2015年 コラム・つぶやき 勉強法(二次試験) 生産戦略

事例別のポイント 事例Ⅲ 生産戦略(1)ボトルネックを探せ!

事例Ⅲ、生産戦略に入ります。第1回目は、生産戦略の典型的な論点である、ボトルネック問題です。

生産戦略の事例企業の抱える問題の基本は、生産資源の不均衡です。即ち、その企業の方向性を考えた場合、明らかに不足している経営資源があり、その資源を最も必要とする業務プロセス上の段階が、ボトルネックとして現れます。事例Ⅲでは、そうしたボトルネックが事例企業のどこにあるのかを見つけることが大事です。

そこで鍵となるのは、これまた何度も言及していることですが、事例企業の方向性と経営課題です。ただ、他の事例と少し違うのが、方向性のような将来の夢を語る以前に、今現在でも問題を抱えているというシチュエーションが多いということです。「今できていないことを克服して、将来さらに何ができるようになるか?」が中心テーマとなっているケースが多いです。

平成25年の事例Ⅲでは、第2問で、技術部内の業務効率化の具体的施策について問われています。問題のリード文では、顧客からの問い合わせに迅速に対応することが課題だとされています。顧客対応が迅速でないというクレームを受けていないにもかかわらず、なぜ事例企業は顧客対応の迅速化を課題としているのでしょうか。この企業は、受注生産の補助部品と、大量生産の標準部品とを、現場に合わせて組み合わせ、据付工事まで実施しています。そして、現在の問題として、設計担当業務が占める時間が大きいということが、与件文で述べられています。業務の効率化を考えると、設計担当業務の時間削減に斬り込んでいかなければなりません。

一方、この企業は専任の設計担当者が受注情報を独り占めしており、技術部内で共有化が進んでいません。とくに変更情報は、この企業の業務フローを考えると、補助部品の生産計画変更につながる重要な情報です。そんな重要な情報が技術部内で共有されていなければ、その担当がいない間、顧客は事例企業と調整を進めることができず、納期を見越した設計変更などの対応ができません。設計が遅れることにより、その後の部品製造などの生産活動が遅れる危険性もあります。CADデータの標準化なども大事ですが、まずは設計情報を共有化し、お客さんからの問い合わせがあれば柔軟に対応できるようにすることが求められます。そうすれば、変更情報も設計に迅速に反映でき、設計担当業務の時間削減が実現するでしょう。となると、設計担当者の専任制が果たして良いことなのかといった疑問も生まれてくるでしょう。今起きているこの問題を解決しなければ、新製品市場におけるBtoC企業に変革してさらなる成長を目指すという、この企業の将来的な方向性の実現は困難です。今起きている経営課題を克服して、将来に備えるとい視点が不可欠です。その経営課題こそが、他の技術部員にとって、お客さんからの問い合わせ情報が不足しているという、ボトルネックによってもたらされているのです。

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