5つの「イオン」で事例企業を理解するの実践編、3回目は「Passion」です。
Passionは、Mission達成の原動力となる熱意で、リーダーたる社長の信念であったり、従業員のモチベーションだったり、管理職のリーダーシップであったりします。Passionがなかったり不足している、またはPassionの方向性がずれている会社は、いくらいいVisionやMissionを掲げても、会社が組織としてその方向に動きません。そのことについて、同じく平成27年事例1で見てみましょう。
創業当初の状況には、Passionにつながるものがありません。「作れば売れた」時代ですから、Passionで社長が会社をグイグイ引っ張っていく必要がなかったのかもしれません。しかし、市場環境の変化により経営が窮地に陥り、瀕死の事業を引き継いだ現社長は、ブロー技術を活かせる注文を求めて「全国を行脚」しました。
この、「全国を行脚」という言葉の後ろには、何としてもブロー成形事業を事例企業の柱にしたいという社長のPassionが読み取れます。その結果、自社ブランドによる事業ではない、他社発注の事業を請け負うことになり、社長は「再起をかけて」ブロー成形事業を独立させます。この決断の裏にあるPassionは、第2問の解答要素に繋がります。
もう1つ、この事例で鍵となるPassionは、祖業であるスポーツ用品事業への回帰を目指したことです。第1問で解答させるスポーツ用品市場の特性で苦労させられた事例企業が、なぜそのスポーツ事業にさらなる成長の可能性を求めたのか?その背後にはどのようなPassionがあったのか?そしてスポーツ用品関連事業を健康ソリューション事業に統合させるにあたっての社長と会社のPassionは何か。それらが第5問の留意点を支える要素になります。
次回は、4つ目の「イオン」である「Action」について考えます。