5つの「イオン」で事例企業を理解するの実践編、2回目は「Mission」です。Missionは、任務や達成すべき目標であると説明しました。前回と同様に、平成27年度事例1を使って、事例企業をMissionの視点から理解してみましょう。
創業当初のMissionは、戦後の混乱を抜け、庶民の余裕が生まれてきた頃のスポーツの流行に乗じて、バドミントンのシャトルコックやラケットを製造・供給することでした。そのため、事例企業は台湾にラケットの専用工場まで作りました。
しかし、中国や台湾からの廉価な製品の流入、ラケットの原材料の変化といった環境変化により、事業は窮地に陥ります。結果的に、細々と続けていたブロー成形技術製品により、会社は生き延びます。ここでのMissionは、当然ながら会社を潰さないことですね。
現社長が就任し、瀕死の事業を受け継いだ後は、バドミントン事業とは考え方が異なるブロー成形技術製品事業を軌道に乗せる努力が続きます。その後、再起をかけてこの事業をスタートさせた社長は、ブロー成形技術製品事業を独立させ、関連会社化する決断をします。このとき、社長は何をMissionと考えたのでしょうか?そこが第2問の鍵になります。
独立した新規授業は順調に成長し、事例企業は次なる成長を模索できるようになるまで業績が回復しました。そこで社長は、祖業であるスポーツ用品事業への回帰を志向します。その後は、ゲートボールやグラウンドゴルフ製品の製造、福祉事業への参入を経て、ついにはスポーツ用品関連事業全体を、健康ソリューション事業と位置付け、体力測定プログラムの開発など、サービス業も手がけるようになりました。ここでの事例企業のMissionが、第5問の解答要素につながっていきます。すなわち、このMissionを実行できる組織と人材の育成と活用が求められており、そのために留意すべきことが何かを問われているのです。前回のVisionの視点と合わせて考察する必要があります。
次回は、Mission達成の原動力となるPassionと、Mission達成のためのActionについて考えます。