2016年 コラム・つぶやき 勉強法(二次試験)

事例企業を理解するための、5つの「イオン」

二次試験では、圧倒的な量(とはいってもせいぜいA4で3ページ程度ですが)の与件文があり、問題が4〜5問出題されます。受験初心者は当然ですが、多年度の受験生も、事例の情報を整理するのに苦労されていると思います。しかも、与件文や設問の表現には、様々な「トリック」が仕込まれています。近年の出題傾向は、単に与件をコピーするだけでは評価されない、というよりもそれでは解答にならないものとなっています。二次試験の難易度は、年々上昇しているといってもよいでしょう。

そのような二次試験で、まず皆さんがしなければいけないのは、事例企業の姿を認識することです。しかし、大量の情報から事例企業の姿を、限られた時間内で理解することはとても困難です。与件の冒頭では、事例企業の概要に関する若干の概要は示されても、与件文中盤以降のストーリーの展開で頭の中が混乱し始め、いざ解答の段になって内容がまとまらないという経験を、どなたも一度は経験されたのではないでしょうか。そこで、これから数回にわたり、解答時間の中で事例企業の姿を素早く把握し理解する方法について説明します。

端的にいうと、事例企業の理解に必要なのは、5つの「イオン」です。それは、以前このコラムでご紹介した、二次試験の準備を分解するの回で紹介した「イオン」、すなわち
Vision(理念、目的)
Mission(任務、目標)
Passion(熱意)
Action(行動、活動)
Reflection(反省、熟慮)
です。これらの言葉は、すべて最後が「ion」で終わっていますね。この5項目で事例企業を理解してみることです。そして、これらの要素が過去から現在、そして将来に渡りどのように変化するのか、その変化の背後にあるものは何かについて、仮説の立案と検証を繰り返すのです。これは、私が過去、インストラクターとして組織戦略やリーダーシップを学生に教育した中で考案した方法です。

Visionとは、そのとおり事例企業の理念や存在目的です。言い換えれば「社長は何を実現したいのか」です。これがないということは、事例企業の進むべきベクトルが定まっていないということです。なぜそれがないのかというのは、ひとつの問いになります。
Missionは、Vision実現のためになすべきこと、または達成すべきことがらです。これがなければ、「夢を見ながら足踏みする」会社のままです。
Passionは、Visionの実現とMissionの実行にかける社長や従業員の熱意です。これがなければ、どんな立派な理念や目標を掲げても、掛け声倒れになる恐れがあります。組織の原動力たる「ヒト」が動かないのですから。
Actionは「何をするか」です。この内容の良し悪しは、それまでの3つの「ion」の内容と、各受験生の知識によって決まります。ここでは、事例企業が何をしてきたのか、事例企業の活動が戦略目標達成に寄与したのか、戦略目標の達成のためにどのような活動や施策が必要か、がポイントです。武器としての一次知識と、ケースへの応用力が試される部分です。
最後のReflectionは、事例企業がActionの結果をどのように評価し、戦略の見直し、組織や業務プロセスの改善につなげているかということです。この部分が欠けていると、せっかくの教訓が将来の改善に活かされません。暗黙知を形式知に、そして共有知に昇華させる仕組みが事例企業に備わっているかをポイントとします。

次回以降、以上のポイントをもとに、過去問題を使ってその方法をシミュレーションしていきたいと思います。

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