コラム・つぶやき 勉強法(二次試験)

初見問題への対応

ねくすと勉強会で何度もお話ししていますが、受験生の皆さんが取り組む問題は、全て初見問題です。年度によっては同じような業種業態が続くこともありますが、基本的には毎年異なる業種業態、そして経営課題が取り上げられています。過去問を多く解いていると、「この問題は〇〇年度に出題されたものと同じだ」と感じることがありますが、そこで与件を充分に分析できていないと、合格レベルに届かない答案となる可能性があります。私はこれを「過去問病」と呼んでいます。

 

中小企業の経営課題の多くは、どのような企業の間でも共通のものです。事業承継、資金調達、人材育成などの経営課題は、中小企業が経営に注ぐことができる資源の確保や調達に限界があることを前提としています。これらの前提は、診断士試験(特に二次試験)の共通的な制約要因と捉えても差し支えないでしょう。

一方で、中小企業の経営課題を改善することが中小企業診断士に期待される役割であるなら、診断士の助言は事例企業の経営の経緯や問題点を踏まえたものでなければなりません。事業承継や販路開拓など、異なる年度で同じ経営課題が主題であったとしても、それらが事例企業の経営上の問題に至る過程は事例ごとに異なります。そうした背景をきちんと理解した上での解答であるか、採点者は限られた採点時間の中でちゃんと確認しています。

 

平成26年度事例では、第4問が「社は、若干名の博士号取得者や博士号取得見込者を採用している。採用した高度な専門知識をもつ人材を長期的に勤務させていくためには、どのような管理施策をとるべきか。中小企業診断士として 100 字以内で助言せよ」となっています。高学歴の社員を採用した後、どのように長期勤務のモチベーションを維持向上させるか、そのための管理施策は何かが問われています。かなり大雑把な分析ですが、事例企業にとって、自社の開発力と技術力のを活かした製品開発に、高学歴者を長期に取り組ませるために何をすべきかという解釈できるでしょう。そこには、単に裁量と権限を与えるだけではなく、そうした社員が求めるであろう「技術者としての成長の機会」といった要素も含むべきでしょう。その一方で、企業経営上の組織要求を考慮すれば、単に「好き勝手に」研究させるようではいけません。企業の成長戦略、製品戦略、技術者の内的動機をうまく組み合わせることにより、内発的な長期勤務のモチベーションを向上させる人事施策を描くことができれば、より差別化された(そして与件の箱庭から外れない)答案が作成できます。

 

限られた時間で解答するために、トピックごとの主要論点を抑えることは、ヒューリスティックとしても有効でしょう。その効果は否定しませんが、なぜそれがその事例の解答要素として使えるのかの吟味と、それを採点者に納得させられる表現力は必要です。さもなければ、よく言われる「一般論的」答案になってしまう恐れがあります。初見問題であるからこそ、回答要素を導き出すロジックを、できるだけ短い時間で見つけ出す訓練が必要なのです。

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