せいちろー

1.試験当日の朝

朝、いつもより少し早く目が覚めた、昨日、ファイナルペーパーや筆記用具、受験票などしっかり用意したし、頭は比較的すっきりしている、「よし、今日は万全で当日を迎えられそうだ」。布団を出ようとしたその瞬間、腰に激痛が走った、むむ、そのまま、倒れこむように、うずくまってしまった。本当に立てない、試験当日に、何ということだ…..

2.1年前 オリエンテーション

始めて受験した2次試験、予想通り、合格できなかった。(後で返却された評価は、BAABで自分ができないと思った事例はやはり、評価が悪かった)一緒に勉強してきた合格者の姿がまぶしい、自分も来年はあの舞台に立ちたい。でもそのためには、今までやってきたことと同じではだめだ、と「よし、今年は、自分でできることは何でも、すべてやることをやってやろう」と、闘志がわいてくるのを感じた日であった。

3.過去の受験歴

ここで、自分の受験歴を書いておく。
H19 TAC 1次2次ストレートコース 通学
結果:1次試験 財務36点で足切り トータル 419点
→ 財務があと1問で合格

H20 ねくすと1年目(2次組)
結果:1次試験 財務35点で足切り 3科目合計 186点
→ 財務があと1問で合格

H21 ねくすと2年目(2次組)
結果:1次試験 合格(財務 92点)
2次試験 不合格(BAAB)

H22 ねくすと3年目(2次組)+MMC通信講座
結果:1次試験 不合格(2次資格あり)
2次試験 合格

上記に書いたように、過去3年間、最後の詰めが甘く、これが私が合格までに4年もかかった理由かな、と思う。なので、今年こそは、自分ができることは何でも、すべてやって受験をしようと、固く誓ったのである。

4.げつねくの立ち上げ

基本的にすいねくの出席にこだわった。ただ、すいねくでは過去の事例をすべてこなすことはできない、しかも、自分の都合で土曜日は埋まってしまっていたのでどねくにも参加できない、じゃあ、どうしようかな、と考えた。過去、2年間1次試験終了後、受験生主体で、月曜日に過去問のつっこみを行う「げつねく」を開催していた。これを通年で開催して、過去問の議論の量を増やせたらと、考えた、すでに、オリエンテーションの後の懇親会で、受験生に声をかけていた、とにかく、自分で動かなければ、始まらない、と、自分の性格では、考えられないほど積極的であった。

年明けに、地元の区民館など、場所を2日分くらい確保した上で、MLで募集をしてみた、幸い、賛同してくれる受験生が10人程度いてくれたので、まずは、事例の分析などから始め、その後は、H13の事例1から順番に新しい事例にあがっていく形式で議論を進めていった。場所の確保など1人でやっていたが、途中で、N_OBから、ある大学院の教室を夜、貸し出してくれる、という話をいただき、お言葉に甘えることにした。自分が動けば、手を差し伸べてくれるOBが多いことを実感する瞬間であった。(その後も、いろいろなOBにいろいろとご支援をいただいた。ありがとうございました。)

今、考えるとげつねくとすいねくで、すべての事例に取り組むことができ、それが、自分の中で、血となり肉となっていると思う。模試や受験校の答練では得られない、本物を1年かけて、しゃぶりつくしたことが、本当に自分の中で地層のように積み重なっていったのではないか、と合格して思っている。

5.財務の補強

受験歴で書いたように、財務に苦手意識がある。自分は理系の人間で、財務関係は本当にこの診断士の勉強を始めてから触れた分野なので、何から何まですべて苦手であった。昨年21年の事例4、第2問がまったく歯が立たず、空白で提出してしまったことも、あり、事例4をねくすと以外でしっかり補強する必要がある、と感じた。

そこで、今年は、いろいろ検討した結果、MMCの通信講座を受講することにした。MMCを選択した理由は、昨年度模試を4回受験していること、財務の事例が充実していることなど、である。事例4形式の財務の演習が充実していたので、80分で財務の計算も含めた問題演習を行う練習になった。また、他の事例についても新しい問題に対する他流試合の形でできたので、有効利用できたかな、と思う。

