、私は3日坊主であるが、3勝1敗でも、1か月続ければ、1か月で23~4日分はできる。
と考え続けた。

すいねく・どねくは、完全出席を決め、自分のベスト解答は手書きの清書までしてから電子化し
Googleドライブへアップした。

2) ①読む・②考える 2次過去問 2-6月、8-10月 / すいねく・どねく

過去問は、何度解いたか分からないが、数年前より設問・与件が読めている実感はあった。
ここは、素直に伸ばそうと決めた。

一方、良く読み込めて新しい論点が見えたとしても、作成するベスト解答では新たな論点・
尖った論点は極力抑えて書く。(知識として新論点は身につける)

皆が書く論点を優先して、筋肉質に分かりやすく記述する事にした。

また、問われるパターンは、抑えるようにした。論点の似た問題は事例毎の枠を超えて
見直するように心掛けた。(戦略的問題など)

3) ①読む・②考える 新作・初見問題

8-10月TAC直前演習/TAC模試・MMC模試3-4回目

新作・初見問題の感覚を磨くのに予備校を活用した。(8月以降の直線期のみ)
但し、ねくすとを中心に磨いた解法・解答の記述のベースは変えない様、解答作成に留意した。

演習・模試の点は悪いが、解法・解答の記述のベースを崩さず、筋肉質で分かりやすい日本語かを
重視した。(2021年のTAC2次模試は、『D』判定。。。)

自分の出来ない論点、書き方の悪かった点など、採点後の講師コメントを抜き出しExcelへ
書き起こし電子化した。

指摘は真摯に受け止めて血肉(知識・論点ストックを電子化)とした。

4) 事例Ⅳ対策

事例Ⅳは、別枠で取り込んだ。

2-7月           TAC市販の計算問題集 3回目は、出来なかった問題のみ再チャレンジ。
8-10月          すいねく・どねく以外に、別枠で事例Ⅳ過去問10年分を自己解答、
TAC計算問題集(受講生用)をメルカリで購入し、強化を図った。

5) 1次試験対策(2021)

2021年で2次の受験権利が無くなるため、必然的に1次を受験する事とした。
7科目での受験となるが、教科を絞る事、1次は7月からの1.5か月で準備と決めた。
(昨年の場合、1次試験が8月下旬の為、1.5か月の準備期間で行うこととした。)

具体的には、2次関連の『企業経営、財務会計、運営管理』と、業務で日頃接する『情報システム』、
暗記の『中小』に絞った。(『経済』・『法務』は捨てた)

-3 戦術  実践方法

以下の戦術を活用した。

① データの電子化/Excel化
以下の内容を全て電子化し、いつでも直ぐに見直せるようにした。

・各過去問、事例ごとにExcelシートを作成し、
1) ねくすとのOB・勉強仲間のつっこみコメント
2) ふぞろい解答にあって自分にない解答の知識整理(ふぞろい論点での採点)
3) 直前期の予備校演習・模試のアドバイス
をExcelシートまとめた。

これにより、反復して間違う論点など、自分の留意点を浮き彫りにできた。

② スケジュール 
スケジュールを軸に書くと以下の通りである。

2-6月     過去問(すいねく・どねく)、日経社説100字要約、
事例ⅣTAC 『財務・会計 計算問題集』

7月           1次対策(過去問)、日経社説要約(余裕のあった日)

8-10月       過去問(すいねく・どねく)、事例ⅣTAC受講生用問題集、事例Ⅳ過去問

直前1-2週間  各事例のポイントチェック、ファイナルペーパー作成(Excelが役立つ)、
事例Ⅳ解いた問題の振り返り

③ 単語帳 直前1-2か月
昨年のOBおすすめのスマホ版単語帳を活用。隙間時間に見るようにした

1)各事例のポイントチェック 論点チェック(こう聞かれたら→この要素)反復確認
2) 事例Ⅰのみ個別で設問を記載、裏に解答要素・知識を記載し、反復確認

 

4 計画のマイルストーンとそのチェック

-1 すいねく・どねくで、つっこみを受けない事

つっこまれない事。うん。そうだよねと思ってもらえている証であると考えた。
◎ねくすとの特徴であるつっこみが無い=解答として論点・因果・一貫性がある認識

-2 つっこみコメントを受け入れる事

つっこみは、社長(出題者・採点者)の意見であり、真摯に受け止める。

-3 過去合格者解答と照らしてみる事

1) OBOGや他予備校の過去問再現答案の参照

◎ねくすとのメリット ねくすと合格者の再現答案(サイボウズ)
他予備校(AAS他)オープン再現答案・一発合格道場など

2) 合格者の前年度の各事例解答との比較

◎ねくすとのメリット 合格者の受験生時代の解答が確認できる(Googleドライブ)

 

5 まとめ

この1年大切に取り組んだことは、以下の3点である。
・2次試験の一番の勉強素材は、過去問である。
・『読む、考える、書く』を三位一体で捉え、疎かにしない。合格への最短の道である。
・日本語を大事にする。筋肉質で分かりやすい日本語を書く。

 

最後に

2次試験過去問対策がメインのねくすとへ、1次試験再受験の時期から受け入れて頂いた事に
感謝いたします。
2次試験の権利を得たら直ぐに合格を誓いながら、勉強会へ参加させて頂きました。
その思いに応えるべく、ねくすと勉強メンバーとしては2回目の挑戦(合計は6回ですが…)で
合格を勝ち取ることができました。
これもひとえに、ねくすと勉強会仲間のつっこみ、先輩OBOGの方々のご指導ご鞭撻、
及び再現答案などの無形資産のおかげです。改めまして御礼申し上げます。

受験生の皆さんへ

今年、より多くの方が合格できます様、つっこみ合いながら切磋琢磨し、勉強会のレベル向上に
努めていきたいと思います。
本当のゴールは、合格した後に設定されていると思います。まずはその前の関門を突破しましょう。
自分に誓う。公言する。『今年、絶対に合格します』と言ってください。
そこから全てが始まります。

絶対合格。引き続き、よろしくお願い申し上げます。

(*注)タコ社長
ねくすと勉強会では、事例の中で診断相談をする社長を『タコ社長』と呼ぶことがあった。
どんな社長(『タコ社長』)であっても、診断・助言を伝えれるように解答を書くと言う真意を含んだ表現である。