直前期「べからず」集の3回目は、「受験テクニックをただ繰り返すこと」です。
「お前もこのHPでいやというほどテクニックについて書いてきたじゃないか!」と批判されそうですが、あえてこの時期にこのことをお伝えします。
この時期ともなると、多くの方はその方なりの戦い方を身につけていらっしゃることでしょう。前2回で強調したのは、そうして身につけた戦い方にブレを起こさないようにすることを主眼に置いたものでした。一方、今回の「受験テクニックをただ繰り返すべからず」というのは、受験テクニックでどんな問題にも対応できるという錯覚を持たないようにするためのものです。
コンサルティングの対象企業の経緯や、置かれている経営環境は千差万別です。そのような企業にコンサルティングする我々が持っている道具といえば、企業経営に関する広範な知識と、コンサルタントが持つ技能や経験です。これらを単純に振り回しても、得られるのは結局のところ、最大公約数的な分析や提案です。なぜなら、それらは我々の知識や経験を因とするものだからです。重要なのは、知識や経験等から得られた分析や提言が、事例企業にフィットするかどうかです。
それでは何を重視すべきか?それは、事例企業がこうなりたい、あるいはみなさんが事例企業について「こうなるべきだ」という方向性と答案の内容が一致しているか、答案の内容が事例企業の個別具体的な状況に合致したものか、そして答案の内容が理解しやすく実行可能なものかという基準です。みなさんが習得した受験テクニックでこれらが得られるのであれば、その方法が最高の結果をもたらしてくれるでしょう。問題なのは、無意識に、または無批判に受験テクニックを振り回すことです。
万能な解法メソッドはないといっていいでしょう。私がこのコラムを通じてお伝えしてきたことは、私が受験勉強を通じて導き出してきたものであり、私自身がこのメソッドによる結果を受け入れようと覚悟した上で使ってきたものです。ですので、私が申し上げられることは、本コラムでお伝えしてきたメソッドが合う方は、どうぞそれらをご遠慮なくお使いくださいということです。そして合格という最高の結果が得られた暁には、一緒にお祝いしたいと思います。