また、企業会計全般の知識が、そもそも足りないので、以下のような本を買って読んで、まずは、計算の前提になる概念、思想を理解しようとしてみた。
・グロービス MBA アカウンティング/ファイナンス
・ビジネスファイナンス
・意思決定会計講義ノート
・コーポレットファイナンス入門

このように財務のテキストを通して読むことで企業会計/管理会計の全体像が見え、そもそも財務分析がなぜ必要か、企業における財務・会計の重要性を理解することで、財務分析の記述に、役にたった気がする。

6.1次試験について

ここで、1次試験について私の思うところを書いてみる。1次試験はそもそも、時間をかければ、合格できる試験だと思う。逆に、時間をかけずに手を抜くと、難しい問題で足切りにあったり、総合得点で及ばなかったりする。私も1次試験合格に3年かかったので、そのことを実感している。ねくすとでは、「7,5,3」という呼び名の勉強方法がある。これは、
・TACのスピード問題集を7回
・TACの過去問題集を5回
・模擬試験の問題(数社)を3回
ひたすら解く、というものであり、昨年苦手の財務については、上記に「TAC 集中特訓 財務・会計計算問題集」を5回加えて、ひたすらまわしたことで苦手にもかかわらず高得点を得られた。特に初学者の方には、ねくすとや予備校でインプットが完了したら、ひたすら、アウトプットを行うことを実行してもらいたい。

7.2次の勉強について

私は今年、80分解きを開始したのは、遅くて、1次試験終了後である。それまでは、ひたすら自分にとってのベスト答案の作成にこだわった。週末に一生懸命時間をかけてベスト答案を作っても、げつねくやすいねくでつっこみに合う。すいねく、げつねくの後に、さらに自分のベスト答案を追及する、という毎日を送り、1年間すべての過去問について、本当に直前まで自分がベストである答案を追いかけ続けた1年だったと思う。

1次試験完了後は80分解きを開始した。ただ、なかなか自分の80分のプロセスが固まらない、どうしようかと悩んだため、9月4日に、Y_OBにスーパーSMをお願いした。これが、ある意味自分のターニングポイントになったと思う。ベスト答案にこだわって1年間を送ってきたこともあり、80分のプロセスが適当で、事例ごとにバラバラである、ということを、OBからの指摘で気付いたのである。ある意味、与件や設問の1つ1つの言葉や、文書を大事にしておらず、それが解答のばらつきに出ていたと思う。

OBの指摘を受け、80分のプロセスを固める作業に入った。設問のどの点に注目するのか、与件のどの単語、言葉に反応するのか、アンダーラインの引き方から変更した。
すると、不思議な事に、与件を読んだ段階で、今まで気付かなかったいろいろなことが目にとまってくるようになった。そうすると、自分の中では、ある程度これだ、というものが見えてきた。ベスト答案を作成する中で、解答の書き方は、一貫性のとらえ方などは十分に身についていたからであろう、与件のアンダーラインを、頭の中で整理、まとめて、解答に反映するだけで、ある程度まとまった解答が書けるようになってきた。直前にY_OBに見てもらって、かなり良くなったと、言っていただき、自分の方法に自信をもつことができた。

8.直前期

1次試験終了後、結局1次試験は3科目しか科目合格できず、これは今年だめだと大変だ、と逆に危機感も持てた。これからは、プロセスを固める時期と思い、前記のスーパーSMの課題であったH19~H21と、げつねくでやっていた、H17,H18の全20事例を80分でどのように解答するかを時間を計りながら解答することで、自分のプロセスを固めていった。また、財務については、過去の模試の復習、MMCの財務の問題の復習など、同じ問題でミスをしないよう何回も解いた。
最後の1週間は、過去のH13~H21の自分のベスト回答をもう一度見直して、自分の中で、同様の企業や、同様の課題が出た場合にきちんと同じ解答ができるように、自分の中の経験を整理していった。そして、昨年は作成できなかったファイナルパーパーを作成し、金曜日には休みを取って、有志で集まり80分で4事例を1日かけて解いて、自分としてはことしはある程度の手ごたえを感じて試験前の準備を終えることができた。

