「書く」の部の3回目は、どの程度書くかです。結論から言えば、「できるだけ丁寧に」書くということです。
二次試験の案内には、二次試験は「 中小企業診断士となるのに必要な応用能力を有するかどうかを判定することを目的」とするあります。これは、中小企業診断士として、知識を応用し、事例企業の課題解決や目標達成をどう実現させるかについて判定することが、二次試験の目的だということです。二次試験が、知識の多寡を競う試験ではないというゆえんは、ここにあります。
前のコラムでも記しましたが、一般論的な、言い換えれば抽象的な言葉を多用するということは、その言葉の意味の解釈を社長に委ねるということです。より厳しい言い方になりますが、「社長に考えさせる」ということです。専門用語の多用も同じことです。全ての社長が、我々受験生が持っているのと同じレベルの知識があるとは限りません。我々の間なら専門用語で通じるところを、わかりやすい言葉で言い換え、説明して差し上げるという姿勢が求められるのです。
その意味では、キーワードを散りばめた答案よりも、事例企業にとって最も大事なことを抽出して丁寧に説明する答案の方が、より実際的だし、事例企業にとっても有益なものになると考えられます。その結果、書ける論点の数が少なくなったとしても、試験本番では十分に戦えます。「シナジーの活用」は、「2つの事業を組み合わせて収益力を上げる」と言い換える。その結果、3つ書きたいことが2つしか書けない場合は、優先順位が高いものに絞り込む。そうすれば、より質の高い答案に進化するのではないでしょうか。