勉強法(二次試験)

H29年事例Ⅰのネクスト会員の答案を添削してみて

ネクストでは、毎回受験生の答案を数人のOBが添削します。さすが、1次試験を突破した人の答案は論点のズレがなく皆さん60点以上とれていると思いました。しかし、この2次試験は60点以上とれても合格するとは限りません。受験生の2割に入らないと合格しない試験です。
2割に入るために、奇をてらった答案を書くのでなく、素直に当たり前の論点を①因果で分かりやすく、読みやすく、②一般論にならず事例企業に対して、書くことに心がけることです。
ここで、この事例の方向性を「(新規商品開発、首都圏出店による)売上高30億円の達成」とおきます。

そして私が添削してみて気になった点は。

問1 <方向性達成のためのA社の過去の成功体験(強み)>
認知度があった、商標権が取得できた、社長が元社員であったなどがあげられると思います。ここはこれらの羅列では当然、点数が入りません。認知度があった、商標権が取得できた、社長が元社員であったことで、それぞれ「人気商品にさせた」と、どうつながったかを書く必要があります。最大の要因=最も大きい要因。この書き方も気になりますが。

問2 <方向性達成のためのA社の経営特徴(強み)>
ネクストの議論でも「機能別組織、専門性が高い」などのワードが出ていましたが、ここもこれだけでは点数は入らないと思います。「A社の例(補助業務・・・)」→「専門性が高い機能別組織」である。或いは「機能別組織で専門性が高く」⇒「A社の例(補助業務・・・)」。みたいにA社ならではのことを書く必要があります。

問3 <方向性達成のために取得した経営資源>
議論でも出ていました、工業団地での連携、優遇処置はたぶんあったでしょう。でも具体的なことは書かれていません。個人的にはそこまで書かなくてもいいような気がします。やはり方向性のために、A社は工業団地への移転で何を生み出したのかを書きたいところです。例えば、「A社の方向性」⇒「生産体制(物理的に)」、「信頼(成功体験)」、「 」・・。

問4 <方向性達成のためにまだ取得できていない経営資源>
ここは、A社の方向性を阻害する可能性の高いリスクを書く必要があります。
構文としては「A社の現状((組織・人事)」⇒「起こりうるリスク」で書きたいところですが、因である「A社の現状」で終わっている答案が見受けられました。
 過剰投資による巨額の負債を書かれている答案もありましたが、方向性は新規開発、新規出店はマストです。過去、なぜ過多な新規開発、新規出店を行ってしまったかを書ければベストですが、単に過多な新規開発、新規出店の投資だけではA社に限らずどの企業も巨額の負債を抱えてしまいます。

問5 <取得できていない経営資源の取得方法>
ここも、A社の方向性に結びつくような課題解決を書いているか、自己点検してみる必要があります。
良く、事例Ⅰで何気に正規雇用転換を書かれている人がいますが、なぜ正規雇用するのかが不明確です。もしA社は非正規が多く、モチベーションやロイヤリティが低いのなら正規雇用転換も必要ですが、与件には書かれていないと思います。もし書くのならなぜ正規社員を増やすのかを書く必要があります。逆にA社の特徴(強み)は少ない正規社員での運営です。どうせ書くのなら、非正規の活用です。A社の中でどのように活用するか?(勝田さんが書かれていました。) また、持株会設置も間違いではありませんが、A社の方向性の達成のための現時点での重要課題となるかというと遠い気がします。
そして、問1,2で分析した強みを使わないと何のために問1,2があるのかが分からなくなってしまいます。
また、「第三の創業期」はなにか制約条件のような気がします。A社はどのような企業として創業することになるのか、与件を丁寧に読む必要があるかもしれません。

問5の解答はリスクかもしれませんが、私だったら問4の起こりうるリスクの対策を組織的な解決方法を課題として、問1,2の強みを使って書きたいと思います。「第三の創業期」をどう解釈して、どう、解答に盛り込みかは難しいですが。(正解かは分かりませんが)

全体に、新商品開発、首都圏出店に関わることを外さず各問で問われていることを素直に、A社のことに対して丁寧に書けば2割に入れると思います。

事例Ⅰはどうしても1次知識のワード(権限委譲、職務拡大、報奨制度 正社員登用制度、モチベーション、統制範囲、共通目的、貢献意欲、社長の説明、ビジョン明確化、動機づけ・・)を書いて満足してしまいがちですが、1次知識はあくまで、与件本文から問題点を導き出す知識であって、解答に書くワードの知識ではないとするべきだと思います。

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