9.試験当日

最初に書いたように、当日の朝は最悪の状況であった。会場に向かう途中に寄った、エクセルシオールで、K_OBから「Sさん顔が青いですよ」と言われ、実際、その場では皆を心配させただけで、申しわけないことをしてしまった。会場について、席についたが、会場の明治大学リバティーの椅子は腰痛には最悪。なるべく試験会ぎりぎりまで立ってファイナルペーパーを見直していた。

事例1~3
事例1~3までは、30分で方向性まで、25分で何を書くかを決めて、25分で解答用紙に記述する、とガイドラインを決めていた。しかし、最初の30分、与件を読んでいるあたりでどの事例の時でも激痛が走った、恥も外聞もなく、その場でベルトをゆるめ、ズボンを下ろしてなるべく腰に負担をかけないようにしながら、激痛が治まるのを待った。
それが、10分くらい続いたので、実際に解答に割ける時間は、20分、20分の40分、もしかすると、これが幸いしたのかもしれない、あまり余計なことは考えず、与件に引いたアンダーラインを元に、全体の一貫性を考慮して、解答にある程度機械的に落とし込んでいった。事例3まで完了した段階で、与件に書いてあることをしっかり解答に反映できたという実感はあった。ただ、見直しの時間がまったく取れなかったので、その点が不安であった。

事例4
事例4は与件と財務諸表をさらっと見た後、第2問から始めた。腰痛が始まらないうちに、第2問、第3問の計算を終え、第4問のところで、激痛。10分ばたばたして、経営分析に、今年も「短所、長所だ」、でも与件を読んで、与件の内容をきちんと反映できれば得点は取れる、、一通り、解答を書いた。実はここで、時間が余った。第2問、第3問の再計算をする時間があった。しかし、後から考えると、再計算をするより前に、1ページ目からもう一度、方向性も含めて全体の見直しをすべきであった。これが自分の落とし穴になるとは、その時は思ってもみなかった。

10.発表まで

打ち上げで、M_OBから「自分の思ったとおり書けたら大丈夫」といわれて、その時は事例3まで腰痛というハンディはあったけど、自分のベストは出せたと思っていた。なので、比較的充実感が昨年よりあった。しかし、その後、他の人の再現答案などを見ていくと、事例4で自分が大きなミスをしたことに気付いた。第2問、第3問記述部分でまったく逆の解答をしいた、そして、CVPで小数点以下第3位を四捨五入を見逃していたなど、事例4で大きなミスをしたことが分かった。発表までの1ヶ月半は悶々として過ごした。来年の準備のため経済学の勉強を始めていた。

11.なぜ合格できたのか

合格発表の日は会社を休んだ。落ちたときに、おそらく今までの1年のことを考え、おそらく仕事にならないと考えたからである。そのくらい、この1年は診断士の勉強に注力してきたという自負があった。なので、試験終了から発表までの間は本当に苦しかった。
発表当日はWEBで見た、自分の番号を発見したとき、本当に信じられなかった。1年間の苦労が実を結んだ、と本当にうれしかった。
思い返すと、合格できた要因として、以下が考えられる。
・1年間、過去問に毎日毎日真剣に向き合ってきたこと
・H13~H21の過去問すべてに取組むことで、診断士試験の2次試験の「ツボ」のようなものをつかむことができた。
・OBの指摘や同じ受験生のつっこみ、自分の他の人へのつっこみなどで、多くの気付きを得られ、それを自分の中で消化し、自分のメソッド、プロセスを確立できたこと。

12.最後に

3年間ねくすとにお世話になりました。OBの皆様にはいろいろとアドバイス、ご指導をいただきました。また、会場の手配などでいろいろとご配慮いただきました。ありがとうございました。
一緒に、1年間がんばってきた受験仲間の皆様の存在が、私に大きな励みになりました。まずはお礼を言わせてください。そして、今年合格できず、ねくすとで引き続きがんばる皆さんを全力でサポートいたします。共に合格した10OBの皆さん、一緒にサポートしていけたらと思います。よろしくお願いします。
最後に、4年間無理を聞いてくれて、勉強させてくれた妻と、週末にどこにも連れて行ってあげられなかった子供達に感謝します。

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