2016年 コラム・つぶやき 勉強法(二次試験) 生産戦略

平成27年度診断士2次試験の振り返り 事例Ⅲ その2

2次試験の振り返り、事例Ⅲのその2です。まずはじめに、第2問を振り返ってみましょう。

なぜ第2問から始めるかというと、第2問で問われている内容こそが、この事例企業が根本的に解決すべき問題点を直接尋ねているからです。すなわち、この問題を解決しないことには、その他の質問で問われていることや、事例企業が目指している自動車部品製造の受注に応えることなどおぼつかないとまで言っても良いでしょう。

事例Ⅲの1回目の振り返りでも言及しましたが、この社長は、鋳造工程の生産能力を増強することが最も重要だと考えて、それに注力してきました。その結果、他の工程が処理しきれないぐらいの製造仕掛品在庫を生み出しているのです。与件文で、仕掛品が工場内に散在しているという記述がありましたが、整理整頓する以前に、鋳造工程が仕掛品を作りすぎているのです。その他、機械加工工程での残業や、加工機会の非稼働などの記述もありますが、それらは結果的に鋳造工程中心の生産計画のツケを後工程が払っているということです。本事例企業が実施しなければならないのは、工程全体の生産能力の均衡を図ること、そのために製品の受注・加工・在庫情報を全社的に共有すること、そして何よりも、機械加工工程の生産性を向上させることです。そのストーリーを読み取ることが重要です。

問題点については、先ほど述べた残業や機械非稼働を取り上げれば良いでしょう。ただ、問題点の改善策については、本事例企業の生産戦略に関わる課題を踏まえたものでなければなりません。それは、単なる小手先の改善のようなものではダメだということです。事例Ⅲは、1次試験の知識を活用しやすい事例ですが、それを単純にコピペするだけでは不十分です。例えば、本問で5Sを徹底するといっても、どのようにしたらそれができるかなんて言えません。それ以前に、5Sで限界的な生産力を向上できる環境づくりにまず取り組むべきであり、その点に言及しない解答は、有効性の点で不利になります。その点で、本問は取り組みやすそうに見えて、実は本事例企業の経営課題の本質的な部分を問うているのです。合格答案と不合格答案の違いがどこにあるかを見る良問です。

次回は、第3問について振り返ります。

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