2016年 コラム・つぶやき 勉強法(二次試験)

旅から学ぶ診断士

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現在、仕事で鹿児島に来ています。鹿児島は、錦江湾を挟んで薩摩半島と大隅半島が向かい合うという地理的条件から、錦江湾を航行するフェリーの運航が盛んです。私は大隅半島側にいることから、垂水港と鹿児島市の鴨池港を結ぶ垂水フェリーを使い、休日には鹿児島市内に外出しています。

さて、この垂水フェリーのほか、鹿児島市街と桜島を結ぶ桜島フェリーには、共通する有名なものがあります。それは、船内で提供されるうどんです。特に桜島フェリーのうどんは、歌手の長渕剛さんが好物として紹介し、有名になりました。

中小企業診断士勉強会のコラムでなぜこのことを取り上げるのでしょうか。それは中小企業の一つのビジネスモデルがこのうどんに見られるからです。桜島フェリーの旅客運賃は片道160円、垂水フェリーの運賃は480円です。一方、桜島フェリーではかけうどんが480円、垂水フェリーで食べたさつま揚げうどんは510円です。桜島フェリーの運航主体は鹿児島市ですから、船内で営業しているのは外部の業者ですが、垂水フェリーのうどんはフェリー会社自身が販売しています。これらのうどんは今や鹿児島県民の味とまで言われるぐらいに定着していて、何回か観察しただけでもざっと1〜2割の乗客がこのうどんを注文していました。ネットを検索しても、フェリーに乗るたびに必ず注文する「常連客」も多くいるようです。
桜島フェリーの場合は、船内の営業権や使用料として、うどん業者から鹿児島市がいくらかの収入を得ていると考えられます。一方の垂水フェリーでは、うどんの販売により、常に乗客数の1〜2割増しの現金収入が得られるわけです。フェリー運航と一体化しているという経営形態を考えれば、垂水フェリーの売上の一部として計上できるでしょう。

事業セグメント別にみると、フェリー営業は、固定資産投資(船舶や港湾施設など)にかかる減価償却費に加え、運航要員の人件費など、多額の固定費が必要となります。詳しい分析はしていませんが、公共交通機関として運航を維持するために、補助金などを受けている可能性もあります。逆に、変動費部分はそれほど大きくありません。乗客が1人増えることで大幅に増加する費用というのは考えにくいでしょう。

一方、船内のうどん販売は、純粋にフェリー会社の「水揚げ」になります。製造原価を考えても、シンプルな厨房の減価償却費やアルバイトと思われる従業員の人件費など、固定費となる部分は小さいと考えられます。何より、路面店であれば集客に必要な広告宣伝費がゼロに近いというのは、大きな強みです。乗客を乗せさえすれば、一定の顧客がうどんを購入してくれるのです。加えて、多様なトッピングや味付けで、顧客を飽きさせない努力をしています。フェリー会社自身も、自社のホームページや船内広告でうどんを積極的に紹介しています。
変動費と思われる費用についても、どんぶりは船内で洗浄してリユースするなど、抑制に努めています。本業と拮抗するほどの収入源ではないにせよ、縁の下で支える存在であることは間違いないでしょう。

アンゾフの成長ベクトルでいえば、「新製品開発戦略」に当てはまるサービスの提供ですが、何気なく見るだけでなく、なぜそのようなサービスを提供するのかを仕組みから考えることで、より実践的な分析能力を身につけることができます。診断士試験の勉強ネタは、過去問のような紙の上だけでなく、みなさんの周りにたくさん転がっています。それらを意識するかどうかで、勉強効率は飛躍的に変わってくるでしょう。
桜島を眺めて潮風にあたりながら食べるうどんは、一味違う味わいです。鹿児島にお出での際に一度味わっていただければと思います。

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