事例Ⅲ、生産戦略事例の3回目です。今回は、事例企業の業務フローについてです。
事例Ⅲの厄介なところは、会社概要で述べられている会社の内部組織と業務との関係です。生産事例の企業の一般的な姿は、営業部が受注し、技術部や開発部が製品開発、製造部が製造し、営業部が納品するといったものでしょう。業務フローも、こうした役割分担に則って定められているはずですが、これに当てはまらないパターンもあります。
一つは、製造部や技術部が営業までしているケースです。このような企業では、たいていちゃんとした営業部が存在しません。技術部や製造部が営業までするものですから、品質管理や納期管理でボロが出るというパターンです。
もう一つは、在庫情報や生産情報が、製造部で独り占めされているケースです。前回でも触れましたが、全月下旬になっても受注情報が確定しないので、製造部が「エイヤッ」で生産計画を立てたところ、製品在庫に欠品が生じたり、特急の受注で生産計画が混乱するというパターンです。
こうしたアブノーマルな状況でも、頭の中を混乱させないためには、もともと事例Ⅲではちゃんとした企業が出てこないんだと認識することが大事ですが、もう一つ(というよりこっちが大事かも)は、手間がかかっても業務フローを問題用紙の空白に図で書いて、情報を整理することでです。
「そんな時間なんかないよー」とお思いかもしれませんが、これをするとかなりの確率で防げるのが、事例企業各部の機能の取り違えです。限られた時間で精神的に追い詰められている中、特に具体的施策を助言する問題では、その施策を誰が行うのかを書かなかったり、取り違えて本来その機能がないところにアサインしてしまうことがあります。。これだと出題の意図を外してしまう恐れがあります。
また、第1回で触れた、業務上のボトルネックの発見確率が上昇します。与件文だとさっと読み過ごしてしますことも、図に描くと、「なんでこの部がこんなことしてるんだろう」とか、「こことここのつながりが悪いよね」など、事例企業の問題や課題が認識しやすくなります。その結果、事例企業が抱える真の経営課題が見えやすくなります。
丁寧に描く必要はありませんから、業務フローの流れに沿って、誰が、何を、いつしているのかだけでも図示すれば、事例Ⅲの理解が一層進むのではないでしょうか。