二次試験本番まで、残り約1ヶ月半になりました。受験生の皆さんはこれから最後の追い込みのフェーズに入ることでしょう。私も受験期間中、この時期が最もナーバスになっていました。そのような中、限られた時間というリソースをどのように振り向けるべきかについて、私の考えをお示ししたいと思います。
二次試験の解答プロセスは、「読む、考える、書く」の要素に分類されるといわれます。これから二次試験本番まで、これら3要素をバランスよく向上させていければいいのですが、それがそう簡単ではないことも、経験から理解できます。そこで、もしこの3要素のトレーニングに優先順位をつけるとするとどうなるでしょうか。
私の考えは、「読む>考える>書く」です。その理由は、考える以降のプロセスの成果が、読むプロセスでの情報インプットを超えるものではないと考えるからです。もし情報インプット以上のことを考えるとすると、「想像」を飛び越えて「妄想」になってしまう危険性があります。当然それを書いて形にしても、高得点を得られる可能性は低くなります。以前書きましたが、「予見の箱庭」で戦う二次試験で、箱庭の外に飛び出すことはルール違反です。
一方、読みが足りない場合どうなるでしょうか。予見の箱庭の例えを使うと、箱庭の砂場で作ったお城のような答案しか書けなくなる可能性があります。つまり、与件の一部の情報だけを、あたかも事例企業の経営課題そのものだと言わんばかりの解答になってしまう恐れがあるのです。与件全体を通じて、この事例企業がどのような方向で今後ビジネスを展開し、それを実現するために克服すべき課題は何かという視点から、箱庭の砂場やブランコで起きている事象の背景を分析し、ソリューションを提案する必要があります。
二次試験本番で、出題側の意図を完璧に理解し、文句のない得点を獲得できる答案を完成させることは至難の技です。それゆえ、多くの合格者が、満点の6割近辺での熾烈な争いを展開することになります。二次試験で重要なのは、飛び抜けて優秀な答案を提出することではなく(できる方はぜひ頑張ってください!)、満点の6割以上かつ上位約2割のグループにしっかりとしがみつくことです。二次試験に合格するか否かを決定するのは、与件をどこまで正確に読んで理解するかにかかっていると考え、メンバーとのディスカッションに臨んでいます。二次試験を受験される皆さんには、読むことの重要性をより深く認識していただければと思います。