2016年 コラム・つぶやき 勉強法(二次試験)

秋の夜長の一冊に(診断士試験バージョン)

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(画像引用元:Amazon)
診断士二次試験まで40日を切りました。こんな忙しい時期にこのようなことを書くと「ケンカを売っているのか!」と言われそうですが(汗)、この時期にこそ読んでいただきたい本として、『申し訳ない、御社をつぶしたのは私です』(カレン・フェラン著 大和書房)を紹介します。この本は、そのタイトルの過激さから出版当時はちょっとしたセンセーションをもって受け止められましたが、その内容は至極まっとうなものです。受験生の皆さんの中にも、すでにお読みになった方が少なからずいらっしゃるかもしれません。

詳しい内容を書くとネタバレになるので(というのといま手元にこの本がないので)詳細には踏み込みませんが、本著の前半では、著者が駆け出しのコンサルタントの頃、工場の収益性向上のために現場を駆けずり回り、従業員との「腹を割った」対話によってミッションを達成したエピソードが紹介されています。まるで、エリヤフ・ゴールドラットの「ザ・ゴール」を地で行く内容です(事例3の参考にもなります)。その後、著者は所属したコンサルティングファームの経営分析手法や人事管理が、クライアントだけでなく、彼女の会社そのものを窮地に追い込む現実を目にし、コンサルタントのあり方に疑問を持つようになります。

本著の主張を私なりに要約すると「コンサルタントが提案する経営管理や人事管理などは、手法ありきの前提では決してクライアントの課題解決には役立たない」というものです。斬新な分析・管理手法はコンサルティングファームの「商品」であることを差し引いても、このことは、かつて私もそうであったように、試験直前期の追い込まれた状況でこそ意識していただきたいものであると感じています。

二次試験において避けるべきことの一つが、分析手法に与件を適合させることです。言い方を変えれば、分析手法で状況を説明できるように、与件を恣意的に解釈してしまうことです。例えばSWOTで「弱み」が見つからない、だから「ここはこう読めば弱みとも取れる」といった解釈をしてしまうことです。普通に与件を読んで弱みが見つからない場合、まず考えるべきは、なぜこの事例企業には弱みがないのかということです。事例企業が置かれている環境の中で弱みが目立っていないだけかもしれませんし、事例企業自身が常に弱みを潰す努力を続けているからかもしれません。ここで、まるで関係ない場所の弱みみたいなものを持ち込んで分析すると、解答の方向性を外したちぐはぐな分析結果になる危険性があります。同著で著者が批判しているのは、まさにそうしたコンサルティングスタイルであり、本来クライアント企業に必要なかったか、あるいは別のより効果的なアプローチがあったにもかかわらず、コンサルティングファームが「押し付けたい」手法にクライアント企業を適応させようとしたことでした。

フレームワークや分析手法はあくまでも道具以上の何物でもありません。コンサルタントが相手とすべきは、企業が抱える問題や課題であり、問題や課題を発見したり明確化するために手法があるのです。企業だけでなく、およそ人が集まってできている組織は生き物であり、姿形はそれぞれです。血液検査の標準値みたいなものもありませんし(経営分析では「目安」みたいなものはあるみたいですが)、「なぜこんな会社が?」と言われる企業がビジネスを安定的に継続している例もあります。与件で与えられている事例企業のストーリーを虚心坦懐に読み、どのようにしてその企業がこれまで生存し、どうすればより良い企業になってゆくのかを集中して考えてください。

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