今は一次試験直前期で、受験される方はお忙しいことと思いますが、これから二次試験までの間、二次試験に向けたアドバイスを連載していきたいと思います。
私はねくすと勉強会で2015年から約4年間、途中単身赴任でのブランクをはさみながら受験生指導を行ってきました。その間、多くの仲間が生まれ、そして去っていきました。去った仲間の事情はそれぞれですが、そこにはやはり中小企業診断士試験の「恐さ」があると思います。つまり、中小企業診断士試験は、単に知識があるだけでも、表現が豊かであるだけでも、そして論理的であるだけでも合格できない試験なのです。特に二次試験は、事例の分析を踏まえ、置かれた環境の中でその企業がいかにして戦略目標を実現するかについて、知識をフル動員しながら、なおかつ実行可能なソリューションを提供できる能力があるかが評価されます。
私が受験したころは、受験テクニックでもまだ何とか対応できました。例えば与件文を読んで、良さそうなところは強み、悪そうなところは弱みといった具合に印をつけ、それらを設問に対応させて書いていけば「それなりの」答案が作成できました。しかし、現在の二次試験はそう簡単にはいきません。特に事例ⅡとⅢは、図やグラフが用いられ、与件文の内容がデータからどのように裏付けられるか、与件から読み取られる個別課題が事例企業の全体課題とどのような関係があるかの分析なくしては解答が困難になっています。受験テクニックの重要性を否定するものではありませんが、それだけでは戦えない試験になっています。まずはそのことに気づく必要があります。
ねくすと勉強会では、伝統的に「方向性の傘」に従って答案を作成するという指導を続けてきました。それは基本的戦略としては今でも非常に有効です。しかし、その「方向性」とは何か、なぜそれが方向性として有効なのか、その方向性が実現できない理由は何かといった「深い分析」と、そこから得られた結論を総合してソリューションを生み出す力なくしては、二次試験はおろか、診断士になった後のコンサルティングの現場でも、クライアントに納得してもらえる成果を上げることは難しいでしょう。
ねくすと勉強会は、診断士試験の合格はあくまでも「通過点」であり、その後診断士として活躍できる素地の育成を目指しています。一次試験直前期であり、かつ二次試験まで数か月程度しかないこの時期ではありますが、もう一度「なぜ診断士になりたいのか」「理想の診断士とは何か」を考え、その結論に近づこうというモチベーションを高めていただきたいと思います。ねくすと勉強会のOBは、そんな皆さんを支え、応援していきます。
なお、二次試験準備のため、8月中に事例の「読みかた」と「考えかた・書きかた」に関するワークショップを開催する予定です。ねくすと勉強会会員だけでなく、一般の方も参加自由なワークショップとしますので、よろしければご参加ください。