受験生の皆さん、試験勉強の進捗はいかがでしょうか?今できることを着実に進めていけば、合格に一歩一歩近づいていけますから、ぜひ自分を信じて前へ進んでください。
このコラムは1年以上続いています。初めはねくすと勉強会の認知度アップを図って始めたものが、ここまで続くとは自分でも驚いています。一方で、「ねくすとは難しすぎるんじゃないか?」「ねくすとってちょっと堅いよね」というイメージもあるとも伺っていますが、決してそんなことないですから、ご遠慮なくアクセスしてください。
さて、今回のテーマは「切り口ふたたび」としました。切り口については以前のコラムでも触れましたが、与件分析の切り口がうまく使えていないケースがあります。その多くで、与件にフレームワークを直接適用しただけにとどまっていることがあります。つまり、あるフレームワークを切り口として与件を分析し、それぞれの要素を抽出した後に「だから何?」となり、解答まで到達しない状態です。
平成26年事例2第4問では、介護付きツアーの客単価引き上げのための新商品開発や既存商品の改良について問われています。事例2ですから、「誰に、何を、どのように」売るかが中心テーマです。また、マーケティングの4Pを使って「価格、場所、商品、プロモーション」の4要素を切り口としてアプローチできるでしょう。ここでは後者を使ってみましょう。
価格は、「本人お高め、家族は普通、でもちょっと引き上げたい」、場所は「国内」、商品は「介護付きツアーの新商品または既存商品の改良版」、プロモーションは「DMやSNS」といったところでしょうか。このままだと「分析して終わり!」になりそうです。なんとかして解答に持ち込みましょう。
ここで重要なのは、分析結果の各要素についてさらに問いを立てることです。価格で言えば、「なぜ事例企業は介護ツアーの客単価を引き上げたいと思ったのか?」「どの程度の価格引き上げまでは顧客は受け入れるのか?」「顧客は何に更にお金を払うのか?」、場所で言えば「なぜ介護ツアーは国内商品のみなのか」といった感じです。
その次に、これらの問いの中で、与件から直接的な解答を得られない問いを削除します。「顧客はどの程度の価格引き上げまで受け入れるか?」という問いは、与件だけでは解答できません。ではなぜそんな消去されるかもしれない問いまで立てるかといえば、解答にあたってなるべく多くの視点を意識するためです。ターゲット顧客がいくらの価格引き上げまで受け入れるかわからなくても、客単価の引き上げを事例企業が考えるということは、前提として、顧客はいくばくかの料金引き上げを受け入れるだろうという前提を置いていると「仮定」できるわけです。
それでは、その後どのように解答に持ち込むかについては、稿が長くなりそうなので次回に回したいと思います。