2015年 コラム・つぶやき 勉強法(二次試験)

二次試験直前期にできること(5) 今の戦略は何か?

二次試験まで、一週間を切りました。このコラムも残り少なくなってきました。今回のテーマは、事例企業の「今の」戦略に対する意識の重要性です。

解法のパターンからいうと、 まず与件文を読み、事例企業の経営理念、過去の経緯の強みと弱み、発生した問題などをピックアップするという手順をとることでしょう。そして、その企業の方向性と経営課題を考えるというステップに入っていきます。一般的なケースは、これまで順調にビジネスを展開してきたが、経営環境の変化や企業内部の事情などの理由で経営状況が悪化してきたというストーリーです。そのような条件のもとで、将来の経営戦略をどのように策定すれば良いのかという問いは、かなり難易度の高い問いになります。

いくらでも資源を投入できる、あるいは外部から資源を調達できるという前提にある大企業と違い、中小企業は今の持ち球で戦うことを強いられます。今の資源で戦えないのに、どうやって将来の経営戦略を考えることができるのでしょうか。そこには、ちょっとした思考の転換が求められます。それは、今の経営資源が経営環境と適合しなくなったのではなく、今の経営資源を踏まえて作られた、今の経営戦略が経営環境に適合しなくなったと考えることです。前者と後者の違いは、小さいようで実はものすごく大きいのです。

平成21年度事例Ⅰを例に考えてみましょう。菓子製造会社の事例です。この事例企業は、事業規模拡大を企図して、地元の洋菓子製造会社であるF社を買収しました。詳しくは書きませんが、買収当時、A社はそれなりの経営資源を持っていました。それがF社買収後、大都市圏地域の競争環境が激化し、A社の売り上げが急速にダウンするという事態に見舞われています。第5問では、短期的な売上向上策について問われていますが、与件を一読しただけでそれを考え付くのは至難の技でしょう。 また、それに先立ち、なぜ社長はF社の買収を逡巡していたのかが問われています。

この2問に共通するのが、事例企業の社長の戦略である事業規模拡大が、大都市圏を中心とする競争の激化と市場の縮小という環境変化に適合しないことから起きているということです。菓子市場における競争が激しくなり、市場自体も縮小している中で、なぜ落ち目のF社を買わなきゃいけないのかというのが、逡巡している社長の気持ちでしょう。本音でいえば、「買収しちゃいけない案件」だったのです。買収したけれど、売上が買収以前のレベルまで落ち込んでしまったったから、短期的に業績を回復させるためには、大都市圏のマーケットで規模拡大するという戦略では立ちいかなくなるので、別の市場で勝負する必要があります。そのために、組織・人事的に何ができるかを考えさせているのです。

与件文を読むと、SWOT要素は比較的簡単に見つけることができますが、単に弱みがあるからとか、脅威が大きくなったからというだけで反射的に動いてはいけません。将来の方向性が見えにくい問題であればあるほど、今の戦略の何が問題なのかに注目してみましょう。そうすれば、その問題の解決を足がかりに打ち手が見つかるのではないかと思います。

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